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新オズの腹ペコタイガー

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第十幕その七

「お礼はいいよ」
「そう言うんだ」
「だってこうした時はね」
「お互い様だっていうんだね」
「だからね」
 それでというのです。
「別にいいよ」
「そうなんだ」
「うん、とにかくシトリンは探したからね」
「これを受け取ってだね」
「もうなくさないようにね」
「気をつけるよ、本当にね」
「ところでだけれど」
 腹ペコタイガーがクォックス尋ねました。
「君はどうしてここにいるのかな」
「うん、旅をしていてね」
「お空を飛んでだね」
「そうなんだ、そうしてお空の旅を楽しんでいたんだ」
「オズの国のだね」
「そうしているんだ、それじゃあね」
 今度はクォックスが腹ペコタイガーに尋ねました。
「君達のことも聞くよ」
「うん、僕達はね」
 腹ペコタイガーは自分達の旅の目的と行く場所をお話しました、そのお話を聞いてです。
 クォックスは頷いてです、こう言いました。
「成程ね、ウーガブーの国に行くんだ」
「そうなんだ」
「ここから歩いてだと遠いよ」
「それはもうわかってるよ」
「いやいや、歩いたら遠いけれど」
 クォックスは腹ペコタイガーに言うのでした。
「飛べば、それも僕だったらね」
「ここからでもすぐに行けるっていうんだね」
「そうだよ」 
 まさにその通りという返事でした。
「それこそ瞬きする位だよ。それに実はね」
「実は?」
「ウーガブーの国から薔薇の国まで道が開けたから」
「あっ、オズマが道を開いたのよ」
 トロットがここでこのことを思い出しました。
「そうすれば皆の行き来が楽になるからって言って」
「うん、だからその道を使えばね」
「ウーガブーの国から薔薇の国に行くことも」
「これまでよりずっと楽で安全だよ」
「そうよね」
「だからね」 
 それでというのです。
「ウーガブーの国に行ったら」
「そこでアン王女から林檎を貰って」
「そしてね」
 そのうえでというのです。
「薔薇の国で蜂蜜を貰う道はね」
「その道を使うんだね」
「ええ、そうするわ」
 トロットははっきりした声でクォックスに答えました。
「有り難う、いいことを聞いたわ」
「それとね」
 ここで、です。クォックスはあらためて言いました。
「さっき言ったけれど僕ならね」
「ここからウーガブーの国まであっという間によね」
「飛べるよ」
「お空を飛べるって有り難いわよね」
「さっきシトリンを探して見付けてくれたから」
 だからというのです。
「お礼に送らせてもらうよ」
「ウーガブーの国まで?」
「ええ、これからね」
「送ってくれるの」
「僕はただ適当に旅をしているだけなんだ」
 オズの国のお空をというのです。
「だからウーガブーの国に行ってもいいし」
「それでなの」
「乗せて行くよ」
 そのウーガブーの国までというのです。
「君達がよかったらね」
「いいの?」
「全然構わないよ」
 これがクォックスの返事でした。 
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