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アントリアン=プク

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第二章

「僕でも見分けがつかないからな」
「鏡合わせみたいに」
「お兄ちゃんから見ても」
「そうだよ、今度のお祭りというか今からでもそうしてくれ」
 さらに踏み込んでの言葉だった。
「本当に」
「じゃあ私が赤でね」
「私が青とかね」
 オルガとロッタはそれぞれ言った。
「そうする?」
「色違いでね」
「そうしてくれるか、せめてヘアバンドでもな」
 二人が頭に付けているそれでもというのだ。
「せめて色違いにしてくれ」
「赤とか青とか」
「それぞれってことね」
「じゃあ下着の色も変える?」
「今は同じ色だしね」
「下着までは言わないからな」
 ヘルデンはそれはいいと返した。
「妹の下着には興味ないからな」
「あら、そうなの」
「妹の下着姿に興味ないの」
「ある兄貴がいるかも知れないが僕は違うからな」
 ヘルデンは妹達にまた言い返した、それも先程よりも強い言葉で。
「妹に興味を持つか」
「そうなの、これでも容姿には自信あるけれど」
「私もね」
「それでもなのね」
「お兄ちゃんには興味ないのね」
「色気のない日常の姿をいつも見ていてな」 
 それこそというのだ。
「そんなの感じるか」
「そういうものなのね」
「確かに私達家だと結構だらけてるしね」
「ぐうたらもしてるし」
「朝の顔なんて凄いし」
「そんな姿をいつも見ているからだよ」
 だからだというのだ。
「それこそな」
「そうなのね、まあとにかくね」
「着ている服位分けろってことね」
「これからは」
「そうよね」
「そうだよ、それで今度の祭りの時はな」
 また言ったヘルデンだった。
「二人共民族衣装着るよな」
「ああ、フィンランドのね」
「我が国のね」
「フィンランドの服は多いからな」
 それこそというのだ。
「四百もあるからな」
「人口少ないのに民族衣装多いのよね、我が国って」
「不思議とね」
「こんな国他にないわよね」
「数百万位の人口で民族衣装四百って」
「ないわよね」
「まあないだろうな」
 兄もこう言う。
「そんな国も」
「それで四百もあって」
「それでどの服着るかよね」
「四百のうちのね」
「どれか」
「まあここの服を着るのが妥当だな」 
 その四百あまりの民族衣装の中でもだとだ、ヘルデンはオルガとロッタに対して言った。
「カメンノゴルスクのな」
「ここのなのね」
「ここの民族衣装着るのが妥当なのね」
「一番手に入りやすいしな」
 だからこそというのだ。
「ここはそれ着たらいいだろ」
「ええ、じゃあね」
「ここの服着るわね」
「このカメンノゴルスクのね」
「それを着るわね」
「家にもあるだろ」 
 この地方の民族衣装はというのだ。
「ここに代々住んでるしな、僕達は」
「よし、それじゃあね」
「お母さんにお願いして出してもらって」
「それ着てね」
「お祭りに出ましょう」
「そうしたらいいだろ、ただその時もな」
 ヘルデンは妹達に話を戻してあらためて言った。 
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