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異世界にて、地球兵器で戦えり

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第十話 自衛隊との共同作戦2

 
前書き
マジで、架空兵器を登場させます。 

 
炎龍が森から飛び去ったのは翌朝になってからだ。炎龍が飛び去り、炎龍が吐いた炎が沈静化してしばらくしてから、エルフの村がある集落に向かった。だが、エルフの村がある周りの森は、炎龍の炎が原因で炭と化して、地面も焼け焦げていた。

「これで生存者がいたら奇跡っすよ」

倉田の言葉は、この場にいる誰もが思った事である。村についたには着いたが、そこは既に村とは言い難い山火事にあって廃墟と化した村を連想させる光景であり、そして誰もが見たくないエルフだったと思われる焼け焦げたミイラが何体か地面に存在していた。

「酷いな……」

「いや、当然というべきか……炎龍と遭遇したのが不幸としか言えないものだ」

アナは自衛隊やアカツキ帝国軍の面々からすれば非情とも言える言葉を言ったが、特地で炎龍等の圧倒的強者に対する恐怖を示す内容でもある。特地では炎龍の扱いは、誰も防ぐ事が出来ない大災害の扱いと同じであり、例えどんな列強の軍隊でも炎龍の前ではただの餌でしかないのだ。これまで多くの人間に限らず色々な種族が討伐を試みたが、それが全て失敗に終わっているからこそ、アナは、炎龍によって全滅したエルフに対して不幸という言葉で簡単に片づけたのだ。

何も、アナが冷徹な人間だからではない。どうする事も出来ないから、そのように表現するしかなかったのだ。

「クリストフ、宮本は俺についてこい。アニエスは上空で炎龍の警戒を頼む」

クリストフは、今回の偵察隊が接触する予定であった種族の男性エルフで、アニエスは背中に鳥の翼を持つ以外は人間と区別はつかないが、ハーピィーとは違う翼人という種族である。今回の第三偵察隊に同行した島田の部隊は、島田を含めて人間が三人の亜人二人で構成されている。

エルフと翼人が、アカツキ帝国軍に所属しているのには、アカツキ帝国が初めてアビス大陸に介入した時に、迫害されている亜人を保護した事がきっかけであった。初めてアビス大陸で接触したイソルデ王国とは、アカツキ帝国がイソルデ王国軍に追われている亜人を助けた事がきっかけであり、この時の戦闘が原因で避けられない戦争となり、戦争状態に突入して、イソルデ王国との戦争には勝利したが、イソルデ王国の支配地域を所持する事になったアカツキ帝国では、いきなり増えた領土に、現状の軍の総員数では防衛に対して不安が残ってしまったのだ。

そこで、アカツキ帝国は元イソルデ王国地域の住民に対しても適応した志願兵を募集した。その中には、奴隷から解放された亜人もおり、クリストフもアニエスも、奴隷階級から普通の市民に戻って、そこからアカツキ帝国軍に志願した兵士であるのだ。

実際に、亜人を軍に編入することは当初は反発もあったが、これからアビス大陸での介入が増えるにつれて、人間以外の種族との接触も増えるために、現状の人間だけの編成では不安があり、その種族独自の文化も存在する事も考えられていた。そのため、知らないうちに種族のタブーに触れてトラブルになる事もあるので、亜人も雇いってそのようなトラブルを最小限に抑えようとしたのだ。

それから数時間後の探索で生存者を発見した。エルフの少女一人だけであったが、それでも生存者を発見してホッと一息つく第三偵察隊は、生存者のエルフを最初に接触したコダ村に保護してもらおうとコダ村に戻ったが、炎龍が出現した事を伝えた瞬間に顔色が変わり、直ぐに逃げる準備を始めてしまう。それで炎龍の活動範囲外まで逃げるそうだ。

「どうする伊丹二尉?」

「どうするも、俺達も手伝わなきゃいけないでしょ」

このまま武装もしてない人間が、平原を歩いて逃避行を行う。このような状況を考えると、自衛隊とアカツキ帝国軍に所属している二人は、助ける選択を選ばざる負えなかった。

「だけど、この人数でコダ村の住民を守るは難しいぞ」

「ですけどね~でも、ここはエネミーラインだし、下手な増員は敵も呼ぶことに……」

「そういった危険もあるが、それでもアルヌス基地に伝えるべきだ。安心しろ、俺達の司令官は、典型的な石頭じゃないぜ」


島田はニヤリと笑い伊丹に呟き「はは、よろしくお願いします」と、苦笑い気味で答えるしかなかった。


ーーー。

「中将。島田大尉が同行した第三偵察隊から救援要請が来ています」

「救援要請?逃げ出せない程のトラブルでも起きたのか?」

変わってここはアルヌス駐屯地。本来は自衛隊が帝国から占領したアルヌスを基地化したものを、アカツキ帝国軍も日本政府との話し合いで、アルヌスの丘を貸出という形で基地を建設を許可してもらっている。とはいえ、基地といって借りている段階であるため自衛隊のような要塞化はしておらず、臨時の野戦基地程度の規模でしかない。

そんな基地の司令官に任命されたのは、坂本 早房陸軍中将。初老の男性で学者肌のような風貌の男性で基地の下士官達からは軍人とは思えない穏やかな性格もあり「先生」と慕われている。アビス大陸での実戦経験はないが、それでも後方支援で高い実績を誇り、アビス大陸で戦争中は、彼の指示で動いた補給部隊は迅速に行動して実戦部隊を助けたのである。そういった後方勤務で高い能力を示した彼は、中将という地位にいる。

「原因はなんだ?」

「第三偵察隊が接触したコダ村の住民が、炎龍が近くに出没していると知って避難するようで、第三偵察隊はそれに同行する為に、現在の人数と武装では護衛が難しいとの報告です」

「炎龍か……確かに炎龍相手では第三偵察隊の武装では厳しいな」

「下手をすれば逆にやられかねません」


最新世代戦車クラスの防御力を誇る空飛ぶ戦車の異名は伊達ではなく、アカツキ帝国軍では、古代龍を発見した場合は、戦闘機を筆頭とした航空戦力で地面に叩き落して、そこから砲兵科の砲撃と機甲科の戦車部隊による攻撃で仕留めるようにされている。

間違っても生身で戦うように想定はされていない。

「ですが、あまり増員は送れませんね。炎龍を確実に仕留める戦力を送り出したら次は帝国軍を呼ぶことになりますよ」

「それは分かっている。だが、このままにしておくことも出来ないだろう。君は、誘導もしないロケット弾を渡されて炎龍と戦えると思うかい?」

「現実的ではありません」

「そうだろう」

当ててダメージを与える事は出来るが、それで確実に仕留められる保証もないし、何より空中に素早く退避も出来るので、誘導もないロケット弾で当てる確率は低い。

「ならば、あれを実戦に投入してみるか」

「戦術歩行機計画がついに成功したのですか?」

「実物は出来ている。後は実戦でどれだけ有効かはまだ分からんが、送らないようりはマシだろう」

戦術歩行機計画。アカツキ帝国が転移前より計画されていた二足歩行、または六足歩行のロボットを機動兵器として運用する計画である。

SFの領域で現実的でないと判断されて、当初は軍からの評価も低かった。批判の理由は他にもあり、人型機動兵器のサイズは4m~6mと予定されており、これは戦車よりも1mほど全高が高く即時発見がされやすい為、対戦車兵器の標的になりやすいうえ、人型機動兵器の大きさ故にに、エンジンのサイズも限定しなければならず、高出力エンジンを搭載する事が出来なかった。人型はコンパクト故に装甲も薄く、第二次大戦時の軽戦車並の装甲が限界で合った為に、兵器は作れても現状の技術レベルでは想定した実戦に耐えうる兵器ではないと判断されて、計画は中止となる予定であったが、異世界転移により状況は変わった。

これについての細かい説明は後に説明させていただく。そして戦術歩行機計画で完成した機体の一つが、10式戦術装甲歩兵機である。

全高4メートルと高いが、二足歩行で歩けるために車両が通れない悪路も簡単に歩行で突破できる事が出来る。そして人と同じように武器を腕で装備出来るために、状況に応じて様々な兵装を装備できる点だ。標準武装は30mm重突撃銃で、これ以外に120mmロケット弾も装備可能で、第三世代戦車も破壊可能な兵器も装備出来、足の裏にはローラーがついており、これを使用すれば平坦な場所であれば、最高時速80キロを超える足で走る事が可能である。

なお、この兵器の所在を知った地球出身者から「何でボト○ズが、現実に存在するんだ!!」「てか、リアルに似すぎだろ!サン○イズさんに怒られるぞ!」「キ○コ・○ュービィー!!!!!」とのコメントを頂いている。

「10式を三機援軍に出すと返信しろ。あと、補給物資も送ってやるともな。それと、援軍については自衛隊の狭間陸将にも通達する事を忘れるなよ」

「は!」

こうして人型機動兵器が、特地での実戦を迎えるのであった。






 
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