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決戦!!天本博士VS超時空天下人ヒデヨシ

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9部分:第九章


第九章

「それでなんですよ」
「ふむ、許可を得てか」
「それでなのか」
「そうです。それでですね」
 小田切君は彼等がとりあえず納得したと見てまた言葉を続ける。
「あの人は確かに悪い人じゃないですよ」
「悪い人じゃないのか」
「あの猿面の男は」
「猿って言うと怒りますから」
 このことは重ね重ね注意するのだった。フランス軍の将兵達に対して。
「それは注意して下さい」
「そうか、それはわかった」
「それではな」
 彼等もその言葉は受けるのだった。とりあえずは。
「では我々はあの銀色の悪魔を倒せばいいのだな」
「それで」
「あっ、それは止めた方がいいです」
 小田切君はそれも止めた。
「というかこの戦いは傍観された方がいいです」
「黙って見いろというのか?」
「だが陛下の安全が」
 この辺りは流石であった伊達に軍人、しかも近衛軍にいるわけではなかった。近衛軍は王を護ることがその責務に他ならないからである。
「そうだ、それを何とかしなければ」
「我等の誇りにかけて」
「それだったらですね」
 小田切君はここで機転を利かせてきたのだった。
「宮殿を御護りすればいいんですよ」
「このベルサイユ宮殿をか」
「護れと」
「国王は確かこの時代は」
 少し考える。そうしてすぐに名前を思い出したのだった。
「ルイ十六世陛下でしたね」
「そう、その方だ」
「よく知っているな」
「それはもう」
 小田切君はここでは彼等に対して笑って述べるのだった。
「漫画にも出て来ますからね。ベルサイユの薔薇に」
「漫画!?」
「ベルサイユの薔薇!?」
 近衛兵達は漫画や兵士という言葉に眉を顰めさせた。
「何だそれは」
「何なのだ?」
「あっ、何でもないです」
 ここでも誤魔化す破目になってしまった。しかし小田切君は平気な顔でやり取りを続ける。この辺りは中々肝が座っっていると言える。
「まあとにかくですね。王様を御護りするには」
「宮殿か」
「陛下のおられる宮殿を」
「はい、そうです」
 今度は笑顔で彼等に告げるのだった。
「それでいいですから」
「わかった、それではな」
「その様にしよう」
 こうして彼等は宮殿の護りに入った。そしてそれが結果として彼等の身を護ることになった。丁度彼等がいたそこにカイザージョーが放ちヒデヨシが右手を一閃させて弾き返したその雷が落ちたのである。
「危ないところだったな」
「もう少しでまた黒焦げになるところだったよ」
 ライゾウとタロが雷が落ちたその場所を見てそれぞれ言った。
「あと少しだったよ」
「よかったよかった」
「そうだね。けれど君達もよく言葉を出さないでいてくれたよ」
 小田切君はこのことを素直に喜んでいた。
「おかげで僕達もあまり怪しまれずに済んだよ」
「まあその辺りはよ」
「僕達もわかってるから」
 こう小田切君に答える二匹であった。
「慣れてるから大丈夫さ」
「任せておいてよ」
「頼むよ。さて、それはいいけれど」
 あらためて上を見る小田切君だった。そこでは相変わらず博士とヒデヨシが激しい攻防を繰り広げている。
「何か物凄いことになってるね」
「あのカイザージョーと互角に渡り合うなんてな」
「やっぱり。超時空天下人は違うね」
「全くだよ」
 小田切君と二匹は上を見上げながら話す。その間にも攻防が続いている。
 カイザージョーはその巨大な両腕を振り回しヒデヨシを叩き落そうとする。しかしヒデヨシは宙を飛びそれを何なくかわすのであった。
「無駄じゃ、無駄じゃ!」
「かわすというのだな」
「その通りだぎゃ!」
 また尾張弁が入っているヒデヨシだった。
「わしをその程度の攻撃で倒せると思ってるだぎゃ!」
「確かにのう」
 博士もまたヒデヨシのその言葉に頷くのだった。カイザージョーの左肩で。
「この程度で貴様を倒せるとは思ってはおらぬ」
「見くびってはおらんのじゃな」
「わしは相手を見くびることはない」
 博士の長所ではある。
「決してのう」
「それはよいとしよう」
 ヒデヨシもそれは認める。
「しかしじゃ」
「ふむ。やはり何か言いたいのじゃな」
「貴様のやることは許せん」
 ここでヒデヨシのその言葉は強いものになった。
「その遊びのままに破壊の限りを尽くすその行動がな」
「何じゃ、そんなことか」
 なお博士にとって何かを破壊するということは何でもないことである。それこそその辺りに転がっている石を蹴るようなものである。本当に何でもないことなのだ。
「その程度か」
「この宮殿を破壊するのもか」
「だから言っておろう。形あるもの何時かは必ず壊れる」
 また言う博士だった。
 
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