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決戦!!天本博士VS超時空天下人ヒデヨシ

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5部分:第五章


第五章

「わしの居城を勝手に改造しようなどと。許せる筈がなかろう」
「ではどうするのじゃ?」
 博士は平気な顔でまたヒデヨシに言い返す。
「戦うつもりだとでもいうのか?」
「その通りだ。今から御主達にはだ」
「御主達っていうと」
「僕達もだよね」
 ライゾウとタロは今のヒデヨシの言葉を聞いて顔を見合わせ合う。
「やっぱりそうだよな」
「何かまた巻き添え受けるみたいだけれど」
「では。覚悟はよいな」
 実際にヒデヨシは博士だけでなく小田切君や二匹も見て言ってきていた。
「今から別の時代に行ってもらう」
「別の時代か。ふむ」
 博士はそれを聞いても平気な顔であった。
「それでは久し振りに時空旅行を楽しむとするか」
「楽しむって博士」
 小田切君は何処か別の時代に行くと聞いて慌てていた。だからこそ到って平気な博士に対して突っ込まずにはいられなかった。
「そんな状況じゃないですよ、これって」
「安心せい。わしに不可能はない」
 博士はこの中でも平然としている。その中で博士達の周りを暗黒の空間が囲んでいた。
「おい旦那、これってよ」
「タイムホールだね」
 ライゾウとタロも当然ながらその空間を前にしている。彼等は今まさにその中に消えんとしている。
「これって間違いなく」
「じゃあ今から何処の時代に行くんだろ」
「あらゆる時空を彷徨いその中で朽ち果てるのだ」
 ヒデヨシはその鋭い目を光らせて博士達に告げる。
「わしのこの時空流しの術によってな」
「だから何で僕達まで流されなくちゃいけないんだ」
「そんなことを気にすることはないぞ」
 博士は相変わらず冷静なものである。まるでこれからピクニックに行くかのように。
「さて、それではどの時代で我が偉大なる発明を見せられるかのう」
 この言葉を最後に皆その黒い空間に飲み込まれる。そうしてそのうえで何処かの時代に送り込まれていく。一行は黒い空間の中に入ったかと思ったがそれは一瞬のことである場所に放り出された。そこは。
「!?ここって」
「何だ?この馬鹿でかい宮殿は」
「どれだけお金がかかってるんだろう」
 小田切君達はとりあえず目の前に出て来たその宮殿を見て言う。見ればそれは物々しくそのうえで桁外れに大きい。小田切君がその宮殿を見て言った。
「ああ、これベルサイユ宮殿だよ」
「ベルサイユ宮殿!?」
「ここがなんだ」
「しかもあの格好は」
 続いて宮殿の周りを行き来する人々を見て言うのだった。
「昔の貴族の服装だね」
「ああ、そういえばあの髪型も」
「よく漫画で見るよ」
 タロとライゾウは博士のその言葉に頷いた。彼等は漫画もよく読むのである。
「ベルサイユの薔薇とかで」
「じゃあここはあの頃のフランスなんだ」
「そのようじゃな」
 やはり博士もいた。彼はその周囲を見回してゆっくりと前に出た。
「ここはのう」
「何かえらい時代に来ちゃいましたね」
 小田切君はここに至ってようやく考えをまとめこう呟いた。
「すぐに革命とかに巻き込まれるんじゃ」
「だとしたらそれはそれで面白いことじゃな」
 博士にとって革命もまたイベントの一つでしかないのだった。
「わしを勘違いしてギロチンに送ろうものならじゃ」
「どうするんですか?」
「その革命家共全員あの世送りじゃ」 
 からからと大笑いしながらの言葉だった。
「逆に全員生体実験でまず首を回転式電動ノコギリで切断してやるわい」
「その場合麻酔はするんですか?」
「麻酔?わしは生体実験や手術ではそんなものは一切使わんぞ」
 これが博士の流儀である。
「さもなければ痛みや恐怖で苦しみ怯える姿を見ることもできんしあの断末魔の素晴らしい絶叫を聞くこともできんじゃろうが。何が面白いのじゃ」
「それがなければ何の意味もないんですね」
「何のやる価値もないわ」
 実にわかり易い博士の趣味であった。
「麻酔なぞを使ってはな」
「よくわかりました。それでは」
「わかってくれればよい。とにかくわしを革命家とみなせばそれで終わりじゃ」
「それは絶対にないよな」
「ねえ」
 しかし二人の足元でまたライゾウとタロが話すのだった。
 
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