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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)

作者:sorano
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第29話

~ノルド高原・北東部~



「おお……!あんなとんでもない相手をあっという間に倒すとは……!」

「ふふふ、精霊王女たる私からすればあのような魔物ですら他愛ない相手です。」

驚いている様子のグエンの言葉にリザイラは静かな笑みを浮かべて答え

「えへへ~、リザイラ様だ~!リザイラ様、わたし、アリサの為に一生懸命頑張ったんだよ!フローラ様に追いつけたかな?」

「ええ……少し見ない内に随分と成長しましたね、ミルモ……フローラも今の貴女を見ればきっと喜びますよ……」

嬉しそうにはしゃぎながら自分の周囲を飛び廻って報告するミルモを微笑ましそうに見守っていた。



「そ、それより、リザイラがここにいるって事は……!」

愛する男性の傍に常にいるはずのリザイラが目の前にいる事からある事を察したアリサが嬉しそうな表情でリザイラを見つめたその時

「アリサ、ミリアム――――ッ!!」

リィン達がアリサ達に駆け寄った。



「あ………――――リィンッ!!」

「それにエリオットやセレーネも……って、ええええええっ!?ク、クレアまで!?」

リィンの登場にアリサは今にも泣きそうな表情をし、クレア大尉に気付いたミリアムは驚いた。



「みな、無事のようだな。」

「アハハ……あんな一瞬であんな大きな魔獣を倒すなんて、さすがはリザイラだよね……」

アリサ達の無事にガイウスは静かな笑みを浮かべ、エリオットは苦笑しながらリザイラを見つめ

「先程の魔獣は一体何なのでしょうか?普通の魔獣と比べると何か違和感を感じましたが……」

「―――”幻獣”。本来、この次元に現れるはずのない存在よ。帝国とその周辺で起きている何らかの”乱れ”や”歪み”……それらがこの地に影響を及ぼして、アレを顕現させたのかもしれない。」

セレーネの疑問にセリーヌが真剣な表情で答えた。

「”乱れ”や”歪み”……」

「帝国の内戦と連動して何かが起き始めている……?」

「………………」

セリーヌの説明を聞いたリィンとクレア大尉、リザイラはそれぞれ真剣な表情で考え込んでいた。



「あはは、クレアだ!ホンモノだー!」

するとその時ミリアムが嬉しそうにクレア大尉に抱き付いた。

「ミリアムちゃん……無事でいてくれてよかったです。本当に……」

ミリアムに抱き付かれたクレア大尉は安堵の表情でミリアムの頭を優しく撫でた。



「あはは、クレアの方こそ。その服もけっこう似合ってるねー。」

「ふふ、そうですか?」

(…………はは…………)

(うふふ、他人事じゃないわよ、ご主人様♪)

(クスクス……)

(フフ……)

ミリアムとクレア大尉の再会を微笑ましそうに見守っているリィンを見たベルフェゴール達はそれぞれアリサに視線を向けた後微笑みを浮かべた。



「―――リィン……!!」

するとその時リィンに駆け寄ったアリサがリィンを強く抱きしめた。

「あ……」

「―――リィン……本当にあなたなのね?まさか、こんな場所で会えるなんて……!」

「アリサ……その……元気だったか?何とかグエンさんと合流できたみたいだが……」

「うん……―――じゃなくて!元気だったかなんてこっちの台詞でしょう!?あれから一体どうして……どうやってノルドの地に!?セリーヌはともかくセレーネ達までいるなんて……」

リィンの言葉に答えかけたアリサだったがすぐにある事に気付いてセレーネ達を見回して指摘した。



「はは……ちょっと事情があってさ。あとで詳しく話すけど……本当に色々な事があったんだ。すまない、心配をかけたな。」

「ううん………それは私のセリフよ。―――あの時はごめんなさい。」

「え……?」

突如アリサに謝られたリィンは何のことかわからず呆けた。



「……私達、わかっていたの。あんな風にわかれて……貴方がどれだけ苦しむか……どれだけ深く後悔して自分を責めるだろうかって……」

「あ……」

「わかっていたのに……ああするしかなかったの。あれが私達の……ううん、帝国の未来にとって最善の選択だって思えたから。……そうやって全てを貴方に押し付けて……だから……本当にごめんなさい。」

「アリサ……」

アリサの話を聞いたリィンは仲間達を見回した後アリサに話しかけた。



「……謝る必要なんてないさ。みんなのおかげで俺は生き延びる事ができた。みんなも無事でいてくれて……こうしてまた会うことができた。だから―――ありがとう。今、俺が言えるのはそれだけだ。」

「……リィン……ん……」

「あ…………(アリサ……)」

「リィン……!ん……ちゅる……リィン……れる……れる……ちゅる……会いたかった……!」

そして互いに見つめ合ったリィンとアリサは舌を絡める深い口付けを交わした。



「わわっ!?」

「フフッ……」

「ふふふ……まさに予想通りの展開ですね。」

「まあ……わたくし達が見ている目の前で熱い口付けを交わすなんてアリサさん、凄い大胆ですわね。」

「リィンに会えてよかったね、アリサ♪」

「おお……っ!たった半年近くでもうそこまで進展しておったのか!?うむ、さすがはワシの孫娘じゃ!」

その様子を見守っていたエリオットは顔を赤らめて慌て、ガイウスとリザイラは静かな笑みを浮かべ、セレーネは目を丸くした後苦笑し、ミルモは嬉しそうにし、グエンは興味深そうに二人を見つめた後嬉しそうな表情をし

「ちょっ、クレア~!?今一番いい所なのに何で見せてくれないのさ~!?」

「……ミリアムちゃんにはまだ早いです。」

ミリアムは頬を赤らめてリィンとアリサから視線をそらしているクレア大尉に目隠しをされて喚いていた。そして深い口付けを終えた二人は再び互いを強く抱きしめた。



「ぐすっ……夢みたい……こうしてまた会えて……これであの時の約束を……」

「あの時……?―――あ……」

アリサが呟いた言葉の意味がわからなかったリィンだったがすぐにトリスタでの別れの時を思い出して顔を赤らめた。

「っ……ちょっと待って!い、今はそんな事をしている場合じゃ―――じゃなくて!私もありがとう―――おかえりなさい……!」

するとその時我に返ったアリサは混乱した後心からの笑顔を浮かべてリィンを見つめた。



「ああ……ただいま。」

「クスクス……」

「ぐすっ……」

「……やれやれね。」

「ふふ、いい青春を過ごしていたようじゃの。しかし、身内の前でやるにはかなりアツすぎやせんかの~?ま、ワシはいっこうに構わんが。」

「ハッ……こ、これはその、つい感極まってというか……」

仲間達と共に微笑ましそうに見守っていたグエンの指摘を聞いたアリサは慌てた様子でグエンに指摘したが

「それで肝心の曾孫はいつになったら産まれるのかの~?その様子だと既に”大人のれでぃー”にもなって、子作りもしておるのじゃろう??」

「お祖父様ッ!!」

口元をニヤニヤさせるグエンの指摘に顔を真っ赤にして声を上げ、リザイラを除いたリィン達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。



「ふふふ、さすがは彼女と血が繋がっているご家族なだけはありますね。先程の光景を見て彼女が純潔をご主人様に奉げた事に一瞬で見抜くとは。」

「フッ、これも”年の功”というものじゃ。―――ちなみにアリサはいつ、”大人のれでぃー”になったのじゃ!?お主は普段はリィンの身体の中にいるとのことじゃから、”その時”の事も当然知っておるのじゃろう!?」

「彼女が純潔をご主人様に奉げた時ですか……あれは今でも記憶に鮮明に残っている程の非常に印象深い出来事でしたね。何せ彼女自らご主人様に夜這いした挙句、”ご主人様を押し倒して混乱しているご主人様の理性を崩壊させて、自らの純潔を奪うように誘導した”のですから。」

「何と!?まさかアリサがそんな大胆な事までするとは!それでアリサは一体何をしてリィンの理性を崩壊させたのじゃ!?」

そしてリザイラとグエンはとんでもない会話を始め

「ちょっ!?リザイラ!?」

「あわわわわわわっ!?」

「ほえええええ~!?アリサ、凄い大胆な事をしたんだね~!」

「あ、あの……もう、そのくらいにしてあげた方が……」

「リ、リザイラ様~。これ以上はアリサが可哀想だから、もうやめてあげて~。」

二人の会話を聞いていたリィンとエリオットは顔を真っ赤にして慌て出し、ミリアムは目を丸くして驚き、セレーネとミルモは冷や汗をかいて苦笑しながら指摘し

「キャ、キャアアアアアアアアアア―――――ッ!?お願いだからもう止めて、お祖父様ッ!!リザイラッ!!」

アリサは顔を真っ赤にして悲鳴を上げた後二人を睨んで怒鳴った。

「そ、その………最近の学生は進んでいるのですね。」

「そうなのか?」

「アタシに聞かれても知らないわよ、そんな下らない事。」

クレア大尉は頬を赤らめて困った表情をし、ガイウスに尋ねられたセリーヌは呆れた表情で答えた。



「あはは……!それじゃあボクの番だね!」

その時無邪気な笑顔を浮かべるミリアムがリィンに飛びついた。

「うわっと……!」

「よく来たね~、リィン!クレアが一緒だったのはさすがに予想外だったけどー!」

「ふふ、色々ありまして。」

「ミリアムこそ……よくアリサとガイウスと一緒にいてくれたな。てっきり情報局の方に戻ってると思ったけど……」

「戻って来いって言われてないし、ノルドだったらボクも詳しいから。リィン達とまた会うまで一緒に行動するつもりだったよ?」

リィンの言葉を聞いたミリアムは無邪気な笑顔を浮かべて答えた。



「………そうか。本当にありがとう。」

ミリアムの答えを聞いたリィンは微笑んだ後ミリアムを地面に下ろした。

「みんなで力を合わせて残りの仲間たちも探し出そう。ミリアム、また力を貸してくれ。」

「えへへ……もっちろん!」

「あはは……」

「とりあえず、これでノルド高原にいる仲間の方達とは全員合流できましたから、一安心ですわね。」

「ああ、無事に再会できてこんなに嬉しいことはない。」

「ふふ……よかったですね、皆さん。」

互いの無事を喜び合っているⅦ組の面々をクレア大尉は微笑ましそうに見守っていた。

「ふふ、ワシの方からもおめでとうと言わせてくれ。積もる話もあるじゃろうがまずは一旦、湖畔に戻るとしよう。監視塔の様子も確認できたからな。」

「監視塔……」

「貴族連合が奪った高原南部にある―――」

リィンとクレア大尉の言葉に頷いたグエンは遠くに建っている監視塔に視線を向けた。



「以前、大破した後、建て直したみたいですが……まさか―――導力通信の不調と関係が?」

「ええ、そのまさかよ。」

「やっかいな仕掛けがあるみたいなんだよねー。」

その後ラクリマ湖畔に戻ったリィン達はグエンの家で説明を聞いた。 
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