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Blue Rose

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第三話 変わらない声その八

「君の絵は最近どんどんね」
「どうなってますか?」
「繊細さが増していってるね」
 こう言うのだった。
「描く度にね」
「繊細ですか」
「そう、タッチも色の使い方もね」
 そうしたものがというのだ。
「繊細になってきているよ」
「そうですか」
「日本の言葉で表現すると」
 それはというと。
「たおやめになるかな」
「確か古今和歌集ですね」
「うん、そんな感じだよ」
「たおやめっていいますと」
 その言葉を聞いてだ、優花は絵を描きつつ言った。
「女性的ですか」
「そうなるね、君の絵は」
「最近色々なことで」
 優花は先生にこう返した。
「そうしたことを言われます」
「女性的だとだね」
「はい、そう」
「そうだね、実際にね」
「僕の絵も他のこともですか」
「女性的な要素がね」
 まさにそれがというのだ。
「増していっているね」
「そうですか」
「いいことだね」
「いいことですか?」
 先生の今の言葉にだ、優花は目を瞬かせて言葉を返した。
「女の子みたいな絵を描くことが」
「そう、いいことだよ」
 先生は微笑んでだ、優花に告げた。
「芸術は男性的であるものもいいけれど」
「女性的なものもですか」
「素晴らしいからね」
「どんな芸術もなんですね」
「それぞれの持ち味がある、そして君はね」
「女性的なものがですか」
「持ち味になっているみたいだからね」
 それ故にというのだ。
「それが増していっていることはいいことだよ」
「そうですか」
「だからね」
 先生は優花にさらに話した。
「君はその繊細さを大切にするんだ」
「そうして描いていけばですね」
「いいよ、ただ君は絵をよく描くけれど」
「彫刻とかもですね」
「それもやるといいよ」
 こちらの分野もというのだ。
「芸術は一つではないからね」
「様々な分野があるからですね」
「絵を描くこともいいけれど」
「他の芸術もですね」
「やるといいんだ」
「だから彫刻もですね」
「やってみるといいよ」
「わかりました」
 優花は先生の言葉に素直に頷いた。
「じゃあこの絵の次は」
「彫刻をやってみるといいよ」
「そうしてみます」
「その女性的なものをね」
 優花が絵に出しているそれをというのだ。
「彫刻にも出すんだ」
「それじゃあ」
 こうしたことを話してだ、そのうえで。
 優花は部活も楽しんでいった、だがその中で。
 優子は先日レントゲン写真の話を自分にした同僚にだ、勤務している病院の中で言われた。
「あの、前にお話したことで」
「ええ、あの女の子みたいな身体のね」
「はい、男の子のことで」
 同僚は自分より年上の優子に話していった、二人は今は休憩室に二人だけでいてそのうえでお茶を飲みつつ顔を合わせている。 
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