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発進!!最凶マスコットせん○くん

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11部分:第十一章


第十一章

「どっちがタイプなんだよ」
「その辺りはっきりしないんだけれど」
「そう言われると」
 今の彼等の問いには困った顔になる小田切君であった。そうしてその困った顔で腕さえ組みながらそのうえで答えるのであった。
「二人共そっくりだしねえ」
「確かになあ。従姉妹同士だけれど」
「まるで双子みたいだね」
 彼等もこのことはよくわかっていた。
「法衣と帽子の色でわかるけれどな」
「それでもそれ以外は」
「だろ?だからどっちかって言われると」
 困ってしまうのであった。
「まあ今田香織先生とはお話する機会が多いけれど」
「じゃあ金色さんだな」
「そうなるね」
 そういうことにしてしまう彼等であった。
「まあいいんじゃないの?いい人だし」
「そうだよね。美人で性格はいいし声も奇麗でスタイルもいい」
 まさに完璧である。
「しかもお金持ちの娘さん」
「おまけに日本でもトップクラスの魔女だし」
 これについては二人共である。二人は従姉妹同士で日本はおろか世界でもトップクラスの魔女なのである。その黄金色と白銀色の法衣と帽子は伊達ではないのだ。
「いいところばかりじゃないか」
「そうだよね。完璧だよね」
「そうなんだよねえ」
 小田切君ののろけは続く。
「本当にね。ちょっとやそっとじゃね。声をかけられないような」
「それでその今田先生があのマスコット達と対峙しているけれど」
「大丈夫かな」
 ライゾウとタロはそこに話を戻してきた。
「二千もいるからなあ」
「辛いんじゃないかな、やっぱり」
「そうだよね」
 小田切君もこのことには深刻な顔になった。のろけるにも程があるといった顔から深刻かつ真面目な顔になってそのうえでまたモニターを観るのであった。
 そうしてそのうえで。彼は言うのであった。
「一人で千体だけれど。大丈夫かな」
「普通の魔女では絶対に無理じゃ」
 ここで言うのは博士であった。
「一体でもな。無理じゃ」
「一体でもですか」
「何度も言うがそもそもあのマスコットの中には原爆が内臓されておる」
 核拡散防止条約なぞ意に介することはない博士である。
「それでドカンとなればそれで終わりじゃ」
「その魔女一人で済みませんよね」
 小田切君にもそうなった場合はどうなってしまうか容易に想像がつくことであった。花しながら広島で見た原爆資料館のことを思い出す。
「ああなるんですよね、半径四キロ位が」
「破壊力は広島型原爆と同じ程度じゃ」
 やはりこの原爆であった。
「リトルボーイじゃな」
「そりゃそんなの普通の魔女は相手できませんよ」
 小田切君はまさにその通りのことを述べた。
「それこそ相当な魔女でないと」
「それに全身武器じゃ」
 全てのマスコットがそうなのである。
「そう簡単にはのう。やられんぞ」
「さて、どうなるかな」
 内心先生達を応援しだしている小田切君であった、
「無事であって欲しいけれど」
「さあ、はじまりじゃ」
 ここで博士が言った。
「祭がのう」
「とんでもないことになりそうなのに祭か」
「博士らしいね」
 今の博士の言葉を聞いたライゾウとタロの言葉であった。
「全く。どうなるやら」
「核爆発で古都が消えなかったらいいけれど」
「その辺りどうするのかな」
 小田切君もまずそのことが気になって仕方がなかった。モニターに映っている先生達を見てそのうえで不安な顔になっていた。
「先生達も」
「そこが見ものっていえば見ものなんだけれどな」
「どうするのかな」
 ライゾウもタロも固唾を飲んで見守っていた。そしてその先生達は。その行進をしながら迫り来るその二千のマスコットと対峙しつつ今構えを取った。
 今田先生は右手に、今日子先生は左手にそれぞれステッキを持つ。そのステッキを前に肩の高さで突き出しそのうえで言うのであった。
「じゃあまずは今日子ちゃん」
「あの魔法ね、香織ちゃん」
「ええ。それを使うわ」
 こう二人で言い合う。そして。
「ニュークリアストリーム!」
「行くわよ!」
 二人はそれぞれのステッキから嵐に乗せて七色の光を発した。虹色の光はまさに嵐となって吹き荒れる。だがそれは只の光ではなかった。
 光の嵐が消えた後で博士は。映像を見ながら言うのだった。
「むっ!?これは」
「どうしたんですか博士」
「マスコット達の中に搭載されている原爆の核が分解されておる」
 こう言うのである。
 
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