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転生とらぶる

作者:青竹
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マブラヴ
  1235話

 一面の銀世界。昨日も思ったけどそう呼ぶのが相応しい光景が、今俺の目の前には広がっていた。
 少し前まで降っていた雪も止み、今は太陽が激しい自己主張して降り積もった雪にその光が反射し、かなり眩しくなっている。

「うわぁ……これは凄い」
「確かに、ずっと見ていたくなる光景よね」

 そんな言葉を発したのは誰だったのか。
 現在ここにいるのは、今回のスキー旅行に来ている者達の半分以上。
 ちなみに残りのメンバーはどうしたのかと言えば、宿にある温泉に入っている。
 雪の中で入る露天風呂は最高だ! って事らしいが。
 まぁ、確かに露天風呂にはちょっと興味があるが、それでもやっぱりスキーに来たんだから、最初にやるのはスキーに決まっているだろう。

「うおおおおおおっ、やるで、やるで、やるでぇっ!」
「あ、ちょっと、小太郎君待ってよ!」

 雪景色に本能を刺激されたのか、小太郎が真っ先にゲレンデへと向かって走り出す。
 ……そう、スキーを履いている訳ではなく、スノーボードを持っている訳でもない。
 ただ、ひたすらに雪の中を走り回っているのだ。
 この辺、やっぱり犬らしいな。
 そんな小太郎を追うのは、当然の如く夏美。ただしこちらはきちんとスキーを履いている。
 意外な事に夏美は結構スキーに慣れているのか、小太郎の後を追って滑っていく。
 スケーティングとか言うんだったか? ともあれ、ある程度の慣れがあるのは確からしい。
 多分、小太郎と一緒に行動している間に嫌でも覚えたんだろうな……
 そんな小太郎と夏美を始めとして、他の者達もそれぞれがスキーやスノーボード、あるいはソリといったものを楽しむためにゲレンデへと進む。
 俺は取りあえず経験のあるスキー。ただし、士官学校の訓練でやったくらいで随分と昔の事なので、最初はゆっくりとさせて貰おう。
 視線をリフトの方へと向けると、そこでは早速ジェフリーがスノーボードを足にぶら下げたままリフトに乗っているのが分かる。
 ……年齢の割には素早いな。
 そして例の如く、そんなジェフリーを見て黄色い声を上げているモニカ。
 オズマとキャサリンの2人は、それぞれスキーを履いてリフトへと向かっていた。

「ねぇ、彼女。良ければ俺がスキーを教えようか? こう見えて、結構得意なんだけど」
「え? その……すいません。私は夫がいますから」
「……え? 夫?」
「フレイ、どうしたの?」
「あ、キラ。ううん。何でもないの。彼とちょっと話してただけよ」

 そしてゲレンデでは、キラの妻となったフレイを独身と勘違いして口説いているミハエルの姿が。
 で、ミハエルが女を口説いているのを見れば当然……

「ミシェルゥゥゥッ! お前って奴は毎回毎回性懲りもなく!」

 クランが雪の上だとは思えない程の速度で走ってきて、そのまま跳躍。飛び膝蹴り……シャイニングウィザードをミハエルへと食らわせる。

「ぐぼぉぁっ!」

 クランのあの小さな身体のどこにそんな力があったのか分からないが、その一撃を食らったミハエルが吹き飛び、雪へと上半身を埋める。

「……い、行こうかフレイ。フレイはスキーって出来るんだっけ?」
「えっと、一応かな。小さい頃にやったくらいで。キラは?」
「残念ながら、やった事はないから初心者なんだ。教えてくれる?」
「うん、任せて」

 お互いに笑みを浮かべながら新婚らしくイチャイチャと言葉を交わすキラとフレイ。
 こうして見ると、フレイも随分と変わったよな。
 結婚して柔らかくなったというか……
 元々フレイはナチュラルであるにも関わらず、コーディネーターに負けず劣らずの美貌を誇っていた。
 それが年齢を重ね、キラと結婚した事で雰囲気も柔らかくなり、母性……というのはちょっと言い過ぎだが、そんな印象が強くなった。
 そう考えれば、ミハエルが口説こうとしてもしょうがないんだろう。

「あー……ミシェル先輩またやってるよ。ナナセさん、僕達はどうする?」
「そうね。私もスキーは初めてなんだけど、ルカ君は?」
「面目ないです」
「しょうがないわね。じゃあ、私達も誰かに教わりましょうか」

 ルカとナナセの2人がいい雰囲気で話している。
 いつの間にか、新たなカップルが誕生していたらしい。
 マクロス世界に行く事も滅多にないから、向こうの情報には結構疎いんだよな。
 そんな風に考えていると、不意にスキーウェアを引っ張られる。
 そちらに視線を向けると、そこにいたのは霞と麗華。
 当然スキーウェアを身につけている。
 ただし、スキーを履いている訳ではなく、スノーボードを履いている訳ではなく、その手に持っているのはソリだ。

「アクセルさん、一緒に遊びませんか?」
「……遊んでくれるの?」

 霞と麗華の2人にそう言われては、断る訳にもいかない。
 というか、そもそもここにやって来たのは霞に誘われての事だし。
 俺自身は別にスキーを楽しみにしていた訳でもないので、誘われれば断るつもりもなかった。

「分かった、どうやって遊ぶ?」
「このソリは、高い場所から滑れば面白いそうです。……一緒に乗りましょう」

 霞がソリを見ながら告げるが、そのソリはあくまでも子供用のソリであり、大人の俺が乗るようには出来ていない。

「あー……これに俺が乗るのはさすがに無理だろ」

 まぁ、10歳の姿に変われば乗れるだろうが、そこまでして乗りたいとは思わないんだよな。
 さすがに気恥ずかしいものがある。

「駄目……ですか?」
「駄目なの?」

 2人に残念そうな視線を向けられ、軽く霞の頭に手を置く。

「一緒には乗れないけど、その代わりソリを持って高い場所まで行ってやるよ」
「本当ですか?」
「ああ。……よっと。2人共、落ちないようにしっかりとソリに乗るんだ」

 霞と麗華が不思議そうにしながらもソリに乗り込んだのを確認し、そのソリをそっと持ち上げる。
 そのまま混沌精霊としての力で浮き上がり、それなりに高い場所まで飛んでいく。
 何だか地上で星刻が騒いでいる声が聞こえた気がしたが、多分気のせいだろう。……うん。
 今こうして見ると、こっちに向かって坂を駆け上ってきているが、きっとそれも見間違いだ。
 にしても、幻の割りには雪の坂を駆け上がってくる速度が速いよな。

「……びっくりしました」
「うん、びっくりした」

 そんな風に驚いている2人だったが、俺が掴んでいたソリから手を離せば、当然ソリは坂道を下っていく。
 いきなりの行動だった為だろう。霞はウサギの耳をピョコピョコさせて驚きながら、麗華はキャーキャー嬉しそうな叫び声を上げながら滑る。
 空を飛んで移動したといっても、そんなに上まで上がった訳ではないのでソリはすぐに下へと到着する。
 ワーワー、キャーキャー言っている霞と麗華を、まだ下にいる者達が笑みを浮かべて見守っていた。
 勿論その笑みは嘲笑とか馬鹿にしたような笑みではなく、微笑ましいものでも見るような笑みだ。
 そんな笑みを向けられているのだが、霞と麗華の2人は興奮しているのか全く気が付いた様子がない。
 ソリが止まると、すぐに降りてこちらへと手を振ってくる。
 それを見て、俺もスキーで下へと向かって下りて行く。
 滑る距離は殆どないが、それでも数年……いや、主観時間では10年ぶり以上のスキーだ。この程度の距離が身体に慣らすという意味でも丁度いい。
 そうしてゆっくりと滑りながら下へと下りて行くと、俺に向かって一直線に進んでくる人影があった。
 長い黒髪をたなびかせ、美形と表現してもおかしくない顔を俺の方へと向けているのは……

「この状況でやって来るのがレモン達ならともかく、お前じゃな」

 その人物へと視線を向け、思わず溜息を吐く。
 それを見た星刻は、素早く俺へと向かって手を振る。
 まだ数mの距離があるのに、どうしたんだ? そう思ったが、服の袖から何かが伸びてきたのを見て、反射的に受け止めると……そこにあったのは、ロープ。ただし先端にはゴムの塊――といっても指先程度の大きさ――がついている。
 一応相手を殺さないようにという配慮なんだろうが、ゴムの塊って何気に重いし、十分武器になるんだが。

「いきなり何をする?」

 ゴムを手放すと、ロープに結ばれたゴムの塊が素早く星刻の懐に戻っていく。
 そうして俺の方へと向かってくると、がーっと叫ぶ。

「アクセル、天子様を抱えて飛ぶとは何事だ! 危ないだろう!」
「……お前、ちょっと過保護過ぎないか? 大体、俺があの状況で落とす訳ないだろ」

 にしても、黒髪か。
 星刻に言葉を返しながら、さっき自分で思った事を思い出す。
 何気に今俺と一緒にいる俺の恋人の中に黒髪って円しかいないんだよな。凛もいるけど、今は会えないし。
 桃色とか赤紫色とか、青とか、茶色とか、金髪とかはいるんだが……黒髪は円だけだ。
 しかも恋人達の中では唯一のショートカットというのもあるので、色んな意味で目立つ存在だったりする。
 凛とした美形でショートカットの髪型もあって、年下の女にキャーキャー言われそうなタイプ。
 年下の女じゃない星刻が何だかギャーギャー言ってるが、それは無視して円の姿を探す。
 ……ああ、いたな。かなり上の方から、スノーボードを使ってこっちに降りてきてる。
 円だけに留まらず、あやか達従者組は生身での戦闘力が非常に高い。
 つまり、それだけ身体を動かす基礎が出来ている訳で……円だけではなく、同じくスノーボードの美砂と、スキーのあやかと千鶴もこっちに向かって降りてきているのが見えた。

「おい、アクセル! 俺の話を……」
「星刻、いいのか? 向こうを放っておいて」

 まだ何か言い足りなさそうな星刻の言葉を遮り、視線を霞と麗華2人の方へと向ける。
 すると、その2人は小太郎に連れられて更に上の方へと上って行っていた。

「なっ!」

 驚愕の表情を浮かべる星刻だったが、驚くのはまだこれから。
 何と坂を下りてくる前に小太郎が狗神を生み出したのだ。
 そしてソリの紐を狗神に引かせると、そのまま真っ直ぐに下の方……こちらへと向かって突っ込んで来る。
 当然ソリの紐を引かれているんだから、ソリに乗っている霞や麗華も一緒にだ。
 キャーキャー言いながら降りてくるその姿に、星刻は真っ直ぐ突っ込んで行く。
 スキーを履いてるのに、随分と移動速度が速いな。
 ……これも愛の為せる技か。

「ちょっと、小太郎君! あの狗神大丈夫なんでしょうね!」
「大丈夫やて。夏美ねーちゃんは相変わらず心配性やなぁ」

 スキーウェアを着た夏美が小太郎に向かって文句を言っているが、本人は全くそれを気にした様子がない。
 いや、寧ろその状況を楽しんでいると言った方がいいかもしれないな。
 霞の注目が俺から狗神に移ったみたいだし、俺も少し滑るか。
 さっき霞と麗華を連れて行った場所から降りた程度では、殆ど滑った感じがしないし。
 そう思ってリフトの方へと向かうと、そこには俺と同じくリフトに向かっていたシェリルの姿があった。
 本来普通のスキー場では、当然リフトに乗るのには並ばないといけない。
 だが、このスキー場は俺達の貸し切りだ。
 更には夕呼のようにスキー場には来ず、寒いのを嫌って温泉三昧を楽しんでいる者もおり、余計にゲレンデに出ている人数は少ない。
 つまり……

「あら、アクセル。一緒に行く?」
「ああ、そうさせて貰うよ」

 シェリルと短く言葉を交わし、特に並ぶ事もせず2人で一緒にリフトへと乗る。……リフトだと座るか?

「貸し切りだと、わざわざ並ばなくてもいいのが便利よね」
「そうだな。ただ、この世界だからこそ出来た事なんだろうけど」

 普通であれば、幾ら客が少なくてもそう簡単にスキー場と宿の貸し切りとか出来る事ではない。
 特に、わざわざ崇継や恭子といった面子がやってくるのだ。元々客の少ない場所であっても、それなりの宿だったりするのは間違いない。
 ……あのボロさを考えると、考え過ぎかもしれないが。
 実際、このスキー場にはリフトはあってもゴンドラはない訳だし。
 宿も俺達の部屋はエアコンの類じゃなく薪ストーブだし。
 まぁ、マブラヴ世界の情緒を味わうという意味では、それもまた楽しんでるんだけど。
 ……もしかして、実はこれもサービスだったりするのか?

「それにしてもシェリルがスキーを出来るってのは驚きだったな」
「別にそんなに驚く事でもないでしょ? 元々身体を動かすのはそんなに苦手って訳じゃないんだし」
「そうか? ……そう言えばそうだったな」

 確かにシェリルは実働班のように本格的な戦闘訓練をしている訳ではない。
 だがシャドウミラーの広告塔としての役割があり、更にはシャドウミラーの代表でもある俺の恋人だ。
 更に更に、シェリル自身がマクロス世界……のみならず、他の世界でも莫大な人気を誇る歌手でもある。
 当然何らかのトラブルに巻き込まれる可能性も高く、この手の職業の常として行き過ぎたファンやストーカーといった問題も出てくる。……というか、出てきていた。
 だからこそ、自衛が出来る程度にはエヴァに鍛えて貰っている。
 しかもエヴァの感覚での自衛だから、その辺の軍人や戦士といった者達より余程強い。
 それこそ、小型種のBETA程度であれば生身でどうにか出来るんじゃないかと思う程に。
 そんなシェリルだけに、スキーのやり方を覚えるのにそんなに苦労はしなかったのだろう。

「じゃ、アクセル。上に着いたらどっちが早く下まで到着するか勝負しましょうか」

 輝くような笑みと共に、シェリルはそう告げるのだった。 
 

 
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:405
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1188 
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