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異世界にて、地球兵器で戦えり

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第九話 自衛隊との共同作戦

アカツキ帝国と日本。民族的、文化的にも類似点が多いこの両国の交流は、初めはアカツキ帝国軍と自衛隊との交流から始まった。日本政府としてもアカツキ帝国政府との話し合い、特地に対する取り決めを行いと思っていた。なお、政府間からの交流は互いの国の外交官から始まった。そして、そこから両国とも首脳会議に入ろうとしていた。しかし、アカツキ帝国を、かつての大日本帝国と同じ存在だと報道する左翼派閥や、これに同調する他の団体もいるので、日本政府は、彼らの熱が冷めるまで、首脳会議は延期する方針であった。

なお、最初に接触した自衛隊とアカツキ帝国軍との共同作戦が開始された。自衛隊としては、特地の情勢をまだ把握していないので、初めは偵察を行い、周囲の状況を理解する事から始まる。アカツキ帝国としても、アルヌス付近の地域に対してそこまで詳しい状況を理解していないし、何より自衛隊との共同作戦を展開して、こちらの友好的な印象を強めようとした。

そしてアカツキ帝国と自衛隊による合同の偵察隊が編成された。そんな中に、帝国に銀座に攻め込まれた時に、臨時に指揮を取って民間人の被害を最小限に抑えて三尉から二尉に昇格した隊長の伊丹と、アカツキ帝国陸軍大尉の島田義弘が合流して、ファルマート大陸の出身でオブザーバーとして参加するブルーム王国の王女でもあるアナも参加する事になった。

「自分はアカツキ帝国陸軍大尉の島田義久です。よろしくお願いします伊丹中尉」

「陸上自衛隊の伊丹です。それと、自衛隊では中尉と呼ばないので、二尉ですよ」

「これは失礼しました」

様々な偵察隊が編成された。偵察隊は、主にアカツキ帝国軍と自衛隊の隊員で構成されている。実際に、バラバラで行動するより、アカツキ帝国は特地に転移して10年が経過しており、特地に対する情勢をある程度は理解しており、アビス大陸とファルマート大陸の言語も比較的に似ているので、自衛隊と比べれば意思の疎通は簡単に行えるので、共同作業に移行したのも、現地人との意思の疎通が簡単に行える事が大多数の理由が占めていた。

「島田大尉!特地にケモノ娘はいるんですか!?」

「いるな。だけど、基本的に人間と一緒に暮らす事は珍しいから、人間の村に住むと言う他種族は、あんまりいないな」

「それでも嬉しいッス!ケモノな娘もいると分かって希望が湧いてきた!」

合同で参加する事になって、島田は自衛隊が所持している車両に乗車していた。ドライバーの倉田三曹に、ファンタジー生物は沢山存在するのかと聞かれたので、島田は知っている事は全て話して、この情報を聞いた倉田は、テンションがマックスになるほど興奮していた。

自衛隊が使用する車両は、73式小型トラック、高機動車、軽装甲機動車である。島田は、この高機動車に搭乗しており、その後ろに続くのはアカツキ帝国の輸送車両と装輪装甲車である、4式装甲機動車と軽戦闘車という車両が続いている。

なお、倉田と同じように気軽に島田と話している光景は他にもあり、他国との合同任務で最初こそは、アカツキ帝国軍と自衛隊の面々は、ぎこちない関係であったが、基本的に民族も文化も類似点が多い為に、共通点が沢山あったおかげで、比較的に直ぐに溶け込んだ。その中でも伊丹が率いる第三偵察隊は、交流は直ぐに始まったのであった。

「う~栗林二曹の体形が羨ましいです!!」

「そ、そうかな?私は、邪魔だと思ってるだけど。それに、毎回嫌な視線を浴びまくるし」

「うが~!持っている物の余裕ですか!」

栗林志乃。自衛隊の身長の合格基準を誤魔化して入隊した小柄な女性自衛官。その童顔で実年齢より幼く見えるが、何より彼女の特徴的なのは、女性の誰もが羨ましがるその巨乳で腰もくびれがあり、異性の注目を浴びる程の美人であるが、見た目に反して彼女は、格闘徽章持ちであり、自衛隊屈指の格闘のスペシャリストなのだ。

そして、栗林に涙目で嫉妬する視線を浴びせているのは、島田の部下である宮本小毬伍長である。栗林同様に、アカツキ帝国軍の合格基準の身長を誤魔化して入隊した女性軍人。何より彼女は幼い。実年齢は今年で21になるが、栗林以上に幼い顔つきと、その言い方は悪いが貧乳でもあり、彼女自身の見た目同様の子供っぽい性格もあり、宮本を軍人と思うものは少ない。実際に栗林も「子供?」と、本気で思っていたほどだ。

なお、島田の部隊からは名前が小毬という事もあり「コマちゃん」という愛称で呼ばれており、本人はこの愛称が気に入らないので「コマちゃん言うな!!」と、涙目で訴えているが、その小動物的な行動もツボにはまって、余計に部隊の皆からその愛称で呼ばれるようになった。なお、そんな幼い所が目立つ宮本であるが、格闘センスは低いが、射撃に関してはずば抜けた実力があり、その射撃センスは、アカツキ帝国陸軍の間でもベスト10に入るほどの射撃の名手でもある。

こうして最初に接触したコダ村から教えて貰った森の中にある集落を目指していたが、時間帯は既に夕方となっていた。

「伊丹二尉、意見具申します。森の手前で停止しましょう。そこで野営です」

第三偵察隊の中で一番の古参自衛官である桑原曹長は、今年で五十となる大ベテランである。この特地では、自衛隊が扱う装備品の規格に合う衛星がないため、どうしても地図とコンパスで位置情報を確認する事が必須であり、昔ながらの方法を熟知している桑原は、この第三偵察隊のオペレーターの役割を担っている。そんな伊丹や島田よりも、経験が豊かな桑原の意見に、二人は賛成した。

そして野営準備を進めるために、集落のある森の手前まで来ていたが、黒煙が森に充満していた。黒煙の原因を作った犯人を島田は見て、「うわ~」と、嫌そうな表情を隠さなかった。この手のトラブルは、アビス大陸でも経験した事があり、そのため心底嫌な表情となったのである。

「まさか炎龍が、この大陸にもいるなんて、どんだけなんだよ」

「知ってるんですか島田大尉?」

伊丹が、島田に質問する。

「ええ、嫌というほど……」

そこで島田は伊丹を含めた自衛隊の面々に説明した。先ず、この世界の龍の扱いは強靭な鱗に覆われて、飛行も可能であるため、強者の部類に属されるが、炎龍というのは古代龍に分類に属され、その戦闘力は、他の龍の比ではないとの事。

龍の中でも最弱とされる翼龍は、古代龍の炎龍みたいに火を吐いたりはしないが、鱗の強度は12・7mmNATO弾をギリギリ寄せ付けない程であるのに対して、古代龍ともなれば、12・7mmNATO弾も普通に効かないのである。古代龍の鱗の強度は最新式の戦車並にタフであり、空戦戦闘力はVTOL戦闘機クラスであり、機動力も複葉機並にあるため、歩兵で戦いを挑むには、対戦車ロケット弾をぶち込むしか勝機はない事を伝えると、伊丹を含めた自衛隊達の面々は真っ青であった。

それはそうだろう。空飛ぶ戦車と言われても可笑しくない龍が、いま自分達の近くにいるのだから。

「どうする。一応、炎龍に対する攻撃が通用する武器はあるけど」

自衛隊が所持している110mm個人携帯対戦車弾と、アカツキ帝国陸軍が使用する7式対戦車ロケット弾が、合計合わせて三機ほど所持している。

「却下です」

「だろうな」

伊丹の答えは即答だ。炎龍は空を飛んでいる。しかも炎龍が吐く火炎放射は、範囲も見る限り広く、そんな相手に、立ち止まって撃つことが前提のロケット弾だけで攻撃するなんて自殺行為にしか思えないからだ。空飛ぶ敵に対して、誘導も出来ないロケット弾で攻撃すること事態間違っている。実際に110mm個人携帯対戦車弾も7式対戦車ロケット弾も、地上に存在するゆっくりと動く車両に攻撃する事が前提の兵器である。

「とりあえず炎龍が去るまで、何処かに隠れてよ。炎龍がいなくなったら森の中に入って救助に向かおう。生き残りがいるかも知れないし」

「そうだな」

第三偵察隊の方針は決まり、炎龍が去るまで隠れて待機する事を決定した。


 
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