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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第一章 WORLD LINK ~Grand Prologue~
  らき☆すた ~崩壊、させない~




「おお・・・・蒔風よ。せっかくあっさりと終わらせそうだったのによ」

「なんで隔離した?オレの世界のときみたいに、街ごと吹き飛ばせばよかったじゃないか」

「なに、ここの辺にいたのはほとんどが脇役だ。オレはそういう奴らには優しいんだぜ?」

「オレの世界では全部ぶっ壊してくれたくせにか?」

「ああ、あのときね。だってお前なんだもの。腹立つだろ?」

「他の人を脇役扱いしてる時点で、お前はそいつらを見下してるんだぜ?わかってんのか?」

「はん!おれはな、あいつらのことを気にはかけてやる。不必要な手も出さん。だけどな、同時に哀れだと思ってんだよ。自分がステージに立ててないことすら認識できてないあいつらをな」

「だから全員をステージにってか?」

「そうだよ。俺ってやっさしーー、だろ?」

「そのために流される涙を貴様は知ってんのか?」

「最主要の涙など知らん。そんな奴らのそんなものなんて、気にかける必要あるかよ」





「蒔風・・・・くん?言ったい何の話を?」


こなたがおずおずと話しかけてくる。
やはり気になってしまうのだろう。
後ろのほうでみゆきとつかさが怯えており、かがみが信じられないような眼で蒔風を見ていた。

「おう、あの野郎はな、お前らを殺してこの世界を喰うって奴だ。だから俺が助けに来た」

「ちょっと待ちなさいよ!!なんであたしたちなのよ!それにあんたは・・・」


そこに「奴」が割り込んでくる。

「はっはっは!お嬢さん方!!教えてあげようか!!てめえらはこの世界の中心人物なんだよ!!だからてめえらを殺せばこの世界は壊れる。そのためにオレはここに来たんだよ!!」

「な、世界とか、わけわかんないこと言ってんじゃないわよ!!せかいのちゅうしん??そんなの、知らないわよ!!」

「ではこの状況をどう説明する?それに、貴様の目の前のその蒔風も、別世界の人間だぞ?それをお前は知っているはずだ」

「? かがみ、どういうこと?」

「蒔風さんを知ってたんですか?」

こなたとみゆきの問いに、かがみが答える。


「あたしは・・・確かに知ってる。でも会ったことはないわ。それにあんたは読まないから知らないでしょうけど・・・・」

「?」







「蒔風舜っていうのはライトノベルの主人公の名前なのよ」


「え?」

「そんな・・・・」

「かがみ・・・ただの同じ名前じゃ・・・」

「そうだと思ってたわよ・・・でも、挿絵の絵と、全く一緒なのよ、こいつ・・・・」

「はっはっはっはっはっはっはっは!!!蒔風、ついにお前が作品になっている世界に来たなあ!!」

「どうなのよ・・・あなたは本当にあの蒔風舜なの?」



「たしかに・・・オレはお前の言う作品に出てくる蒔風舜だろうな」

「そんな!!」

「オレはその世界から来た男だ」

「だがぁ、そこの四人組も、蒔風の世界では作品になって多くの人間に読まれてるんだぜぇ?」

「あたしたちが!?」

「そうだ。そして蒔風はおそらくその作品を読んだことがあるだろうなぁ。こいつはな、お前らのことを知ってんだよ。お前がこいつのことを知ってるようにな」

「でも・・・・あの作品は・・・こんなんじゃ」

「ああ、俺が壊したからな。で?そういったうえでお前らはこいつを信頼できんのか?この覗き見とも言えるようなこのくそ野郎をよぉ!!」

「ほんとう・・・・なの?本当に・・・・」

「はっきり聞いちまえよ!!本当に知ってんのかってよ!!あーんなことからこーんなことまで、こいつは知ってたはずだぜ!!」

「そんな・・・・」

「蒔風くん・・・・」

「あんた・・・っ」

「えっと・・・・」



蒔風が言葉に出さず悪態をつく。


畜生・・・・あのやろう、彼女たちにオレを信じさせないことによってWORLD LINKの発動をさせないつもりだな。


「奴」が今回蒔風にいきなり襲いかからないのはこういったことである。

WORLD LINKは最主要人物を通して世界に通じ、その力を借りるものだ。
そのためにはその世界の最主要人物と蒔風が、それなりに知り合い、少しは信じられるような、友人にならねばならない。

「奴」がいきなりしかけてきたのも、その時間をとらせないためであった。
そして今度はこなたたちの心を揺さぶり、信じさせないことによってその発動をさせない作戦なのである。





「・・・・そうだな、一つ言わせてもらえば、オレはこの旅に出る際にそのような作品に関する記憶はなくなっている。本当にお前らのことは知らない」

「そんなの・・・信じられないよ・・・・」

そう。
出会ってまだ、十二時間もたってない男を、そう言われて信じられるわけがない。


自分を守ってくれようとしている彼に、そんな疑惑を向けるのは気が引ける。
出来ることなら、信じてみたい。

それでも疑ってしまう自分が、心にないわけもなく・・・・


「・・・ありがとな・・・」

「えっ!?」

「泉、お前は一瞬でも信じようとしてくれた。こんなあやしさ大爆発のやつをよ。まあ、それだけで今んとこは十分さ。・・・・・・・十分、戦える」

「戦うって・・・・・」

「オレはこの世界を、自分の世界に重ねていた」

「えっ!?」

「オレの世界は守り切れなかったんだよ。力がなかったから」

「へへっ・・・だから蒔風。お前はこの世界を意地でも守るってんだよな。わざわざそいつらをバリアで守らず、己で守りきって終わらせるのも、お前の世界のリベンジだろ?」

「・・・・・・・・・・」

「お前さんの世界も、この世界も純粋な、完全なる"no Name"だ。そしてこの状況も、考えてみるとあの時と同じだなぁ」

「ああ、そうだ。あっけない終わりの襲来。力無き世界。この世界はオレの世界と同じだ」

「だからこそ守りたい・・・・か?ふん、自己満足だな。貴様はあの時自分の世界を救いきれなかった。あの世界はまだボロボロだ。二度と修復できんかもなぁ・・・・」

「だから・・・・・だからこそ!オレはこの世界を守る!いっさいの傷もつけさせねぇ。この状況を乗り越えなきゃならねぇんだ!」

「そのためにそいつらを巻き込むのか?最低だな・・・」

「なんとでも言えよ・・・オレはこいつらを守る。たとえ頼まれなくても、信じてくれなくても、オレはこの場を乗り越える!!そうしなきゃ俺は、世界最強なんていい切りにくいからなぁ!!」

「信頼もなく、WORLD LINKもできないお前なんざ、他愛もない!!」

「いく・・・か!!!」


そうして蒔風が「奴」にむかう。


そのとき






「大丈夫だよ」






「・・・はい?」

「奴」に向かっていこうとする蒔風に、こなたが声をかけた。



「蒔風くんは危ない私たちを助けようとしてくれた。味方ってことでしょ?」

「・・まあ、そうだけど」

「じゃあ大丈夫。わたしはあなたを信頼するよ。っていうかあたしじゃーどーにもなんないからお任せします!!」

「そんなんで??」

「こなたがそういうなら・・・いいわよ」

「え?」

「こいつが言うからだからね!!私はまだあんたを全面的に信じたわけじゃないんだからね!!」

「おー、かがみんはツンデレだねぇ~♪」

「うっさいわよ!!」

「わたしも、お姉ちゃんが信じるなら」

「わたしも」

「高良、柊・・・・」

「こんがらがるから名字だけはやめてくんない?」

「ああ・・・・かがみさん・・・・ありがとうございます」

「あたしも、こなたでいいよ」

「私もかまいません」

「あ、あたしも」

「みんな・・・まだ出会って全く時間の経ってないおれを・・・・・・本当に、ありがとう・・・・・っ」

「・・・・あーもー湿っぽいわね!!!倒すなら倒す!!守るなら守る!!あんた特別な力もってんでしょ!!??さっさと終わらせなさいよ!」

「おー、かがみんぜっこーちょーだーー!!!」

「なぐるわよ!!」








「なにを和気あいあいとしてんだお前ら・・・・・」







「なに?あっというまに仲直りってか?ふざけんなよ。そんな都合のいいことがホイホイ起こってたまっかよ・・・主人公だけがこんなに簡単に問題を解決して!!ほかの奴らは何年も悩むようなことを!!!やっぱいけすかねえ。てめえたち最高にムカつくぜ!!」

「だから言ってんだろうがよ!!そういうことができるやつが主人公になるってよ!!主人公だからできるってわけじゃねえ!!」

「そんなこと・・・・知るかぁァ!!!!!!」

「奴」が迫る。
しかし、すでに彼等には、微塵の恐怖感もなかった。



「では早速、いくぜ、こなた。この世界を・・・守るぞ」


「いやぁ~、こんな状況に出会えるんなんて貴重ですなぁ~」

「動じてないのか?すげえな!!」

「だって大丈夫なんでしょー??」

「ぁ・・・・っぷ。あははははははは!!そうだ!!!だいじょうぶだ、オレに任せろ!!大安心だぞ!!」

「でしょー??あははははははは!!」




「ぎいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!ウルセエゾ!!!テメェェェェェェェェェェェェェェェェ!!!!!!!」




「来たぜ・・・・そら!!!」





【raki☆suta】-WORLD LINK- ~WEPON~





その音とともに、「奴」の勢いが失速する。

「んなにっ!!??」

「はああああああああ!!!!」

バキッ!!

勢いがなくなり、バランスを崩した「奴」に、蒔風の拳がめり込む。
そう、普通の拳が。

「ぶっ・・・・あぁん?なんだ?そのパンチは・・・効かねえぞ!!!」

ブンッ!!ゴス!!

今度は「奴」の拳が蒔風の腹に命中する。

「????」

「ガフッ」

その攻撃に、蒔風がよろめく。

そう。
よろめいた、だけだった。

「おい・・・何をした」


「はっ、っは!!わかんねえか?今この空間はな、まさに普通、“No name”になってんだよ」

「なに?」

「今の俺も、お前も、元の世界にいたような、"no Name"の住人と同じ程度の力しかない!!」

「なんだと!!」

「おら行くぞぉ!!」


バキッ!!ゴスッッ!!!ゴッ!!!!



蒔風の攻撃が次々と「奴」命中する。
しかし「奴」にはたいして効いてないようだ。

その攻撃を無視して、蒔風に蹴りを放つ。だが蒔風はその蹴りをしっかりと受け、反撃する。
それでも「奴」には大したダメージにはならない。


「元が違うようだなぁ、蒔風。そんなんじゃお前、ボコボコにしたくなっちゃうだろうよ!!」

「奴」の猛攻が始まった。

突き、蹴り、掴み、投げ。
さまざまな攻撃に、蒔風は全力で受けていく。

次々と受け流し、かわし、反撃に転じ、しかしその攻撃はいずれも「奴」を倒すには至らない。


「どうしたどうした!!よけてばっかで効かない攻撃してんじゃねえぞ!!」

ゴッ!バキッ!!ガッ!!


「奴」の攻撃も徐々に当たってきている。

それでも蒔風は倒れない。
この世界を守る、その想いをこの胸に宿す限り――――――


「蒔風くん!!!」

こなたたちの声援が飛ぶ。
がんばって、負けないでと。

「大丈夫だっての!!!」

「どの口が言うかぁ!!!」

ゴッ!!バシィイ!!!

「奴」の蹴りを受け、後退する蒔風。

そして言う。


「大丈夫だ!!勝ち続けてやる、お前らがそう願うがぎり!!!」


そしてそれは誓いであった。


「守ってやる!!俺がそうしたいと思うかぎり!!!!」


そして最後にささやかな願いを・・・・


「ただし!!何よりも熱く!!楽しく!!カッコよくだ!!」

「蒔風くん!!危ない!!!!」


「死ねええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!」

「へ、ジ・エンド、だ」



【raki☆suta】-WORLD LINK- ~FINAL ATTACK~



ゴォッ!!!バギャッ!!

「ウゴアッ?!!??」

その音と悲鳴は





蒔風でなく「奴」のものだった。
突然「奴」の体が何かに殴られたようによろめいたのだ。




「いま、戻した」

「な、にぃ!?」

「今までてめえの受けたダメージをな、俺たちが本来の力で殴りあったものとしてダメージを与える!!」

「それは・・・・!!!!」

「今まで殴った分、俺の本気で殴ったことになるってことだ」

「ご、ブァ!!ゲヒッ、ガボァッ!!アッ、グア!!ヌオ、ヌオオオオオオオオオオオオオオオオオアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!」

ガゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴンン!!!


「奴」の体が次々と吹き飛ばされていく。
蒔風が今まで殴ってきた数だけの衝撃が、「奴」を襲う!!

もちろん蒔風もダメージは負っている。

だが、蒔風はその攻撃のほとんどを受け止めるか、かわすかをしていた。
故に、ダメージが還元されたとしても、二、三か所が痛み、さらに腕や足の皮膚がチリチリと痺れる。

それだけだった。特に問題はない。



蒔風の受けたダメージは相当ものもだったが、「奴」はその20、いや50倍は受けていた。

「調子に乗って真っ向からくらってるからこうなるんだよ」

「ギャウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウアアアアアアアアアアア!!!」

もはや「奴」は原形をとどめておらず、その体はよくわからないものに変形させられている。



「さて・・・派手にいくぜ!!!!おおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

蒔風が右の手の指を伸ばし、「奴」に向け、それを引いて引いて左手を添えるように前に出して身体を反す。
その右手に光が集まり、敵を撃ち抜く閃光となる!!!



「光り、輝け!!!絶光(ぜっこう)!!!」

光がさらに強くなる。射止める敵を祓うが如く――――



「はぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああ!!!絶光尖!!」

蒔風が左手を引き右手を一気に前につきだした。
そしてその手に集まった光は刹那の瞬間に蒔風と「奴」の距離を無とし、その体を撃ち抜いた!!

ゴオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!バシュン!!!



「ケェ・・・カハッ・・・・」

「奴」の体に穴が空く。

妙な形になった「奴」は、その変形しきった身体のために、一言も発することもできずに



そのまま、消えていった。




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「奴」が消えると、その結界も消えて、元の街に戻ってくる。
時間はさほどたっておらず、こなたがゆたかに電話してから3分と経っていなかった。

一行はその場で話すのもなんなので、当初行く予定だったカラオケに入る。



「で?結局あんた何なのよ??」

「だーかーら。説明したっしょ??世界最強だって」

「説明になってないわよ!!」

「あたしは何となくわかったよー」

「あんたはそりゃそういうものに興味があって少しは耐性があるからでしょが!!」

「私も大体わかったんだけど・・・」

「つかさも!!??」

「わたしもわかりましたよ?」

「みゆきまで!?」

「かがみももうわかってるんでしょ?そんなはっきりとわかんなくても大丈夫でしょ?」

「たしかに・・・そうだけど」

「はっきり知りたい気持ちはわかる。だけどそこまでして知る必要はないよ。別に世界をどうとかってんじゃないでしょ?」

「なによ、わかったわよ!!あーもう、歌う!!あたし歌うわ!!」

「おーかがみんいいぞーー」

「「わーーーーー!!!!!」」




そうしてカラオケボックスで一、二時間を過ごした蒔風は、こなたたちに切り出した。

「じゃあ、そろそろ行くかな」

「もう行くの??」

「あんまりいないほうがいいのさ。それに、次の世界で待ってるやつがいるかも知んないし」

「そっか、がんばんなさいよ?」

「がんばるがんばる!!絶対負けないさ。オレは乗り越えられたんだから!!」


[Gate Open---raki☆suta]


「おっと、んじゃあな」

「じゃねー!」「また来なさいよ!」「ありがとー」「ありがとうございました」



そうして蒔風はゲートをくぐった。
誇りを胸に、これからも大丈夫だと笑いながら。

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次の世界、蒔風は身の回りを確認した。
どうやら東京のどこかのようだ。
そして懐に身分をあらわすようなカードが入っていた。

そこには「猛士(たけし) 関東支部 蒔風舜」と書いてあった。
そこで情報が流れ込んでくる

「猛士・・・・鬼?・・・・・あぁ・・・・」




「仮面ライダー、響鬼か」




to be continued



 
 

 
後書き

・カラオケ
エンディングでもあったあれ。
作者は採点付ける波。


・名前
らきすたの登場人物は、下の名前がひらがな表記。




【らき☆すた】

構成:"no Name" 100%

最主要人物:泉こなた

-WORLD LINK- ~WEPON~:《ノーパワー》全能力封印

-WORLD LINK- ~FINAL ATTACK~:《パワーリバース》与えられた攻撃を本来の威力に戻す

出典:なし



アリス
「次回は番外編!!」

ではまた次回









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