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『曹徳の奮闘記』改訂版

作者:零戦
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第七十六話






「副官、お呼びですか?」

「だから副官じゃないって」

 部屋に入ってきた高順に言う。

「副官は副官ですから」

 高順はそう言って笑う。

「まぁいいや。高順、お前に一つ重要な任務を与えたい」

「重要な任務………ですか?」

「あぁそうだ」

 高順の言葉に俺は頷く。

「これはかなりの長期任務なる。それでも構わないか?」

「は、構いません。自分は貴方に命を捧げていますので」

「そんな大袈裟に言わなくても………まぁいいや。部下は甘寧軍の中で船の熟練者で構成されている五十名と船は四隻だ」

「元敵に仕えるというのは大丈夫ですか?」

「それは尤もだが、甘寧は五十名の兵士は絶対に裏切らないと保障している」

 甘寧がそう断言しているからな。

「分かりました。副官を信じます」

 だから副官じゃねぇって。

「それで自分は何をしたらいいんですか?魏と同盟でもして蜀を攻めるんですか?」

「残念ながら違う。高順、お前に――――――へ行ってもらいたい」

「………本気ですか?」

「あぁ。この任務は美羽も承認している」

 最初に美羽に言った時は美羽も驚いてたけどな。

「………分かりました。この高順、その任務を見事に果たしてみせましょう」

 高順は俺にニヤリと笑う。

「頼むぞ高順」

「はい。任せて下さい」




 二日後、食糧を充分に積み込んだ高順率いる四隻の船は一斉に建業の港から出港して、四隻は青州の山東半島を目指した。

「………よかったのか雪風?」

「はい、構いません。私はまだ此処でするべき事があります」

 俺と雪風、甘寧は四隻の船を見送っていた。

「………だが、向こうは我々を受け入れるのか?」

 甘寧が雪風に聞く。

「私達は貴女達の技術を欲していますから大丈夫です。重臣達とも話し合いをして承諾しています」

「そうか………しかし、王双も中々の事を考えたものだ。『倭国の邪馬台国』に移住の申込みを行うとはな………」

 甘寧がそう呟いた。

「………甘寧、これは今だから言える事だけどな。反董卓・袁術連合軍との対峙の最中に思案していた」

「何?」

「まぁ結局は劉協皇帝が終戦にしてくれたおかけでうやむやになったけどな」

 あの時はほんまに日本―――倭国へ亡命しようとして、真桜に大量に船を作らせていた。(第三十五話の真桜との会話がこれ)

「その劉協皇帝も行方不明だからな」

 劉協皇帝は中国全土の戦争が勃発してから急に姿を消した。

 漢王朝滅亡の責任を取って人知れぬところで自害したとか、一人で旅に出たとか色々と噂が流れたけど結局は劉協皇帝が見つかる事は無かった。

「それと大変だが………いいのか?」

「何がだ甘寧?」

「その………魏、蜀との戦いで袁術の状況が不利になったら反乱をしてもいいと………」

 これは美羽はの判断だった。

 美羽はいつかする倭国への移住を承認すると雪蓮と冥琳(真名を預けてくれた)を呼び出して、いずれか袁術軍が不利な状況になれば反乱しても構わないと話した。

 これには俺も雪蓮も冥琳も驚いたいやマジで。

「妾もそろそろ上の座から降りたいのじゃ。戦乱を見ていると妾が一番子どもじゃと認識出来る」

 美羽は俺達にそう言って雪蓮と向き合う。

「雪蓮、お主はこの戦乱に立ち向かえる存在じゃ。じゃがもう少し待ってほしいのじゃ。時がくれば孫呉を復活させる。じゃから待ってほしいのじゃ」

 美羽は雪蓮に言った。

「返事は言わなくていい」

 その時、美羽は笑った。

「ま、美羽も王の器じゃないと気付いていたみたいだからな」

「………美羽さんのアカを麗羽さんに飲ましたいですね」

「「………………フフ」」

 雪風の言葉に俺と甘寧は笑った。

「じゃあ行くか雪風、甘寧………ん?」

 川上から何か流れているな。

「………なぁ雪風に甘寧。あれって人………だよな?」

「あぁ………私の目も確かに人だと認識している」

「と、取りあえず救助しましょッ!!」

 雪風の言葉に俺と甘寧は小舟を出して流れてくる人を救助した。

「どざえもんか?」

 流れていたのは女性でピンク色の髪をして、髪型はポニーテール、女性を強調する物が大きいかった。

「………どっかで見た顔やな………」

 確か前にどっかで………。

「………ぅ……」

 その時、女性は目を開いた。

「おい大丈夫か?」

「お………おう……そう………」

 ………え?

「な、何で俺の名前を………」

「わ、私は………りゅ……劉協だ」

「「………へ?」」

 俺と甘寧は思わず間抜けな声を出した。

「「………ええぇぇぇぇぇーーーッ!?」」

 俺と甘寧は絶叫した。






 
 

 
後書き
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