| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

転生とらぶる

作者:青竹
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

機動戦艦ナデシコ
  1263話

「ほうほう、なるほどな。こりゃぁ……いや、これだけを見ただけでも凄い技術を持ってるってのが分かるな」

 片膝を格納庫の床についた姿勢――中世とかファンタジーで皇帝に謁見する時のような感じ――になったミロンガ改の肩の部分を調べていたウリバタケが、感心したように呟く。
 これがエステバリスであれば、専用のメンテナンスベッドが用意されていてミロンガ改にこんな姿勢を取らせなくても済むんだが、イレギュラーであるミロンガ改に適したメンテナンスベッドがある訳もない。
 エステバリスより多少大きいだけならともかく、ミロンガ改はエステバリスの3倍以上の大きさを持つ。
 さすがにそんな大きさの機体をどうにかするメンテナンスベッドの類はないんだから、こんな姿勢を取るのもしょうがないだろう。
 エステバリスが出撃する発進口と同じような理由だな。

「それで、どうなの? ネルガルで作れそうな規格?」
「うーん、そうだな。確実にとは言えないが、多分大丈夫だろ。ただ、規格そのものはこれまでの機体とは違う。けど戦艦やデルフィニウムに使われているものから流用すれば、1から設計するよりは大分楽だな」

 ウリバタケの言葉に、エリナが安堵の息を吐く。
 ナデシコの最大戦力がミサイルの残弾がないので戦えませんとかになれば、ちょっと情けないしな。
 いや、実際にはビームマシンガンとビームサーベルがあるから、バッタやジョロ程度楽勝ではあるんだけど……うん? なるほど。多分エリナはビーム系の兵器を無尽蔵に使えるというのをあまり知られたくないんだろう。
 ビーム自体はこの世界にも普通にあるらしいが、エネルギー切れは付きものなのだし。
 他にもエナジーウィングとか、間違いなくこの世界ではオーバーテクノロジーだ。
 いや、オーバーテクノロジーってのが今ある技術よりも更に先の技術という意味だとすれば、エナジーウィングは技術の発展方向が違った為に生み出された技術と言ってもいいのかもしれない。
 それはともかくとして、俺にとってもミサイルの心配をしなくても良くなったってのは嬉しい限りだ。

「なら、早速データを纏めてちょうだい」
「おうさ。……なぁ、ちなみにだが、その際にミサイルの改良案とかあった場合、採用してくれるのか?」
「……改良案? 具体的にはどんな?」

 訝しげな顔をして尋ねるエリナ。
 俺もまた、興味半分でウリバタケの方へと視線を向ける。
 ミサイルってのは改造のしやすさで言えばビーム兵器以上の代物だ。
 なにせ、弾頭に何か特殊なものでも詰めれば、それは特殊弾頭となる。
 あるいは、シャドウミラーで開発されたS-11ミサイルのように、純粋に爆発力を増してミサイルの威力を大きくするというのでもいいし、Nジャマーの類が存在しないこのナデシコ世界でなら、誘導兵器にするのもいい。
 そんな風に改良の余地があるだけに、ウリバタケがどんな改良案を出すのか気にならないと言えば嘘だ。
 それに、もしウリバタケの改良案が採用されたりすれば、それを使うのは恐らく俺だ。
 気にならない方が嘘だろう。

「それは秘密だ。こんな事もあろうかとの精神でな」
「……あのね。私は遊んでいる暇はないの。それは貴方も十分に理解してるでしょう?」
「別に俺だって遊んでる訳じゃねえさ。ただ、技術屋には技術屋の意地ってもんがあるんだよ。勿論改良案を提案する以上、それが使えねえものなら却下してくれてもいい。……どうだ?」

 ウリバタケの気迫に押された訳でもないんだろうが、それでもエリナは小さく溜息を吐いて頷きを返す。

「分かったわよ。好きにしなさい。ただし、使えないものを送ってきたら容赦なく不採用にするように言っておくわよ」
「おうともさ。ま、餅は餅屋ってね。兵器の事は技術者に任せとけ」
「……それもいいけど、アクセルのミロンガ改を荷物搬出口じゃなくて、格納庫から出撃出来るようにする件に関してもお願いするわよ」
「それはさすがにちょっと難しいんだがな。幾ら何でも空間的な余裕ってもんがある」

 そう言いつつも、ウリバタケも技術者を率いている身としては悔しいのだろう。
 微かに眉を顰めていた。

「ま、俺の機体が格納庫から直接出撃出来るんなら、それに越した事はなけどな。それこそ、いつ木星蜥蜴や連合軍に襲われても、すぐに対処出来るし」
「ちょっと、連合軍とは揉めないでって言ってるでしょ。向こうと敵対しても、ネルガルにとっては百害あって一利なしよ。……いえ、一利くらいはあるかもしれないけど。それでも百害がある以上余程の利益がないと……」

 本気で心配しているのか、エリナが真面目な表情でそう告げてくる。
 まぁ、このナデシコ世界だと連合軍はかなりの戦力を持っている。
 SEED世界の地球連合……は、結局連合内でかなり個別に動いていたから、その面ではナデシコ世界の連合軍の方が上だろう。
 マクロス世界の統合軍が近いかもしれないな。
 もっとも、統合軍は宇宙規模で広がっているけど。
 ああ、でもフロンティア船団の統合軍はかなり腕の悪いパイロットばかりだったな。
 バジュラとの戦いを繰り返す事で、ある程度腕は上がっていったが。

「ともあれ、今はナデシコの発進が最優先なんだろ? その辺はどうなってるんだ?」

 そんな俺の言葉が合図だったかのように、コミュニケから映像モニタが映し出される。

『これより、ナデシコは発進します。揺れには気をつけて下さい』

 映し出されたのはメグミ。
 聞こえてくる声は聞きやすく、耳にスッと入ってくる。
 そう言えば食堂で会った時に元々声優をやってたとか言ってたな。
 なるほど、ナデシコのメンバーは腕を中心にして集められているってのは事実なんだろう。

『それと、アクセルさん。艦長から格納庫で機体に乗って待機していて欲しいとの事です』

 この通信は俺の名前を言ってるし、恐らく俺個人に対するものだろう。
 へぇ。まだ使い慣れないけど、このコミュニケは随分と便利な代物なんだな。
 携帯端末を腕時計くらいにまで小さくしたってのは、普通に凄い。
 だとすれば、いずれホワイトスターでも使えるようにしたい。
 もっとも、ネルガルの独自技術だという可能性もあるが。

「分かった。連合軍対策だな?」
『そうらしいです。こうしてナデシコの艦内で連合軍の人達が騒動を起こした以上、外でも連合軍が待ち構えている可能性が高いとか。でも、決して勝手に出撃しないようにという命令も来ています』
「了解した」

 無駄に被害を出さないようにという意図なんだろうな。
 それが艦長の意思なのか、ネルガルからの要望なのかは分からないが。
 そもそも、艦長の性格を殆ど知らない以上、どんな判断をしているのかも分からないし。

『それと、一応念の為にテンカワさんとヤマダさんもそちらに向かわせるとのことです。2人ともいざという時は出撃すると』
「……ヤマダ?」

 テンカワは分かる。けど、ヤマダってのは誰だ? 今の言い方からするとエステバリスのパイロットだろうが、テンカワ以外にもパイロットがいたのか?
 その割りにはこの前の戦闘で出撃していたのはテンカワだけだったが。
 別にエステバリスが1機しかないって訳じゃ……ないよな。
 格納庫の中にはテンカワが使っていたと思しき以外のエステバリスの姿もある。
 もしかすると、前の戦闘後に乗船したパイロットか?
 そんな俺の疑問を見て取ったのだろう。ウリバタケがミサイルについての改良案に悩んでいた顔から一変し、どこか疲れた表情で口を開く。

「あー……うん。お前の疑問は分かる。いや、完全に分かるって訳じゃないが、何となく分かる。実は、そのパイロットはあの戦闘の時もいたんだよ。ただ、なんつーか……いわゆるロボット好きでな。本来はもう少し先に乗船する筈だったんだが、エステバリスに少しでも早く触れたくてやってきて、エステバリスを弄っていたら機体を転倒させて足の骨を折った」
「……は?」

 もしかして、エステバリスは色々と危ないところのある機体なのか?
 そんな俺の疑問を見てとったのだろう。ウリバタケが急いで首を横に振る。

「言っとくが、別にエステバリスに問題はねえぞ。ただ、ヤマダの奴が無理に機体を動かして転倒させただけだ。ったく、整備する方の身にもなれってんだよな」
「あー……なるほど。そういうタイプか」
「ちっがあぁぁぁぁぁあうっ! 俺はガイ! ダイゴウジ・ガイだ!」

 ウリバタケの言葉へ割り込むように、周囲へ叫び声が響き渡る。

「ちょっ、何!?」

 エリナが慌てて周囲を見回し、俺も周囲を見回す。
 その声の主と思われる人物は、格納庫の入り口の近くに立っていた。
 何と言うか、暑苦しそうな顔をした男だ。
 ……うん? どこかで見た覚えがあるような、ないような……
 数秒悩むが、すぐに思い出した。そうそう、確かナデシコとの通信でテンカワと話していた時にいたような気がする。
 まぁ、ともあれ……

「ヤマダとダイゴウジ、どっちが本当の名前なんだ?」

 疑問に思い、そう尋ねる。

「だからヤマダだよ、ヤマダ」
「違う! ダイゴウジ・ガイだ!」
「……きちんとヤマダ・ジロウって登録されてるって前にも言っただろ?」
「だーかーらーっ! そのヤマダ・ジロウってのは偽りの名前!」

 そう言った瞬間、今まで話に付いていけず……いや、付いていく気もせずにいたエリナの目が鋭くなったのを見た。

「ちょっといいかしら? 貴方、今面白いことを言ったわね? ヤマダ・ジロウが偽りの名前? つまり、貴方は偽名を使ってナデシコに乗り込んだのかしら?」
「あん? 誰だよあんた?」

 エリナとの面識はなかったのか、ヤマダだかダイゴウジだが分からないが、訝しげに尋ねる。
 まぁ、エリナはナデシコに来てからも色々と忙しく動いていたし、昨日は昨日で俺との話の最中にブラックホールエンジンの事を聞いて速攻でネルガル本社に連絡を取っていた筈だから、面識がないのはしょうがないんだろう。

「ナデシコの副操舵士のエリナ・キンジョウ・ウォンよ」
「副操舵士が何だって格納庫にいるんだよ? 今は戦闘配備中だろ? なら……」
「同時に、ネルガル会長秘書も務めてるわ」

 ピキリ、と。
 エリナの言葉を聞いた瞬間、ヤマダだかダイゴウジだか――もう面倒なのでヤマダでいいだろう――が息を呑む。
 まぁ、ネルガルってのはこのナデシコ世界でもトップクラスの大企業だ。その会長秘書ともなれば、それは当然かなりの権力を持っている事を意味していた。
 ……そういう意味だと、エリナの前で偽りの名前とか言ったのは致命的なまでにタイミングが悪かったな。

「どうしたんだ?」

 ヤマダから遅れてやって来たテンカワが、不思議そうに尋ねてくる。

「いや、ヤマダが偽名を使ってナデシコに乗ったって話になってな。エリナがそれに切れてる訳だ」
「あの人は?」
「ああ、テンカワも知らなかったのか。エリナ・キンジョウ・ウォン。ナデシコの副操舵士にして、ネルガルの会長秘書らしいぞ」
「……なんだってそんなお偉いさんがナデシコに乗ってるんだよ?」
「さて、なんでだろうな」

 その理由の大部分は俺……より正確にはミロンガ改だろう。
 だがそれを言うわけにもいかず、適当に誤魔化す。

「さぁ、どういう事!? 何で偽名を使ってナデシコに乗ったのかさっさと吐きなさい!」
「いや、だから別に偽名って訳じゃ……」
「なら、さっきの偽りの名前ってのは何なのよ!? その辺の事情をきちんと言いなさい!」
「だからだな。偽りの名前だけど偽名じゃないっていうか……」

 色んな意味でエリナに押しまくられてるな。
 ヤマダが女に弱いのか、それとも単純にエリナがグイグイと攻めているのか。
 何だかんだで両方ともそれらしいな。

「ダイゴウジ・ガイってのは、魂の名前! 真実の名前なんだよ!」
「魂の名前とか、そういうのはいいの。あんたの名前は何なの!?」
「ダイゴウジ・ガイだ!」
「……ヤマダ・ジロウでしょ。あんたの戸籍に表記されている名前は」

 そんな風にやり合っていると、映像モニタが起動する。

『あのー……そろそろナデシコが発進するので、戦闘準備の方お願い出来ませんか?』

 困った表情のメグミがそう告げてくる。
 ああ、そう言えばそうだったか。
 メグミからの通信でエリナやヤマダ、テンカワ、ウリバタケといった面々も我に返ったのだろう。慌てて戦闘準備を始める。

「いい? この事は後できちんと話をつけるわよ。後で呼び出すから、それまで待ってなさい、ヤマダ!」
「だああああぁっ! こまけー女だな! 俺はダイゴウジ・ガイだっつってんだろ!」

 そんな風に言いながらもヤマダもエステバリスへ向かおうとして……

「だからあんたは駄目だって。足骨折してんだろうが」

 ウリバタケに止められる。
 確かにこうして見ると足にギプスを巻いているし、松葉杖も持っている。
 ……そうだな、俺との相性も悪そうだし、あまり関わらない方が良さそうだ。
 ヤマダの相手はエリナとか、同じパイロットのテンカワ辺りに任せておけば……

「ったく、俺はコックなのに何だってこんな……」

 ……コック? ああ、そう言えば何かそんな話を聞いたような覚えが……
 ナデシコ、色々と複雑な人間が揃ってるっぽいな。
 ミロンガ改へと向かいながら、そんな風に考えるのだった。 
 

 
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:405
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1188 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧