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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅰ篇)

作者:sorano
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外伝~人間に降りし妖艶魔王~

~旧校舎・地下一階~



「あー、気持ちよかった♪それに精気もとっても美味しかったし♪フフ、貴方も気持ちよかったでしょう?私の中に出させてあげた事は勿論、男なら絶対に喜ぶ胸や口での奉仕をして飲んであげたどころか、お掃除もしてあげたんだから。”初めて”で”女”をここまで味わえる男なんて滅多にいないわよ♪」

プリネ達が結界への攻撃を仕掛ける少し前リィンに”性魔術”をしたベルフェゴールはリィンに微笑み

「ううっ……こんな滅茶苦茶非常識としか思えない形で体験するなんて……」

ベルフェゴールの”性魔術”によって失った力を与えられ、起き上がって身だしなみを整え終えたリィンは肩を落として呟いた。



「何よ、そんな暗い顔して。あ、もしかして”初めて”の相手は”処女”の方がよかったのかしら?」

「なっ!?そ、そんな問題じゃない!結婚もしていないどころか、ましてや恋人同士でもないのに、こんな事をするなんて普通に考えておかしいだろ!?」

そしてベルフェゴールの質問に顔を真っ赤にして否定したリィンは指摘し

「初心な子ね~。異性同士が使い魔契約する時の方法は大概”性魔術”でするものよ?」

リィンの指摘にベルフェゴールは苦笑しながら答えた。



「それ以前に何で俺なんかと契約する気になったんだよ!?それも”魔神”程の凄まじい力を持つ存在が俺みたいな唯の人間なんかに。」

ベルフェゴールの言葉を聞いたリィンは疲れた表情で指摘したが

「”唯の人間”ではないでしょう?」

「…………………」

口元に笑みを浮かべて意味ありげな視線で自分を見つめるベルフェゴールの答えに反論できず、複雑そうな表情で黙り込んでいた。



「フフ、それじゃあ話を戻すけど私が貴方と契約する気になったのは、貴方から面白い匂いを強く感じたから契約する気になったのよ♪」

「面白い匂い?」

「ええ。さっき見せた変身もそうだけど、貴方、将来女性関係でとっても苦労するわよ♪私はそれが見たいのよ♪」

「そ、そんな下らない理由で……というか、今もアリサに謝れなくて困っているのに不穏な事を言わないでくれ……」

笑顔で言ったベルフェゴールの普通なら馬鹿馬鹿しいと思うような下らない理由にリィンは表情を引き攣らせた後溜息を吐いた。



「あら、その様子だと既に女性関係で苦労しているようね~?」

「うっ。」

「フフ、まあ貴方にとっても私と契約したら、さっき見せてくれた変身をして万が一暴走した時のストッパー役として私がいるから安心じゃないのかしら?」

「!!何でそれを……………」

ベルフェゴールに図星を言い当てられたリィンは驚いた後複雑そうな表情でベルフェゴールを見つめた。



「さっきの二人を逃がして変身した時点で、考えが見え見えよ。暴走の可能性が高いさっきの変身状態で二人を傷つける事を恐れていた事がね。」

「………………………一つだけ、約束してくれ。」

「?何かしら。」

「俺と契約している間は俺達が戦う相手以外は絶対に傷つけない事。それは約束してもらうぞ。」

「もしかして私が何の罪もない人達を夜な夜な殺す血も涙もない悪魔とでも思っていたのかしら?だとしたら、偏見よ。大体私は罪もない人達を殺すなんて悪趣味な事はしないし、気持ちいいコトをする事や面白い物を見る事の方がよっぽど好きだし、”魔神”の中では”人間”という種族自体も好きな方よ?」

真剣な表情のリィンに見つめられたベルフェゴールは首を傾げた後呆れた表情をしてリィンを見つめ

「そうか………」

ベルフェゴールは危険な存在ではないと理解したリィンは安堵の溜息を吐いたが

「あ、でも私と契約したからには時々”性魔術”で精気を分けてもらうからね♪」

「なっ!?」

からかいの表情で自分を見つめて言ったベルフェゴールの発言に顔を真っ赤にして驚いた。するとその時パリンとガラスが割れるような音がした!



「!?何だ、今の音は……!?」

「あら。私の結界を力づくで破るなんて、一体誰かしら?”一角”の力では無理なはずよ。」

音を聞いたリィンは驚いて周囲を警戒し、ベルフェゴールは目を丸くした。するとその瞬間、扉が開かれサラ教官、レーヴェ、プリネ、ツーヤ、そしてアムドシアスを先頭に”Ⅶ組”のメンバーが次々と部屋に突入して来た!



「リィン、助けに来たよ!って、わあ!や、やっぱりまだいた~!!」

「どうやら間に合ったようだな……」

部屋に入って来て叫んだエリオットはすぐにベルフェゴールの存在に気付いて不安そうな表情をし、ベルフェゴールの傍に無事な様子で立っているリィンを見つけたガイウスは安堵の溜息を吐いた。



「な、なななななな、何だその破廉恥な格好の女性は!?」

「し、下着姿じゃない!」

「もしかして痴女?」

「み、皆さん。今はそんな事を気にしている場合じゃないのでは……」

一方肌をふんだんに見せ、下着としか思えないようなベルフェゴールの服装を見たマキアスとアリサは顔を真っ赤にして混乱し、フィーは呆れた表情でベルフェゴールを見つめ、マキアス達の様子にエマは冷や汗をかいて表情を引き攣らせ

「………”闇夜の眷属”の女性とは皆、ああいう服装なのか?」

「い、いえ。確かに睡魔族は総じて目の前の方に似たような姿ですけど、他は違いますよ。」

「やれやれ……睡魔族の存在によって”闇夜の眷属”の女性全体が誤解されないといいのだがな。」

「アハハ……」

一瞬でベルフェゴールから視線を外して何事もなかったかのような静かな表情のユーシスに尋ねられたプリネは冷や汗をかいて表情を引き攣らせ、レーヴェの言葉を聞いたツーヤは苦笑した。



「皆、見た目で判断するな!目の前の存在は凄まじい力を秘めているぞ!」

「我の至福の時間を邪魔した事、絶対に許さんぞ、この好色魔が!」

ベルフェゴールの強さを感じ取っているラウラは警戒の表情でベルフェゴールを睨みながら警告し、アムドシアスは怒りの表情でベルフェゴール向けて矢を放った!



「っと!”一角”ったら、再会して早々、何でそんなにカリカリしているのよ~。」

解き放たれた矢を回避したベルフェゴールが呆れた表情をしたその時跳躍したサラ教官がベルフェゴールの上空から猛スピードで強化ブレードを叩きつけ、ベルフェゴールは側面へと飛行して回避した!

「チッ、避けられたわね。」

攻撃を回避されたサラ教官は舌打ちをしながら導力銃の銃口をベルフェゴールに向けて連続で銃撃を放ち

「んもう!さっきから何なのよ~!私が何をしたって言うのよ~!ちょっと~、貴方もボーっとしていないで早くその人達に私は敵じゃないって、説明してよ~。私のご主人様でしょう?」

サラ教官の銃撃をベルフェゴールは頬を膨らませて結界を展開して防ぎながらリィンに視線を向けた。



「ハアッ!?」

「え……」

「あ、あの。今、リィンさんを見つめて”ご主人様”って言ったような気がしたのですが……」

ベルフェゴールがリィンを見つめて言った言葉を聞いたサラ教官は驚いて攻撃の手を止め、プリネは呆け、ツーヤは信じられない表情でベルフェゴールを見つめ

「………確かにその男と魔力が繋がっているな。一体何を考えている?好色魔のお前が一人の人間に従う等天地がひっくり返ってもありえんぞ?」

ベルフェゴールとリィンを見比べて二人が”契約”している事を悟ったアムドシアスは疑いの視線でベルフェゴールを見つめた。



「失礼な言われようね。芸術馬鹿の貴女にそんな事を言われる筋合いはないわよ。全く、あんなののどこがいいんだか……」

「何だと!?男漁りが趣味のあばずれな貴様に芸術を冒涜する権利等ない!」

呆れた様子で溜息を吐いたベルフェゴールの言葉に反応したアムドシアスはベルフェゴールを睨み

「”七大罪”の一柱を司る”魔神”に対して”あばずれ”は幾ら何でも失礼な言い方じゃないかしら?私は他の睡魔と違って、手当たり次第に男を誘惑して精気を吸ったりなんか、していないわよ。」

そして二人は睨み合いを始めた。



「え、えっと……」

「と、とりあえず敵意はないようですね……」

二人の会話を聞いた周囲の者達が脱力している中、ツーヤとエマは苦笑し

「……とりあえず、どういう事になっているのか説明してもらえるわよね?」

「は、はい。」

サラ教官に視線を向けられたリィンは頷いた後、ベルフェゴールと一人で戦って敗北した時、何故かベルフェゴールはリィンを気に行ったという理由でリィンと”契約”してリィンの使い魔になった事をベルフェゴールと”契約”するさいの方法を誤魔化しながら説明した。

「ええっ!?じゃ、じゃあその人、プリネとアムドシアスさん達の関係みたいに、リィンの使い魔になったの!?」

「あ、ああ。俺自身、実感がまだ全然わかないんだが……」

「………………………」

事情を聞き終えて驚いたエリオットの言葉にリィンは戸惑いの表情を見せ、エマは信じられない表情でベルフェゴールを見つめ

「フフ、それじゃあこれならどうかしら?」

リィンの様子を見たベルフェゴールは光に包まれてリィンの身体と同化した。



「なっ!?き、消えた!?」

「プリネの使い魔達が見せた現象と同じだな……」

ベルフェゴールの行動にマキアスは驚き、ガイウスは目を丸くしてリィンを見つめた。そしてベルフェゴールが再びリィンの傍に現れ

「これで、私はもう敵じゃないってわかったでしょう?」

サラ教官を見つめて尋ねた。



「………………………まだ、肝心な事を確認していないわ。今後あたし達に危害を加える気は一切ないのね?」

ベルフェゴールから敵意を一切感じられないながらもサラ教官は警戒の表情でベルフェゴールを睨んで尋ね

「ええ。この子の使い魔になったから、今後はこの子が生きている限りはこの子の言う事をちゃんと聞くわ。―――例えば、”夜伽”を命じられた時とかね♪」

尋ねられたベルフェゴールは頷いた後魅惑的な笑みを浮かべてリィンを見つめた。



「なっ!?」

「ええっ!?」

一方ベルフェゴールの発言にリィンは顔を真っ赤にして驚き、リィンと同じように顔を真っ赤にしたエリオットは信じられない表情でベルフェゴールを見つめ

「オレ達がいる前であんな事を発言するなんてある意味、凄い度胸だな……」

「フン、正真正銘の痴女だな。」

「むしろ”痴女”等、生温い呼び方だ。」

ガイウスは目を丸くしてベルフェゴールを見つめ、ユーシスは鼻を鳴らし、ユーシスの言葉を聞いたアムドシアスは蔑みの表情で答えてベルフェゴールを見つめ

「よ、夜伽!?そ、そそそそそ、それって……!」

「…………………」

「……………助けに来て損した。」

「え、えっと……じょ、冗談ですよね……?」

アリサは顔を真っ赤にした後リィンを睨み、ラウラは顔を真っ赤にした状態で固まり、フィーは蔑みの視線でリィンを睨み、エマは冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。



(やれやれ………相手が睡魔族となると冗談にならないのではないか?)

(そ、そうよね……というかそれ以前に使い魔契約した方法ってもしかして…………)

(恐らく”性魔術”でしょうね。異性同士が使い魔契約する時はその方法が多いという話ですし。)

呆れた様子で小声で話しかけてきたレーヴェの言葉にプリネは冷や汗をかいて表情を引き攣らせ、ツーヤは頬を赤らめて苦笑しながらリィンとベルフェゴールを見つめていた。



「な、なななななななっ!?リ、リィン!まさかとは思うが……!」

「ち、違うからな!?ベルフェゴールが勝手に言っているだけで、俺は絶対にそんな命令をするつもりはない!」

そして顔を真っ赤にして混乱している様子のマキアスに視線を向けられたリィンは慌てた様子で否定し

「あ~、ここにいる子達には刺激が強すぎるから、そういう話は止めてもらえないかしら?というかその格好、何とかならないのかしら?ウチの生徒達には勿論そうだけど、町の人達にも刺激が強すぎるわよ。」

リィン達の様子を見たサラ教官は疲れた表情でベルフェゴールを見つめて指摘した。



「面倒ねえ………睡魔はこの格好が普通なのに、どうして貴女達に合せなくちゃならないのよ。」

サラの指摘にベルフェゴールはつまらなそうな表情をしたが

「お、俺からも頼む。さすがにその姿で町や学院に出たりするとみんなが混乱するから。」

「はいはい、ご主人様のご命令なら仕方ないわね。――――これでどうかしら?」

リィンに言われ、指を鳴らした。すると肌をふんだんに見せていたベルフェゴールは肌の露出をかなり抑えた私服姿になり、翼も隠して見た目は人間に見えるようになった。



「凄いな。一瞬で服装が変わったぞ。」

「い、一体どういう原理なんだ?全然、理解できない……」

「…………………」

一瞬で服装を変えたベルフェゴールにガイウスは目を丸くし、マキアスは疲れた表情をし、エマは真剣な表情でベルフェゴールを見つめ

「町に出る時とかはこの格好で出てあげるけど、戦闘の時はさっきの格好にさせてもらうわよ。あっちの格好の方が戦いやすいし。」

「うっ。わ、わかった。」

ベルフェゴールの言葉に一瞬唸ったリィンだったが、すぐに気を取り直して頷いた。



「じゃ、私はご主人様の中で休んでいるから、用がある時に呼んでね~。」

そしてベルフェゴールがリィンの身体に同化してその場から消えると、その場に静寂が訪れ

「帰って寝よっと。」

「フン!こんな事なら駆け付けなきゃよかったわ!」

「全く人騒がせな……この埋め合わせはいつかしてもらうからな?」

フィー、アリサ、ユーシスがそれぞれその場から離れて地上へと向かい

「え、えっと……もう大丈夫なようですし、これで失礼しますね。」

「……どうやら危機は去ったようなので私も失礼する。」

「ま、まあ何はともあれクラスメイトが無事でよかったよ。」

「私達も戻りましょうか、ツーヤ、アムドシアス。」

「は、はい。」

「うむ!時間は有限だ!あの好色魔の事はさっさと忘れて、練習に専念するぞ!」

「……………」

3人の行動を合図にエマ、ラウラ、マキアス、プリネ、ツーヤ、アムドシアス、レーヴェもその場から離れた。



「そ、その……みんなもそうだけど、二人にも迷惑かけて、本当にごめん。サラ教官、本日は迷惑をかけて本当に申し訳ありませんでした。」

「アハハ、気にしないで。リィンが無事で何よりだよ。」

「ああ。」

その場に4人だけになったリィンは申し訳なさそうな表情で3人に謝罪し、謝罪された二人はそれぞれ受け入れたが

「リィン。”実技テスト”ではあんただけ、今予定している内容以外にもやらせるから今から覚悟していなさい。」

「ええっ!?」

ジト目のサラ教官の言葉にリィンは驚いた。



「”Ⅶ組”全員を心配させた上、あんた達以外のクラスメイトの”自由行動日”の予定を崩した罰なんだから、このくらい受け入れて当然よ。」

「う”っ。わ、わかりました。」

そしてサラ教官の指摘に肩を落として頷いた。その後学院長に旧校舎での出来事を説明したリィンは学院長から今後の探索も頼まれて引き受けた後、翌日に備えて身体を休める為に学生寮へと向かった。



こうしてリィンは心強き仲間を手に入れた…… 
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