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発進!!最凶マスコットせん○くん

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10部分:第十章


第十章

「これは何かあると考えてよいぞ」
「何かですか」
「問題はその何かがどういったものかなのじゃが」
「何だと思います?」
「魔女ではないかのう」
 博士は少し考えてからこう予想を述べてみせた。
「魔女が来るかも知れんのう」
「あれ、あの娘達は今臨海学校か林間学校だったんじゃ?」
「いや、魔女は他におる」
 小田切君は華奈子達のことを言ったのだが博士は彼女達ではないというのであった。
「このわしの二千もの殺戮マシーンの相手をできる魔女じゃよ」
「といいますと」
 小田切君はそれを聞いて彼も少し考えてみるのであった。そうして考えた結果出て来たのは。
「あの人達ですか」
「そうじゃ。あの二人しかおらぬ」
 博士は小田切君に対して頷いて答えた。
「やはりな」
「あの人達が出て来るとなると」
「さて、面白いことになりそうじゃ」
 またしても何か子供が遠足に行くようにうきうきとしだす博士であった。
「果たして何処で戦うことになるのかのう」
「まああれですね」
 うきうきとしている博士とは違って小田切君は至って冷静であった。その対比はまさに水と油、氷と炎であった。そこまでの違いがあった。
「人様の迷惑にならないような場所で戦闘になればいいですね」
「何じゃ、詰まらん」
 それを聞いた博士の返答である。
「そんな戦闘が何だというのじゃ」
「博士は世界の人々に迷惑をかけ過ぎなんですよ」
 まさに世界規模の災厄とも言っていい人物なのがこの博士である。
「そもそもですね」
「世の中破壊がなければ何もできはせん」
 博士が言うと実に自分勝手な言葉をここでも出す。
「だからじゃ。今回もじゃ」
「派手な場所で戦いたいんですか」
「さて、何処になるかのう」
 もう勝手にそうした人様の迷惑になりそうな戦いの場を頭の中にインプットされているその地図から探しだす博士であった。こうした行動は実に素早い。
「いい場所は」
「そうした場所での戦いはあの人達の方から避けると思いますけれどね」
「それがよくないのじゃ」
「それだけ派手な場所で戦いたいんですね」
「戦わせたいのじゃ」
 言葉は多少訂正されはしたが大筋において同じ意味であった。
「わしのあのマシーン達をな」
「とにかくもう少ししたら古都ですけれど」
 小田切君は距離について述べた。
「それでどうするんですか?」
「予定通りじゃ。このまま古都に入れる」
 このことは何の変更もなかった。
「このままのう」
「そうですか。じゃああの人達とは古都で決戦ですかね」
「古都で決戦か。よいのう」
 それを聞いてまたしても楽しそうに笑う博士であった。
「一体全体どうなるかじゃ」
「全く。そういうことばかり考えるんですから」
 呆れはしたがそれでも予想通りだとも思う小田切君であった。そんなことを考えながらそのうえで博士とさらに話を続けるのであった。
「それでですね」
「うむ」
「あの朱雀門から入るんですよね」
「当然じゃ」
 この返事にも何の迷いもなかった。
「あそこが復元されるからには入らねばな。話にならんじゃろ」
「あの門が破壊されなかったらいいんですけどね」
「何度も言うが形あるものは必ず壊れる」
「必ずっていいますけれどね」
「戦いの最中でどうなってもそれはそれで絵になる」
 博士にとってはそういったことはむしろ華であるのだった。
「では。よいな」
「ええ。じゃあもう野となれ山となれで」
 小田切君の言葉は投げやりなものにもなっていた。しかしそれでも言うのであった。
「見ていきますか」
「ふむ。見えてきたぞ」
 その朱雀門が映像でもいよいよ見えてきたのであった。パソコンの前には博士と小田切君だけでなくライゾウとタロも一緒にいた。
「ああ、あれが朱雀門か」
「中々いいじゃない」
 ライゾウとタロは門を見てすぐに褒めるのだった。
「あの門だったらな。復元しても文句ないよな」
「歴史を感じるしね」
「よいことじゃ。歴史を破壊する」
 博士の興味はそこにしかなかった。
「いざとなればのう」
「っていうか壊す気満々じゃないか」
「この博士だけはしようがないね」
 ライゾウもタロもそんな博士には呆れるばかりであった。だが彼等がそんな話をしている間にもマスコット達はその朱雀門にさらに近付いていた。
 
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