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リリカルなのは 深緑の男

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第四話 真実




第四話 真実

時空管理局のリンディの取調べに応じている麻生。

「つまり・・・あなたもプロジェクトFの関係者という事?」

「はい・・・僕は望月博士の助手としてフェイトちゃんの出生に関わりました・・・」

麻生はかつての罪をリンディに打ち明けた。

「そして・・・これが・・・」

リンディは麻生から渡されたファイルを見た。その中には異型の生物の姿とそれに関するデータがありアリシアの写真が同封されている。

「これは・・・生物兵器?違う・・・なんなのこれ?」

「ネオ生命体です」

「あの怪物の名前ね?」

「・・・はい」

「ちょっと待ちな!ネオ生命体だかなんだか知らないけどあんた何者なんだよ!」

アルフの言葉に麻生は静かに答えた。

「さっきの僕の姿を見てお分かりでしょう・・僕は・・・僕は・・・望月博士とプレシアさんの実験台にされて・・・改造手術をされているんです」

麻生の脳裏にあの悪夢のような出来事が蘇る。









「止めてください博士!バッタの遺伝子で・・・人間を改造するなんて間違ってます!!」

「黙れ!私はより強く感情などに惑わされない究極の生物を作りたいだけだ!!」

「うあああああああああああああ!!」










「そして僕は何処を彷徨いったのか・・・山の中で倒れ・・・数年前まで眠っていたんです」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

麻生の表情を見て思わず黙ってしまうリンディ。

「まさか・・・いくらなんでも・・・・」

プレシアがプロジェクトFだけではなく、その為に目の前の麻生を改造した事に可能性を否定しようとするアルフ。

「それに何者かが僕にテレパシーで呼びかけてくるんです。ネオ生命体からフェイトちゃんを守れと」

「ちょっと待って!言っている意味が分からない!第一ネオ生命体って一体!?」

アルフの言葉にまずネオ生命体について話すことにした麻生。

「ネオ生命体とは博士とプレシアさんが研究していた完全生物です。感情にとらわれず・・・凶悪で怜悧で物凄いパワーだけがある・・・以前ネオ生命体を倒すことが出来ましたが・・・・プレシアさんがもう一体ネオ生命体を造り上げていたようです」

「じゃあ・・・プレシア女史が生きていて・・・ネオ生命体を使ってフェイトを襲っているあなたはそう言いたいの?」

リンディの言葉に麻生は黙って頷いた。

「そんな馬鹿を言わないで・・・プレシア女史は確かにあの時死んだはず・・・!!」

「!!」

何かの気配に気付いたリンディが振り向くとそこにはフェイトが立っていた。

「く!」

「フェイト」

「フェイトちゃん!」

いても立ってもいられなくなりフェイトはそのまま飛び出してしまった。






しばらくするとフェイトは町の中に居た。どのくらい走ったか分からない。だが今の状況から逃げ出したかった。

「母さん・・・そんなに私のことが憎いの・・・」

突きつけられた現実に涙するフェイトは粉々になっているバルディッシュを握り締めていた。

「フェイトちゃん!」

フェイトを必死に探し追いついた麻生が静かに歩み寄った。

「お兄さん・・・」

「・・・それは?」

麻生はフェイトの手の中の砕け散ったバルディッシュを見つめた。

「バルディッシュが・・・もう・・・直らない・・・う・う」

フェイトの泣きそうな顔を見た麻生はバルディッシュを受け取り静かに握り締めた。

「・・・・・・・・・・・・・」

麻生が目を閉じると・・・













風が吹いた













「・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・え」

静かな笑みと共に麻生がそっと手を差し出すとフェイトは驚いた。

「嘘・・・」

麻生の手の中にはバルディッシュが完全に復元されていたからだ。

「バルディッシュ・・・大丈夫なの?」

『yes』

フェイトの言葉に答えるバルディッシュ。

すると

(あ・・この気持ちは・・・)

麻生はバルディッシュから何かの気持ちを感じ取った。

フェイトは麻生からバルディッシュを受け取り話しを聞いた。

「フェイトちゃん・・・僕が・・・山で目を覚ましたとき・・・・望月博士やプレシアさんへの怒り・・・そして君への罪の意識で一杯だった・・・」

「え?」

「けど・・・このバルディッシュから流れてきた気持ちはプレシアさんがどんなに君の事を思っていたか・・・分かる気がするんだ」

「そんなの・・・そんなこと・・・」

「・・・・この込められた気持ちは嘘じゃない・・・プレシアさんも悩んでいた・・・」

「嘘・・・嘘」

「僕は・・・博士とプレシアさんが君を生み出すときに立ち会った・・・あの時のプレシアさんの顔は・・・今でも忘れない」

「・・・けど」

「皆一生懸命生きている・・・これを壊しちゃいけない・・・だからプレシアさんはリニスさんに言ってこれを君に託したんだ・・・もう壊さないように」

「母さんが・・・」

フェイトはバルディッシュを見つめた。

「お兄さん・・・」

「・・・戻ろう」

麻生とフェイトが管理局に戻ろうとしたその時だった。

「!!」

『ギシャアアアアアアアアアアア!!』

こうもり怪人が襲撃しフェイトを奪取した。

「きゃ!」

「は!フェイトちゃん!!」

こうもり怪人はビルの中に逃げ込み麻生もその後追う。

「何故だ?何故飛び去らない?」

麻生はビルの階段を登りながらこうもり怪人が飛行能力を使わないことを不審に思っていた。その時。

「は!」

フェイトを追いかけた麻生の前に倒したはずのドラスFが立ちふさがった。

「!!」

ドラスFの腕が飛ぶと麻生を直撃し麻生はビルの窓から落ちてしまった。

「うわああああああああああああ!!ぐふ!あ!」

地面に叩きつけられる麻生はそのまま気を失ってしまった。






「ぐ・あ・・・」

麻生が目を覚ますと痛む身体を必死に起こした。そのとき一匹の猫が麻生の下に来た。

「・・・・・・・・・・・・・・」

猫から麻生にフェイトの誘拐された場所が送り込まれた。

「わかった!・・・ありがとう・・・リニスさん」

するとリニスは霧となり消えてしまった。

「必ず・・・フェイトちゃんは助けます!」

麻生はバイクに跨るとフェイトの元へ急いだ。

(待っていろ・・・フェイトちゃん!)


 
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