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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)

作者:sorano
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第1話

~アイゼンガルド連峰・峡谷地帯~



「……今更だが、聞いておく。君は一体”何者”だ?どうしてそこまで色々な事に通じている?まさか、この期に及んで普通の猫とは言わないよな?」

「ったく、ようやく聞く気になったのね…………―――アタシはいわゆる”使い魔”ってヤツよ。ただし、アンタやエマ達が”契約”している”使い魔”達とは役割も全然違うわ。アタシは”魔女の眷属(ヘクセンブリード)”をサポートし、使命の手助けをする重要な役割を持っているのよ。」

リィンに問いかけられたセリーヌは呆れた表情で答えた後自分の正体を口にした。



「”魔女”―――エレボニア帝国に伝わる伝承の一つか。……”巨いなる騎士”といいまるでおとき話の世界だな。」

「あの時は驚きの連続でしたよね……」

リィンの言葉に続いたセレーネはセリーヌが喋った事やヴァリマールの登場等を思い出し、苦笑していた。



「事実は小説よりもってね。まあ、おとぎ話にある存在だらけのこのゼムリア大陸とは異なる異世界―――”ディル=リフィーナ”だったかしら?その世界で生活した事のあるアンタなら、今更疑わないでしょう?」

「ああ…………―――要するに、君のご主人―――委員長(エマ)は”魔女”だった。つまりそういうことか。」

「まだまだ”新米”だけどね。それと、どちらかっていうとあたしの方が”お目付け役”ね。」

セリーヌの話を聞いたリィンは今までのエマの意味ありげな行動や言動を思い出した。



「あの……そう言えば以前異世界に特別実習に行った時にエマさん、プリネ様に魔術に関しての本を読みたいために図書館に案内してもらっていたようですが、エマさんやセリーヌさんが使える”魔法”とは違うのですか?」

「ええ。魔術体系も全て違うと感じたけど、”秘印術”だったかしら?それに関してはアタシ達が使う魔法とは若干似ているようだけどね。」

(……事情があるのはみんな薄々察していたけど。委員長が”魔女”……突拍子はないけどしっくりくる言葉ではあるな。」

「?どうかしたの?」

セレーネの疑問に答えていたセリーヌは考え込んでいるリィンに気付いた。

「いや、何でもない。とにかく先に進もう。」

その後リィン達が進んでいると広い場所に出た。



「やっぱり、見覚えがある……以前、ユン老師に連れてきてもらった場所だ!」

「えっ!?そ、そうなんですか!?」

「それって確かアンタの剣の師匠っていう?」

周囲を見回したリィンの言葉を聞いたセレーネは驚き、セリーヌは尋ねた。



「ああ、ユン・カーファイ老師……”八葉一刀流”を開いた、”剣仙”とも呼ばれる人だ。このあたりは、5年くらい前に老師に修行で連れて来られた……俺の故郷”ユミル”から数時間ほどの場所だったはずだ。」

「ええっ!?ううっ、まさかお兄様の故郷が傍にあったのに気付かなかったなんて………」

「ふぅん。ま、よかったわね。なんとか日没まで人里に辿り着けそうな感じじゃない。」

リィンの話を聞いたセレーネは驚いた後疲れた表情をし、セリーヌは若干安堵した様子でリィンを見つめた。



「ああ、急いで向かおう。到着したらすぐにでも状況を確かめてみないと―――」

故郷への道を急ごうとしたその時地響きがした!

「この地響きは……?」

「も、もしかして大型の魔獣でしょうか……?この山に一月いましたけど、そのような魔獣に出会った事はないのですが……」

地響きは段々とリィン達に近づいてきた。



「この気配……近づいてきているのか?」

「もしかしてわたくし達を見つけたのでしょうか……?」

「―――まさか………!」

リィンとセレーネが周囲を警戒している中、何かを察したセリーヌは厳しい表情をした。すると崖の上に巨大な人形―――”魔煌兵”オルトヘイムが3体現れた!



「あれは―――”魔煌(まこう)兵”!!」

「知っているのか……!?」

「”騎神”や”機甲兵”とは異なるようですが……」

未知なる敵の存在を口にしたセリーヌをリィンは真剣な表情で尋ね、セレーネは戸惑いの表情で未知なる敵を見つめた。



「暗黒時代の”魔導のゴーレム”――――凄まじい戦闘力を持っているヤツよ!チッ、どうしてこんな所に3体も……!」

そして魔煌兵は雄たけびを上げた後跳躍してリィン達と対峙した!



「くっ……一旦逃げるわよ!人間が生身で戦って勝てる相手じゃないわ!」

「そうかもしれない……だが―――退くわけにはいかない。」

「今こそ修行の成果が問われる時です……!」

セリーヌの忠告を無視して太刀を構えるリィンに続くようにセレーネもレイピアを構えた。



「アンタね……ただでさえ本調子じゃないでしょう!?というか”魔王”達と契約しているんだから、戦うならせめてあいつらに任せなさいよ!」

「そうだな……それが一番賢い選択だろうな……―――だが、ベルフェゴール達の力ばかりに頼っていてはあいつに……―――クロウに届かず、クロウを”取り返せない”。―――だったら、全力で立ち向かうまでだ!」

「あ、ああもう……!あんた達も”主”が心配なら手伝いなさいよ!」

自分の忠告を無視続けるリィンの様子に呆れたセリーヌはリィンの身体の中にいるベルフェゴール達に呼びかけるかのようにリィンを見つめて言った。



「―――でしたら、私が一体引き受けます。リィン様とセレーネさん、それぞれ一体ずつ引き受けて下さい。リィン様のお気持ちもわかりますがさすがに2対3では多勢に無勢です。」

「メサイア……わかった、頼む……!」

「来ます……!」

そしてリィン、セレーネ、自ら出て来たメサイアはそれぞれが相手する魔煌兵と対峙して戦闘を開始した!




「――――――」

メサイアと対峙した敵はその手に持つ巨大な剣を振るって攻撃し

「…………っ!」

敵の攻撃を見切っていたメサイアはその身に備わる超人的な身体能力で敵の攻撃を回避すると同時に懐に飛び込み

「セイッ!もう一つ!」

クラフト―――二段斬りを敵の足に斬りつけた。



「―――――」

攻撃された敵は怯む様子はなくそのまま剣をメサイア目掛けて突きを放ち

「!!」

メサイアが攻撃を後ろに大きく跳躍して回避した瞬間、敵の剣が地面に刺さり、衝撃波が起こった!



「深淵の闇よ、我が手に集束せよ!―――行け!ヴォア・ラクテ!!」

敵から距離を取ったメサイアは両手から暗黒の電撃を解き放ち

「閃!!」

続けてクラフト―――虎口一閃を叩きつけた!するとメサイアの電光石火の突きによって敵の足に無数の斬撃が叩き込まれ

「まだですっ!――聖なる光よ、煌めけ!昇閃!!」

そして聖なる光を纏った剣をメサイアが振るうと敵の全身に光の斬撃波が叩き込まれた!



「―――――」

メサイアに攻撃され続けた敵だったがそれでも倒れずメサイアに反撃を仕掛け

「まだ、倒れませんか……!でしたら……!」

敵の反撃を回避し続けたメサイアはバックステップを何度もして敵から距離を取り

「我が身の深淵に眠りし聖と魔の力よ……全てを滅せよ!ハァァァァァァ…………!!」

全身に膨大な光と闇の魔力を纏って剣を構え

「―――終わりです!聖魔の目覚め!!」

剣で薙ぎ払いを放つと膨大な光と闇の魔力の波がメサイアに近づく敵を飲みこみ

「―――――――――!!??」

その身に伝わった凄まじいダメージによって敵は悲鳴を上げながら消滅した!



「――――――」

「キャッ!?」

セレーネと対峙した敵は剣を地面に突きたてて衝撃波を発生させるクラフト―――グランドクラックでセレーネにダメージを与えると共に怯ませ

「―――――」

そして追撃に剣を振るった。

「……っ!!」

しかしセレーネは間一髪後ろへと跳躍して敵の追撃を回避し

「雷光よ、我が右腕に宿れ!――――サンダーストライク!!」

右腕に宿らせた雷光のエネルギーを解き放った!



「――――!?」

雷光をその身に受けた敵は一瞬怯み

「アークス、駆動!―――セイッ!ハアッ!!」

セレーネはオーブメントを駆動させた後一気に敵に詰め寄ってクラフト―――ホーリーラッシュで一撃目を足に命中させた後そのまま跳躍して薙ぎ払いで敵の顔を攻撃した。

「――――!」

「キャッ!?」

顔を攻撃された敵だったが怯まずセレーネを巨腕を振るい、セレーネは武器でギリギリ防御に成功したが吹き飛ばされた。



「金耀の裁きの光よ、邪悪なる者に正義の鉄槌を!アルテアカノン!!」

「―――――!?」

その時オーブメントの駆動を終えたセレーネがアーツを発動すると空に光が刺した後、巨大な光の球体が敵を中心に降り注いで怯ませ

「―――これで決めます!運命の門、 汝も見るか、高貴なる極光!!」

それを見たセレーネが詠唱するとセレーネの背後に門が現れた後門から聖なる光の奔流が敵を襲った!

「マジェスティ・ゲイト!!」

「―――――!!??」

光の奔流をその身に受け続けた敵は崖から転落してその場からいなくなった!



「コォォォォ……ハアッ!!」

敵と対峙したリィンは気功技―――軽巧で本調子でない自身の身体能力を無理矢理上げ

「二の型―――疾風!!」

続けて電光石火の速さで攻撃した。



「―――――」

「クッ……!?」

神剣による一撃は確かに敵に効いていたが、魔煌兵はまるで受けたダメージを気にしない”狂戦士(バーサーカー)”のように剣を振るい、リィンは間一髪回避した。

「まだまだ……っ!妖の型――――弧武身妖舞!!」

そしてリィンは敵の足元に詰め寄って高速剣技による四連撃を叩きつけ

「斬の型――――滅綱斬!!」

続けて強烈な一撃を叩きつけた!



「―――――」

「グウッ!?」

しかし敵は反撃にクラフト―――グランドクラックで足元にいるリィンを吹き飛ばし

「負ける……かあっ!!二の型―――大雪斬!!」

吹き飛ばされたリィンは立ち上がった後そのまま跳躍して神剣を敵の頭に叩きつけようとした。しかし!

「――――」

「なっ!?」

敵は巨大な剣でリィンの神剣を防御して残りの片腕を振るってリィンに攻撃した!

「うあっ……!?グウ……ッ!?」

敵の攻撃を受けたリィンは吹っ飛ばされて地面に叩きつけられ、立ち上がろうとしたがその身に襲ってきた疲労によって地面に膝をついた!



「がはっ……はあはあ……!くそっ、セレーネ達はまともに戦えているのに……!」

戦闘中に地面に膝をついたリィンはそれぞれ一人で魔煌兵と戦っているセレーネとメサイアに視線を向けて悔しそうな表情をした。



「ああもう……だから言ったでしょ!」

セリーヌが呆れたその時魔煌兵は剣を構え

「―――下がりなさい!」

セリーヌはリィンの前に出て何とドーム型の結界を展開した!

「――――」

「きゃあ……っ!?」

しかし魔煌兵が剣を結界に叩きつける結界は破壊され、衝撃によってセリーヌは吹っ飛ばされた!



「――――セリーヌッ!?」

それを見たリィンはセリーヌを庇うかのようにセリーヌの前で武器を構えたが疲労によって地面に膝をついた。

(こんなところでやられるわけには……!Ⅶ組のみんな……!―――アリサ……ッ!)

「お兄様ッ!?」

「リィン様ッ!?今、助けます……!」

それぞれ魔煌兵との戦闘を終わらせた二人はリィンの窮地に気付いて血相を変えた。

「―――やらせるかよ!」

するとその時青年の声が聞こえて来た瞬間、魔煌兵の足元に光の十字架が現れ魔煌兵を浮き上がらせた!



「こ、これって……」

導力魔法(オーバルアーツ)……!?」

突如現れたアーツを見たセリーヌとリィンが呆けたその時

「くらえ―――エクス・クルセイド!」

光の十字架から衝撃波が発生して魔煌兵を怯ませた後、魔煌兵がいた地面が崩れ、魔煌兵は奈落の底へと落ちて行った!



「はあ、はあ……助かった、のか……?」

「今のは……」

「あ……っ!」

「まあ……!」

リィンとセリーヌが戸惑っている中、何かに気付いたセレーネとメサイアは明るい表情をした。

「―――兄様!」

「リィンさん……!」

「あ…………」

そして聞き覚えのある二人の少女の声を聞いたリィンが声が聞こえた方向へと視線を向けるとそこにはトヴァル、エリス、アルフィン皇女がいた。



「―――ふうっ……何とか間に合ったみたいだな。とにかく、無事で何よりだ。」

「ええ、本当に……!急いだ甲斐がありましたね!リィンさん、セレーネさん、それにメサイアさん。お怪我はありませんか!?」

「アルフィン殿下……トヴァルさん……?それに―――」

「―――リィン兄様!」

自分達を見て呆けているリィンにエリスは慌てた様子で駆け寄った。



「大丈夫ですか、兄様!?ああ、こんなに憔悴しきった様子で……!」

「この娘は……」

「エリス―――はは……嘘みたいだ……まさか、こんなところで会えるなんて……」

「っ……兄様……!今は喋らないで下さい!手当てをしてから、すぐにユミルへ……!」

「よかった……本当に無事で。でも、どうしてここに―――――」

心から大切にしている妹の無事な姿を見て安心したリィンは気絶して地面に倒れた!



―――リィンが薄れゆく意識の中でリィンの脳裏に”声”が響いていた。





――鋼鉄のように重々しくもどこか懐かしい”呼び声”が。





そては―――まさしくリィンを運命の螺旋へと誘っていたのだった。



















―――――汝、力を求めるか?―――――――― 
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