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究極変態スナイパーブリーフ13

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9部分:第九章


第九章

「喰らえっ!」
「死ねっ!」
 一斉に銃を放つ。それで蜂の巣にするつもりだった。しかしブリーフ13はそこにはいなかった。開かれた扉のところには誰もいなかった。
「何っ、いないだと!?」
「馬鹿な、扉は確かに開かれた」
 皆口々に言い唖然としていた。
「では一体何処に」
「消えた!?まさか」
 消えていたのではなかった。そこで上から銃撃はしてきた。そうしてそれによりまずは黒服のガードマン達が倒されるのだった。
「ぐわっ!」
「うわっ!」
「上からだと!?」
「まさか!?」
 二人だけ残った老人と美女がすぐに上を見上げる。するとそこに彼がいた。何と天井に張り付きそのうえで二人を見下ろしているのだった。
 その股間、ブリーフのポケットのところから銃身が出ている。そこから銃撃を放ったのは誰が見ても明らかであった。
「ブリーフ13、扉を開いてすぐに」
「上に跳んだというのか」
「俺はあらゆる事態を想定する」
 彼は天井に張り付いたまま二人に述べてきた。
「御前達がどうしてくるか。それはもうわかっていた」
「くっ、流石と言うべきか」
「それで天井に」
「そういうことだ。それでは最後の仕事だ」
「やらせん!」
 美女はそれを聞いてすぐに右手に持っている拳銃を上に向けた。それでブリーフ13を射殺しようというのである。しかしそれはできなかった。
「きゃっ!」
 ブリーフの銃身から攻撃を放ちそれで彼女の胸を貫いた。心臓を撃たれた彼女は床の上に倒れて。そのうえで土気色の顔になって事切れるのだった。
「これで貴様一人だな」
 ブリーフ13は老人一人になったところで床の上に降り立った。その際膝を折り曲げて着地し腰を曲げ衝撃を殺すことも忘れない。見事な身体の動きであった。
「コッサロ=ロベルト。麻薬シンジケートセンデロのドンだな」
「そうだ」
 老人はブリーフ13が呼んだその名前に対して頷いてみせた。
「それがわしの名だ」
「わかった」
 ブリーフ13は彼の言葉を聞いてあらためて応えた。なお頭にはあのサンタの帽子がそのまま被られている。
「では。覚悟してもらおう」
「その前に聞きたい」
 ロベルトはここでまた言うのだった。
「貴様は裸だな」
「その通りだ」
 それを聞いてもやはり動じないブリーフ13だった。
「それがどうかしたのか」
「この寒さは。貴様は何故平気なのだ」
 このことを彼に問う。
「この寒さに裸で。何故だ」
「俺は暑さ寒さを知らない」
 その問いに対しての返答はこれであった。
「常に裸でいるからだ。北極でも赤道でもこの格好で問題はない」
「慣れということか」
 答えはこれであった。
「結局のところは」
「そういうことだ。人間はあらゆることに慣れることができる」
 表情は全く変わらない。
「そして俺は。その適応能力が人の限界のレベルにまで達している。それだけだ」
「わかった」
 ここまで聞いて完全に納得するロベルトだった。
「全てな。ではもう言うことはない」
「覚悟はできているのだな」
 ロベルトの方へ一歩前に出て問うた。
「では。仕事をさせてもらう」
「ここまで来てあがくつもりはない」
 このことに関しては彼も先の二人と同じであった。あがくことはしない。
「では。やるがいい」
「わかった」
 ブリーフ13はロベルトの最後の言葉に頷くとそのまま彼を吸い込むようにしてその両手に掴んだ。そのうえで彼を逆さまにしブリーフの中にその頭を突っ込む。丁度顔が股間に当たる形でだ。
 そうしてから大きく跳び上がり空中で激しく横に回転する。そのまま落下し床にパイルドライバーで脳天を砕くのだった。スクリューパイルドライバーである。
「名付けてブリーフ13式スクリューパイルドライバー」
 彼は技を放ち終え老人の頭をブリーフから引き抜いたうえで述べた。
「この技を受けて生きた者はいない」
 そのブリーフの中に右手を突っ込みボリボリと掻きながら言う。
 あとはそのブリーフの前から葉巻を取り出して静かに火を点け美味そうに吸い始めた。ロベルトの顔の至る場所にチーズの如き垢がこびりつき口や目、鼻には縮れた毛が満ちていた。そうして彼は苦悶の表情の中で事切れ動かなくなっていたのであった。
「そうか、終わったか」
「はい」
 あの長官が若い男の言葉を聞いて頷いていた。今彼等は官庁のオフィスにいた。長官は執務用の机に座り若い男がその前に立っている。長官の席の後ろには一面の窓がある。
「三人を。完全に始末したそうです」
「そうか、予想通りだ」
 長官は彼のその報告を聞いて静かに頷いた。
「流石はブリーフ13だ。仕事は的確なうえに迅速だ」
「ですが長官」
 しかしここで若い男は怪訝な顔になり言うのだった。
「その仕事の仕方がです」
「気に入らないというのか」
「私も話は聞いています」
 やはり彼もこのことを知っているのだった。だからこその言葉である。
 
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