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新オズの腹ペコタイガー

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第十幕その五

「クォックスさんはシトリンをどうして持っていたのかな」
「右の前足に持っていたんだ」
 そうしてというのです。
「ずっとね」
「けれどその右の前足からなんだ」
「この上を飛んでいる時にね」
 困ったお顔で言うのでした。
「ぽろりとやっちゃって」
「それでだね」
「今探しているんだ」
 そうした事情だというのです。
「それでだね」
「うん、それじゃあね」
「今からだね」
「シトリンを探し出すよ、だからね」
「だから?」
「クォックスさんの右の前足の匂いを嗅がせてくれるかな」
 これがトトのリクエストでした。
「今から」
「僕の右の前足の?」
「うん、クォックスさんがシトリンをそこに持っていたのなら」
 それならというのです。
「シトリンに匂いが付いているよ、それも強く」
「強くなんだ」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「その匂いを探すよ」
「僕の匂いじゃないんだ」
「身体の場所によって匂いは変わるからね」
「あっ、そうなんだ」
「うん、足と手で匂いが違うんだ」
「君はそうしたことまでわかるんだ」
「犬だからね」
 まさにそれ故にというのです。
「僕はわかるんだ」
「それは凄いね」
「犬は皆そうだよ」
 それで普通だと言うのでした。
「気にしなくていいよ」
「ううん、それじゃあ」
「今からね」
「右の前足の匂いをね」
 まさにというのです。
「嗅がせてね」
「わかったよ、じゃあね」
 クォックスは右の前足を差し出しました、そして、
 トトはその匂いを嗅いででした、そのうえで。
 周りを見回してお鼻をくんくんとさせてでした、暫くそうしてです。 
 一行の左手にある林を見てです、こう言いました。
「多分ね」
「あの林にだね」
「あるよ」
 そのシトリンがというのです。
「匂いがするから」
「それじゃあ」
「今から行こう」
 こうしてでした、トトはすぐに林に向かいます。その彼にです。
 恵梨香がです、こう言いました。
「私も行っていいかしら」
「恵梨香も来てくれるんだ」
「トトだけなら林の中に何かあったらいけないから」
 用心をしてというのです。
「私もね」
「それでなんだ」
「ええ、一緒に行っていいかしら」
「うん、お願いするよ」
 笑顔で答えたトトでした。
「それじゃあね」
「ええ、じゃあね」
「僕も行くよ」
 腹ペコタイガーも言ってきました。
「猛獣とかがいても僕がいたら安心出来るよね」
「だからだね」
「貴女も来てくれるのね」
「そうしよう、三人で行こう」
「じゃあ私達はね」
「ここで待っているよ」
 トロットとモジャボロはクォックスのところに来て言いました。
「林には恵梨香達が行って」
「僕達はここで留守番だね」
「そうだね、じゃあ待っていよう」
 こう言ってでした、そのうえで。 
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