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こころ

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5部分:第五章


第五章

「だからじゃ。ここはじゃ」
「早く何とかしないと」
「わかっておる」
 毅然と答える博士だ。
「だからじゃ。今のうちにじゃ」
「戦艦を爆発させるんですね」
「あの将軍様の国の上空にテレポートさせてな」
 そうして爆発させるというのだ。
「そうしようぞ」
「あの国相手ならいいですね」
「言った筈じゃ。気に入らぬ相手には危害を及ぼす」
 これが博士のポリシーなのだ。だから暴力団員や暴走族や不良は容赦なく殺戮していくのだ。
 そしてだ。博士はこんなことも言った。
「いや、どうせだから東京ドームに落とすか」
「で、あのドームを完全破壊ですか」
「あのチームは大嫌いじゃ」 
 実はかなりのアンチ巨人の博士だった。博士の持つ極めて少ない美徳の一つだ。
「だからそうしてやろうか」
「あのドームですか。いいんじゃないですか?」
「決まりじゃ。ではあのドームにテレポートさせる」
 そして爆発させるというのだ。戦艦をだ。
「ではよいな」
「まあ。あの球団は私も嫌いですし」
「ではやってやろうぞ」
 こうしてだった。博士はだ。
 戦艦をそのドームに移動させて爆発させようとする。しかしだ。
 ハルトマンはだ。その墜落していく戦艦に向かって飛びだ。
 そうしてだ。何とだ。
 その目からの冷凍ビームで凍らせてだ。戦艦の火を止めてから。
 そうして戦艦自体を持ち空中に高々と放り投げた。そうしたのだ。
 ここで博士が戦艦をテレポートさせた。そうして。
 ドームは見事完全に爆破された。死者は誰もいなかった。
 ハルトマンは空中に残っていた。その彼を見てだ。博士は言うのだった。
「ふむ、わかった」
「何がですか?」
「あ奴の心がじゃ」
 それがわかったというのだ。
「確かにな」
「あっ、そういえば」
「あ奴は今冷静にじゃ」
 ハルトマンはサイボーグである以上にだ。さらになのだ。
 その性格自体が非常に冷静なのだ。それが行動にも出てだというのだ。
「あの戦艦を市街地に落とさなかったな」
「はい、確かに」
「そうした。何とも思っていないのならばじゃ」
 日本、そして日本人についてそう思っているのならというのだ。
「戦艦に勝った。それで終わっていたな」
「はい、それで終わりでしたね」
「うむ、戦艦を凍らせて投げ飛ばすことはしなかった」
 そのまま市街地に落ちるのを見ているだけだったというのだ。
「しかしあ奴はそうしたからのう」
「そこに我が国への思いがあったんですね」
「何とも思ってない奴、あの政党の連中ならどうじゃ」
「そもそも戦いませんね」
 それ以前の段階だとだ。小田切君も応える。
「自分だけが逃げますね」
「そういうことじゃ。自分のことしか考えぬ連中じゃ」
 首相からしてそうだった。己だけだったのだ。
「そういう連中はそれこそ幾らでも見てきた」
「伊達に宇宙創造から生きてる訳じゃないですか」
「そういうことじゃ。そうした連中は何時でもおった」
 宇宙の至る場所にだというのだ。
「そしてあの政党の連中と同じことをしたわ」
「星は違っても下衆は下衆なんですね」
 祖国に対して何も思うことはなく己しか大事に思わない輩はそれこそ種族を超えるというのだ。いる星が違っていてもだ。
 
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