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ヴァンパイア騎士【黎明の光】

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黒主学園、開校。
  3

ホールの賑わいはかなりのものだ。
白と黒、それぞれ自身が配属されたクラスの制服を纏った人たちでごった返している。

視線を一回りさせ、私――宇佐美姫羅は、感嘆の息を吐いた。


「す、凄い……」



黒主学園。
かなりの歴史を持つ学校だと聞いて、何より一番は中等部時代に配られた学校説明会用のパンフレットに載っていた校内の美麗さに惹かれて入校を希望したのだけれど、まさかここまでとは。

入校式も体育館とかで開催される訳じゃなく、ちゃんと式典用みたいなホールまで完備されてるし。
何より新設だから学校は綺麗だし。
制服は可愛いし。
――気分だけでもお嬢様になれたかのようで、感極まって私は隣に立つ親友に抱きついた。



「凛ちゃん、嬉しいよぉーっ!」



小さく笑って私の頭を撫でてくれるのは、牧野凛音。
名前の読みが【りおん】だから、私は愛を込めて凛ちゃんと呼んでいる。

彼女は中等部からの友達で私の親友。
非常にクールな性格だけど、本当は姉御肌で面倒見が良くて優しい彼女の事を私は心から好いているのだ。


黒主学園は有名なお嬢様学校らしい。
凛ちゃんは頭も良くて立派な家柄のお嬢様だけれど、私は実家がパン屋を営む至って普通の子。
だから私が黒主学園に行きたいと言い出したとき、両親は結構無理をして私を入校まで導いてくれて、凛ちゃんも友達がいないと寂しいからという私の誘いに二つ返事で乗ってくれた。

そんな背景があるから、今日の感動はかなり大きいものであるわけで。



「ああ、素敵。今日はなんて素晴らしい日なの……」



胸の前で自らの両手を絡め合わせ、うっとりと囁く姫羅を見て凛音は苦笑する。



「ねえ姫羅、ボーッとしてたら危な――」


危ないよ、と告げようとしたけれど。
凛音が言い終わるよりも早くそそっかしい姫羅は、既に誰かと衝突していた。

きゃあ、という短い悲鳴と共に姫羅が大理石の床に尻餅をつく。 
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