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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)

作者:sorano
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第19話

ガレリア間道を進んでいたリィン達は途中で見つけた謎の遺跡によって、遺跡内を探索した後再びガレリア要塞に向かい、ガレリア要塞跡に到着した。



~ガレリア要塞跡~



「…………あ…………」

「こ、これが………」

「あ、あの”ガレリア要塞”だった場所なのですか……!?」

「………………………」

ガレリア要塞跡に到着したリィン達は目の前に光景―――――要塞があった場所がゴッソリくり貫かれているという信じられない光景に圧倒された。



「……アイスクリームみたいにくり抜かれてるね。」

「こんなことって……」

「は、話には聞いてたがとんでもないな……」

「あら?あのドーム型の”何か”は一体何なのでしょう?」

遠くに見えるドーム型の”何か”を見たセレーネは首を傾げ

「……遠くに見えるのが”クロスベル自治州”か。なんだか青白いものに包まれているみたいだが……」

リィンは真剣な表情で考え込んだ。



「……ギルド方面にも情報が入っちゃいたんだが……どうやらクロスベルは”力”を手に入れたらしい。それも、説明のしようがない絶対不可侵な”力”ってやつを。」

「絶対不可侵な、力?」

トヴァルの説明の意味がわからなかったエリオットは不思議そうな表情をした。



「なんでも、要塞を消滅させたのもその”力”の一環らしい。しまいには、あの青白い”壁”でクロスベル市全体を包み込んで……帝国はもちろん、諸外国からの一切の干渉を断ち切ったそうだ。さすがに荒唐無稽すぎて、ヨタの類だと思っていたんだが……」

「こ、この光景を見たら……あながり嘘にも思えませんね。」

「一体何があったのでしょう……?」

「フン……やっぱり”蛇”も関わってそうね。」

トヴァルの説明を聞いたマキアスは表情を引き攣らせて不安そうな表情をしているセレーネと共に遥か遠くにあるクロスベル市を見つめ、セリーヌは鼻を鳴らして目を細めた。



「クロスベルで”何か”が起きたのと、帝国での内戦勃発はほぼ同時だった。裏で糸を引いてる可能性は十分考えられるだろうな。」

「はああ~……」

「……とんでもないね。」

「クロスベルと言えば……”クロスベル警察”の”特務支援課”の人達は今頃何をしているんだろう?」

「以前の授業で模擬戦闘をした方達ですね。」

マキアスが呟いた言葉を聞いたセレーネはかつての授業の際、”特別模擬戦闘”として戦った”特務支援課”の面々を思い出した。



「そういや、お前さん達、例の警察の部署の連中とも会った事があるんだったな……ギルド方面からの情報なんだが、”特務支援課”の面々は”国防軍”とやらに捕えられて、それぞれ監禁の身らしい。」

「なっ!?ロイドさん達がですか!?」

「ど、どうしてですか?」

「警察の方達なのに、どうしてそんな事に……」

トヴァルの話を聞いたリィンは驚き、エリオットとセレーネは戸惑いの表情を見せた。



「詳しい経緯は知らねぇが……クロスベルの”力”の”正体”を考えると、多分特務支援課の連中はディーター市長に対して、その”力”を使う事に猛反対をして捕まったんだろうな……」

「”力の正体”、ですか?」

「トヴァルさんはその”力の正体”を知っているのですか?」

トヴァルの説明を聞いてある事が気になったマキアスは首を傾げ、セレーネは尋ねたが

「あ~……それについては悪いが言えねぇんだ。様々な複雑な問題があるからな……」

トヴァルは疲れた表情で答えを濁した。



「……”特務支援課”と言えば、”六銃士”の一人が彼らのトップにいたけど、”六銃士”も捕まったの?」

「あ…………」

フィーの疑問を聞いたリィンは一瞬で”六銃士”の一人にしてメサイアの父親―――ヴァイスの姿が思い浮かんだ。

「いや、連中は例の資産凍結がされる少し前に連中を慕う”六銃士派”と共に姿を消したらしくてな……今ではレジスタンス活動をして、現クロスベル政権に対する反撃の隙を窺っているらしい。」

「ええっ!?」

「確か”六銃士”はクロスベル警察、警備隊の上層部ですよね?一体何故彼らがレジスタンス活動を……」

(フフ、どんな逆境であろうと決して諦めないのは、例え世界は違えど同じなのですわね……)

そしてトヴァルの話を聞いたエリオットは驚き、マキアスは信じられない表情をし、リィンの身体の中にいるメサイアは微笑んでいた。



「色々と考えてしまうけど……今は”第四機甲師団”の所まで辿り着くのが先決だろう。これからどうするか………それを見極めるためにも。」

「そ、そうだね……早く父さんたちに会わないと。」

「たしか演習場は敷地の反対側だったな。よし、奥のほうから迂回して―――」

演習場に向かおうとマキアスが歩きはじめて少しするとカチッと何かを押す音がし、マキアスは思わず立ち止まった。



「……!?」

「今の音は……?」

「何かを押した音のように聞こえましたが……?」

音を聞いたリィンは真剣な表情になり、エリオットとセレーネは戸惑っていた。

「―――マキアス、動かないで!」

「へ――――」

そしてフィーはマキアスに警告した後一瞬でマキアスに詰め寄ってマキアスを突き飛ばして自分も距離を取った場所で着地するとマキアスがいた場所が爆発すると共に白い煙が辺りを包み込んだ!



「なあああっ!?」

「くっ……!?」

「きゃあっ!?」

「ゲホゲホ……な、なんだこりゃ!?」

「改良型の導力地雷(オーバルマイン)……やっぱり。―――いるんでしょ、二人とも。」

突然の出来事にリィン達が驚いている中、フィーは冷静な表情で呟いた後廃墟を睨んだ。



「――ハハ、なんや。気付いてたみたいやなぁ。」

「……腕を上げたようだ。」

突如聞こえて来た声に驚いたリィン達が視線を向けると、廃墟に長身の青年とドレッドの黒人がリィン達を見下ろしていた!



「あ、あれは!?」

「レグラムで会った……!」

「確か……カイエン公爵の護衛と思われる方達でしたわよね?」

「―――やっぱりか。」

二人の登場にリィン達が驚いている中、フィーは呆れた表情で呟いた。すると二人は跳躍してリィン達の目の前に着地した。



「久しぶりやなぁ、フィー。ひぃ、ふぅ、みぃ……だいたい2年ぶりくらいか?ハハ、ちょっとは背も伸びたみたいやなぁ。」

長身の青年は懐かしそうにフィーに話しかけ

「筋力、反応速度、瞬発力……全てが以前を上回っている。……これも時の流れか。」

黒人は静かな笑みを浮かべてフィーを見つめた。



「その紋章……”西風の旅団”か!」

二人の服についている紋章を見たトヴァルは警戒の表情でARCUSを構えて二人を睨んだ。



「ええっ!?」

「その名前は……!」

「確か――――フィーさんがいたっていう……!」

トヴァルの口から出た聞き覚えのある名前を聞いたセレーネ、リィン、エリオットはそれぞれ驚きの表情で青年―――”罠使い(トラップマスター)”ゼノと”破壊獣(ベヒモス)”レオニダスを見つめた。



「まーまー、そう気張らんといてや。せっかくの感動の再会に水を差すもんやないで。なあ、フィー?」

リィン達が警戒している中、ゼノは軽々とした口調で話しかけた後フィーに視線を向けた。

「変わってないね、ゼノ。でも、いきなりトラップはさすがにウザい。」

「んー、ほんの挨拶代わりやってんけどなあ。練習用のオモチャなんてなかなか懐かしかったやろ?まあ、仕掛けたんもあれ1個やから堪忍してや。」

フィーの指摘を聞いて困った表情をしたゼノは苦笑しながらフィーに問いかけた。



「ま、いいけど。レオも、元気そうだね。」

「ああ、2年そこらではお前ほど変わりはしまい。大人と子供の違いというものだ。」

「また子供扱いする。……二人とも、今までどこにいたの?2年前―――みんながいなくなってから足取りすら掴めなかったのに。」

「……さてな。」

「まー、昔のことやし細かいことは気にせんと。今は貴族連合の連中に機甲兵の指南とかしとるで。素直に聞く気あらへんし、あんま見込みもないからけっこう大変やけどな。」

「……そ。」

自分が欲しかった答えを誤魔化したゼノとレオニダスに対して、フィーは何も言わずジト目で二人を見つめた。



(な、なんだ……?妙に軽いというか。)

(まあ、フィーの顔見知りみたいだし……)

(もしかしたら、戦いを避けられるかもしれませんね……)

(油断するな、お前さんたち。あれでも”赤い星座”と並ぶ大陸最強の猟兵団の一つだからな。)

マキアス達の小声の会話を聞いたトヴァルは警告し

(って言ってもね……)

(フィーの古巣、か……)

警告を聞いたセリーヌは戸惑い、リィンは考え込んだ。



「そろそろ時間やな。もうちょい世間話でもしたかったとこやけど……生憎、今日は仕事で来ててな。」

「……一応確認するが、引くつもりはないな?」

「……ん。ここは”戦場”―――そして今は”敵”同士。だったら全力でかかるだけ。」

レオニダスの問いかけに頷いたフィーは真剣な表情で二人を見つめた。

「ハハ、わかってるみたいやな。」

そしてフィーの答えを聞いて満足した二人はそれぞれの武器を構えた!



「な……!」

「あの巨大な手甲は一体……!?」

二人の武器を見たリィンとセレーネは驚き

「ブレードライフルに、機械化手甲(マシンガントレット)か……!」

トヴァルは厳しい表情で二人の武器を分析した。

「そんじゃま、始めるとしよか。覚悟はええな―――トールズ士官学院”Ⅶ組”?」

「遊撃士共々、せいぜい死力を尽くすことだ。瓦礫と化した要塞に塵と撒かれたくなければな。」

二人の言葉を聞いたリィン達はそれぞれの武器を構えた。



「ううっ……!?」

「な、なんて圧力だ……」

「こうして相対しているだけでも、震えが止まりませんわ……」

二人の強さを感じ取ったエリオットとマキアス、セレーネは不安そうな表情をし

「二人とも団じゃ連隊長を務めてた。以前の模擬戦で戦った”闘神の息子”よりは強くないけど、それでも向こうの戦力が上。こちらの勝率は2割―――ま、死ぬ気で頑張って。」

「ほ、ほとんど勝ち目がないじゃないか!?って、そうだ!リィン、こういう時こそ君が今まで契約して来た異種族達――――ベルフェゴール達の力が必要だろう!?」

フィーの分析を聞いたマキアスは表情を引き攣らせて指摘した後すぐに自分達にとって”最強”の戦力を保有しているリィンに視線を向けた。



「わかっている!―――来い、ベルフェゴール!みんな、全力で迎え撃つぞ!」

そしてベルフェゴールを召喚したリィンは仲間達と共にゼノとレオニダスとの戦闘を開始した! 
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