こころ

第四章

　両手を上に出しそうして飛ぶ。光の巨人達が空を飛ぶ姿勢でだ。
　彼は戦艦に向かって飛ぶ。そこにだ。
　戦艦の砲撃が来た。そしてミサイルもだ。
「おいおい、あの砲撃凄いな」
「六十センチはないか？」
「カール自走砲並かよ」　
　ドイツ軍が要塞攻略で使った巨大な自走砲である。
「それで砲撃か」
「えげつないな、当たったら大佐でも唯じゃ済まないぞ」
「どうしたものだよ」
　観客になっている自衛官達もこれには唖然となる。
「まあ博士はここで核とか普通に使うけれどな」
「通常弾だけましか」
「とりあえずはな」
「ミサイルもあるけれどな」
　ミサイルはそれぞれ独特の軌跡を描き生き物の様に迫りだ。そのうえでハルトマンに迫る。しかしハルトマンはそれに対して。
　目から冷凍ビームを出す。それによってだ。
　ミサイル達を次から次に凍らせる。凍らせられたミサイルは全て空中で爆発していく。砲撃は飛びつつ上下左右にかわしていく。
　その動きもかなりのものだ。ハルトマンは光の巨人の姿勢でかわす。そのうえでだ。遂に戦艦の至近距離に迫ったのである。
　今度は対空砲座の攻撃をかわしつつ姿勢を立ったものにさせる。そうしてだ。
　右手首を外しだ。そのうえでだ。
　そこからロケット弾を繰り出す。一発、また一発とだ。
　戦艦に攻撃を浴びせていく。それを見てだ。
　小田切君がだ。危惧する顔で言うのだった。
「危ないですね」
「戦艦は懐に入ればじゃな」
「はい、これって危ないですよね」
「大丈夫じゃ。例え撃墜されてもじゃ」
　それでもだと言う博士だった。
「最後の切り札がある」
「何ですか？あの戦艦の中に爆弾でも入ってるんですか？」
「左様」
　まさにその通りだと答える博士だった。
「だから安心せよ」
「安心していいんですか」
「そうじゃ。撃墜してそれで終わりではない」
「そうしたところまで考えるのは流石ですね」
「油断したところでドカンじゃ」
　実に物騒なことを楽しげに言う博士だった。
「さて、我が強敵はそれをかわせるか」
「『強敵』と書いて『とも』ですよね」
「よい言葉じゃ」　
　ある世紀末救世主漫画から生まれた言葉である。
「わしもそう思う」
「それでなんですね」
「うむ、それをどうかわすか見てやろうぞ」
　楽しげにリモコンを動かしながら言う博士だった。そうしてだ。
　戦艦の各部から火が噴きだした。ハルトマンのロケットもかなりの威力なのだ。
　だがハルトマンもかなりのダメージを受けていた。至近弾の数が半端ではなかったのだ。例え直撃を受けていないにしてもだ。
　それを見てだ。自衛官達は焦りを覚えていた。
「まずいな、このままじゃ」
「ああ、大佐のダメージが酷い」
「自己修復までに時間がかかる」
　ハルトマンにはそうした能力もあるのだ。だが、だった。
「これじゃあな」
「負けないにしても」
「それでもな」
　勝てないのではないかと思いだしたのだ。しかしだ。
　戦艦も限界に来ていた。そして遂にだった。
　右に大きく傾きだ。そのままだった。
　落ちていく。だがその落ちる先がだった。
　市街地だった。そこに落ちようとしていたのだ。それを見てだ。
　小田切君がだ。蒼白になって叫んだ。
「まずいですよ、このままじゃ」
「うむ、わしは自分の気に入らぬ者以外には危害は及ぼさぬ」
　その辺りはしっかりしている博士だった。