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アントリアン=プク

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第三章

「服かアクセサリーの色は変えてくれよ」
「ええ、わかったわ」
「お兄ちゃんもわかりにくいしね」
「それならね」
「そうするわ」
「ああ、そうしてくれよ」
 こう話してだ、そのうえでだった。
 オルガとロッタは祭りの服に着る民族衣装のことを母に尋ねた、すると母は娘達にすぐにこう答えた。
「あるわよ、ちゃんとね」
「じゃあそれを着てね」
「お祭りに出ればいいのね」
「ええ、ただね」
 ここで首を傾げさせてだ、母は娘達に言った。
「貴女達の分で二着あるけれど」
「色は同じ」
「そうだっていうのね」
「そうなのよ」
 こう娘達に話した。
「これがね」
「同じなの」
「どちらの服も」
「そう、実際に今着てみる?」
 母は娘達にこうも提案した。
「それで確かめてみる?」
「うん、服はやっぱりね」
「着てみてわかるしね」
 二人も母の言葉を受けて言う。
「見ただけじゃわからないし」
「それじゃあね」
「ええ、出すからね」
 その服をとだ、母も娘達に応えてだった。
 服を出してだ、娘達に着させた。オルガとロッタはその民族衣装を着てみたが。
 黒い靴に緑地で白の縦縞のストライブの長いスカートに白のブラウス、赤紐で止めるベストは黒である。
 エプロンは白地で青と赤のラインが横に何本ずつか入っている。小さなポシェットが腰にあり頭にはヘッドギアの様な飾りがありそこからかなり長い紐が数本垂れている。
 その全く同じ衣装になってだ、二人はまずこう言った。
「確かにね」
「同じ色よね」
「ポシェットも赤でね」
「エプロンも一緒で」
「それにこの髪飾りもね」
「ヘッドギアみたいなの」
「その服全体でアントリアン=プクっていうのよ」 
 母は娘達に服の名前を話した。
「ここの服ね」
「ああ、ここ昔アントレアっていったわね」
「今は地名変わったけれどね」
「そのアントレアの服ね」
「そういう意味ね」
「そうよ、そうした意味の名前よ」
 実際にというのだ。
「覚えておいてね」
「ええ、アントリアン=プクね」
「覚えたわ」
 二人は母の言葉に頷いた、だが。
 二人でその頭の彼女達が言うヘッドギアの様な飾りにそれぞれ視線をやり手で触ってみてだ、母に尋ねた。
「それでこの飾り何?」
「何なの、これ」
「面白い飾りだけれど」
「妖精が被るみたいな」
「それはシュケロっていうの」
 母は娘達に話した。
「これはね」
「シュケロっていうの」
「そうなの」
「そう、シュケロよ」
 母は二人にまた話した。
「そうした名前なの」
「そう、シュケロね」
「それがこの飾りの名前なのね」
「何か面白いけれど」
「そうした名前なのね」
「そう、ここの服で一番特徴があるわね」
 母もこう言う。
「目立つでしょ」
「確かにね、一番ね」
「これが一番目立つわ」
「最初何かって思ったわ」
「妖精の髪飾りかって」
「そう思ったでしょ、けれど違うから」
 それはというのだ。 
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