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究極変態スナイパーブリーフ13

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8部分:第八章


第八章

「如何にあの男といえどな」
「左様ですか。それでは」
「来るなら来い」
 今度はチョコレートを口の中に入れていた。やはり身体を暖めることを優先させている。
「ブリーフ13、その時が貴様の最後だ」
 狙われている者の目ではなかった。狙っている者の目だった。彼は決して敗れてはいなかった。
 その雪に覆われた屋敷の周りは男達が銃を手に二重三重に取り囲んでいる。総勢で三十人はいる。それだけの数で護っているのだった。
 夜だが雪は降り続いている。そしてその雪の中で。男達のうちの一人が屋敷の外の方を指差したのだった。
「来たぞ、あれだ!」
「あれは・・・・・・サンタクロースか!?」
「いや、違うモビルカーだ!」
 見れば確かにモビルカーだった。赤いモビルカーにはやはりあの男が乗っていた。頭には赤いサンタの帽子を被っており白い付け髭をつけてはいるが服は相変わらずブリーフ一枚であった。その異様な姿で屋敷に向かってきているのだった。
「ブリーフ13、あれはサンタの格好か!?」
「一体何を考えている!?」
 だがその言葉より前にだった。ブリーフ13はモビルカーを止めそのうえでブリーフ一枚で雪原に降り立った。彼はすぐに無数の武装した男達に取り囲まれるのだった。
「動くな!」
「ドン=メッサリコとドン=フェデリコの仇だ!」
「死ね!」
 全員で今発砲し蜂の巣にしようとする。しかしそれより前にブリーフ13のあのブリーフの前が開いた。そしてそこから出て来た銃口が火を噴き。
「うわっ!」
「ぐわっ!」
 男達は瞬く間にその眉間か心臓を撃ち抜かれ忽ちのうちに土気色の顔となり半ば白目を剥いて倒れた。まさに一瞬であった。
 ブリーフ13は男達を倒し終えるとそのまま屋敷の中に向かう。そうして屋敷の中の男たちを次々と股間のマシンガンで倒しつつ奥へ奥へと進んでいく。
「来たのか!?」
「は、はい!」
「ブリーフ13です!」
 護衛の男達が老人に対して驚きの声で答える。
「恐ろしい強さです!」
「屋敷の外の連中は全員倒されました!」
「あれだけの数がか!」
「はい、一瞬で」
 しかもそれだけではないのであった。
「あれだけの数が一瞬で、です」
「くっ、この雪の中で裸で動けるというのか」
 まずはこのことに歯噛みする老人だった。
「ブリーフ13、奴は人間なのか?」
「そしてこちらに向かっています」
 老人にとって悪い話はさらに続くのだった。
「屋敷の中のガードマン達を倒しながらです」
「まさかこの部屋にも」
「来る可能性は否定できません」
 ここで美女が険しい顔で応えてきた。
「それもまた」
「わかっている。最悪の事態も考えておくか」
「はい、その際は」
 美女は懐からあるものを出してきた。見ればそれは拳銃である。彼女はそれで老人を護ろうというのだ。彼女もまた護衛の一人であった。
「私もいますので」
「頼むぞ」
 老人は美女の言葉を聞いていささか落ち着きを取り戻して述べた。
「その海兵隊でナンバーワンになった射撃の腕、頼りにしているぞ」
「海兵隊は地獄でした」
 どうやら彼女はアメリカ海兵隊出身らしい。海兵隊で地獄といえばアメリカ海兵隊である。これはもうそのままつながる言葉になっていた。
「それに比べれば。ブリーフ13なぞ」
「そうだったな。所詮相手は一人だ」
 如何にブリーフ13といえども、ということである。
「海兵隊は一度に何十人を相手にすることもあるそうだな」
「まず死地に飛び込みます」
 美女の顔は険しいものになっていた。その端麗な顔が今では軍人のものになっている。
「そこで生き残り勝利を得なければならないのですから」
「その海兵隊で死神と言われ多くの部隊を勝利に導いてきた」
 老人は美女をみながら言葉を続けていく。
「その腕を見せてもらうぞ」
「いざという時には」
 こうした話を交えさせながら備えていた。銃声が次第に近付いてきている。そうして遂にであった。部屋の扉が開く音がした。
 部屋にいる者は皆固唾を飲む。扉が開くのを待っているようだ。そのうえで誰もが銃を構えている。そして扉がガチャリ、という音を立て開かれると。
 
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