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Deathberry and Deathgame

作者:目の熊
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Chapter 2. 『想う力は鉄より強い』
  Episode 12. Don't judge by appearance (4)

 
前書き
お読みいただきありがとうございます。

十二話です。

よろしくお願い致します。 

 
 振り下ろされた鉄塊のような大剣を、真正面から受け止める。相手の力を確かめるためにやってみたが、思った以上に衝撃が強い。『霊格解放』の効果で押し止めることはできるが、なかったらそのまま斬られちまいそうだ。峰を支えていた手を外し刀身を逸らして大剣を受け流す。地面に叩きつけられた剣先が地面に深々と突き刺さり、斬撃の威力の大きさを物語る。
 うなりを上げて迫る大剣を躱しつつ、俺は斬撃直後の隙を突いて、一気に懐に潜り込む。そのまま刀を一閃して胴を斬るが、騎士甲冑に阻まれてダメージが通らない。というか、刃が入っていかない。切っ先が一センチくらいめり込んだだけの浅い傷が刻まれ、すぐに消えた。騎士の反撃を大きく後ろに跳ぶことで避けつつ、軽く舌打ち。マツリの言うように、相当堅いみたいだ。

 が、その分剣速は遅い。斬撃の後半は重力で加速するが、そこに至るまでに数秒かかってる。恋次の蛇尾丸みたいな変幻自在の軌道が取れない以上、振り始めさえ見切れば、例え太刀筋を見なくても避けられる。
 そして、剣を振るうスピードが鈍いってことは、

「隙だらけなんだよ!!」

 甲冑の継ぎ目にピンポイントで刀を叩き込む余裕も、十分にあるってことだ。
 斬りおろしを身体を捻って避け、《浮舟》で剣を持つ手の篭手の隙間を斬りつけた。さっきまでの鉄の塊を打ったような感覚とは違う、わずかに柔らかい手ごたえ。HPバーが、初めて明確に減少した。

「……よし。弱点がわかりゃあ、後は斬るだけだ!」

 優にニメートルを超える大剣のせいで、騎士は小回りが利かない。空いた左手で殴ってくるかとも思ったんだが、馬鹿正直に両手で剣を握りっぱなしで、一向に放す気配はないように見えた。
 だからって別に容赦してやる義理もねえし、と思い、距離を取ろうと後退し続ける騎士の懐に入り、騎士甲冑の継ぎ目目掛けて縦横無尽に刀を奔らせる。ガンメタのプレートの隙間に刀の先端がめり込み、抉り、貫くたびに、HPバーが少しずつ、確実に減少していく。その度に騎士は恨めしそうな呻き声を上げ、俺を怨嗟の籠った目でにらむ。
 HPバーはたちまち半分を割り込んだ、すると、騎士はようやく剣を放して拳骨を作り、攻撃直後の俺の脳天へ振り下ろしてきた。チャドを思わせる剛の一撃、だが、

「ほいっと!」

 背後に忍び寄っていたマツリの廻し蹴りが肩に命中。軌跡がねじ曲がり、身体が前につんのめる。

「キリトくん! 後よろしくー」
「おう!」

 さらに、足元にスライディングですべり込んだキリトの《レイジスパイク》が膝の継ぎ目を貫通、足が一本宙に浮かぶ。そのまま騎士は自重に負け、派手な音を立ててすっ転ぶ。
 俺はその先で待ち構えて渾身の《尽月》を肩口に叩き込み、騎士の左腕を切断した。HPバーがグイグイ削れ、一気にレッドゾーン寸前まで落ち込む。

 もう一発、と再度刀を構えようとしたが、騎士の力任せの薙ぎ払いが繰り出され、やむなくバックステップで後退。騎士は狂ったように俺に追いすがり、重低音の雄叫びを上げながら隻腕で大剣を振り回す。スピードはさっきまでと比べて明らかに上がってる。下手すりゃ二倍近い上昇率かもしれない。巨大な刃が通過するたびに突風が巻き起こり、轟々という音が俺の耳に喧しく響く。

 狂乱、とも言える騎士の変貌に、しかし俺は大して動揺することはなかった。普段ならしかめっ面の一つでも浮かべていたかもしれない。「鬱陶しいんだよ!」と、悪態を吐いたかもしれない。
 けど、今この状況下では、そんな不景気なリアクションは出てこなかった。むしろ、俺の顔には挑発するような笑顔が浮かんでさえいた。

「どうした! 剣の振りがえれー雑になったじゃねえか、急によ!!」

 そう。速くなった分、目に映る大剣の太刀筋が、眼に見えて歪み始めていた。
 今まではしっかりと刃を立てた、騎士らしい真っ直ぐな斬撃が飛んできていた。だが、今はなりふり構わないと言わんばかりに、めちゃくちゃに振り回している。偶に剣の腹で打ちすえようとさえしてくる。当たれば他はどうでもいい、と言わんばかりの歪なラッシュには、モンスターには存在しないはずの「焦燥」が浮かんでいるように見えた。

 何十回目か大ぶりの袈裟切りが空を切り、地面にぶち当たって剣撃が一瞬止まる。その隙に俺の《尽月》が再発動。一番最初に傷つけた右手首を強打し、そのまま斬り落とした。途端に響く、最大音量での絶叫。剣よりこの音でダメージ食らうんじゃねえか、と、余計な考えが頭に浮かぶ。

 その瞬間、騎士の兜が横に裂け、怪獣のような牙が生えた口が出現。そのまま面を突き出すようにして騎士が噛みついてきた。向こうとしちゃあ意表を突いたつもり、なんだろうが、

「わりーな、デケーのに噛みつかれんのは慣れっこなんだよ!!」

 大虚に比べりゃあチンケなもんだ。俺は刀を真横に一閃、面防の隙間を斬り裂く。視界を潰され、残りHPを数ドットまで減らした騎士は、のけぞって後ろに倒れ込んだ。

「さて……これでテメエは俺を見ることができねえ。武器を使うこともできねえ。拳さえも握れねえ。どーだ、殺る側から殺られる側に堕ちた気分はよ」

 俺は刀を肩に担いで、ゆっくりと近づく。なんの恨みもないはずのこの騎士にここまでやるのは、戦闘で神経が高ぶってるせいか、それとも……いや、どうでもいいか。
 最早起き上がることすらできなくなった騎士の前に俺は立ち、刀を上段に構える。紅い刃に《尽月》の群青色のエフェクト光が加わり、鮮烈な紫の光となって刃に宿り、騎士の鈍色の甲冑を暗く染める。

「……そんじゃあ、終わりだ」

 それだけ言って、俺は刀を一閃。蒼紫に輝くギロチンに裁かれた騎士は、あっけなく消滅した。



 ◆



「おっつっかれー! いやー、ありがとーございました、っと!」

 騎士が死んで五分後、無事に落っこちてた刀を回収できたマツリは、ホクホク顔で俺たちに礼を言ってきた。どうみても錆び塗れで剣八の斬魄刀よりもヒドい有様のボロ刀だったが、マツリはそれを大事そうに抱え、嬉しそうに笑っている。見た目はどうあれ、大切なものなのは本当みたいだ。

「まあ、大事ならもう二度と失くすな。何度も失くしちまうようなモンは、そのうち本当に消えちまうからな」
「お、含蓄深いお言葉だね、もしかして、自分の体験から?」
「ちげーよ。周りに多いんだ、そーゆーの」

 何でも屋に来る仕事の半分くらいは落し物探し、しかも嬉しくないことに常連が多い。何度も依頼を受けてるうちに、凝りもせず同じものを失くして最後には何処からも見つからなくなる、なんてケースを山ほど経験することになった。物を大事にしないやつってのは、結局その場で見つけてやってもいずれまた失くし、最終的にはどっかに消えちまうんだ。育美さんは儲かって大喜びかもしんねーが、俺としちゃあ素直に喜べない現実があった。

 まあ、目の前のこいつはそんなことにはならなさそうだけどな、と心の中で呟き、俺はこのクエストを終わらせることにした。

「さあ、刀は見つけたぜ。報酬をもらおうじゃねえか」
「う、忘れてなかったか……って、じょーだんじょーだん。約束通り、報酬金ととっておきの装備、はいどーぞ。あ、騎士を倒してくれた一護くんには、おまけにわたしオリジナルのスペシャルおまじないがかけてあるからね! 効果は抜群!」
「嘘付け、そんな効き目の無さそうなモンがかかったところで、どーせ一ミリも変化しねえだろ」
「ひどーい、頑張ったのにー」

 ぶーぶー文句を言いながらも、マツリはきちっと報酬を手渡してくれた。同時にウィンドウが開き、『守人の探し物』のクエスト達成のメッセージが出現、クリアが確定する。早速下緒を装備するために、俺はアイテム欄を開き――え?

「ん? どうした一護」

 硬直した俺を不審に思ったのか、横にいるキリトが問いかけてきた。が、今の俺にはそれに応える余裕はなかった。

 アイテム欄の一番上、取得したばかりのその下緒のアイテム名は――『死神の装具・浅打の下緒』となっていた。

 思わず俺はマツリの整った顔を見ようとした。が、それはできなかった。マツリはこちらに背を向け、あの錆びた刀を何故か水平に構えている。モンスターの一匹もいないこの場で、一体何をする気だ、俺が問う前にマツリの刀が閃き、虚空を一文字に裂いた。
 すると、何もなかった空間に一条の切れ目が生じ、ゆっくりと開き始めた。まるで黒腔を思わせる空間の開き方に俺は身構える。が、予想に反して中は純白の光に満ちていて、黒腔特有の虚無感のようなものはどこにも感じられなかった。

 呆然とするキリトを押しのけて駆け寄り、なんの躊躇もなくそこに踏み込もうとするマツリに向かって、俺は叫ぶ。

「おい! テメエ、いったい何モンなんだよ!! 本当に死神なのか!? 浅打(そいつ)を持ってるってことは、まさか護廷――」
「すとーっぷ、だよ、一護くん。それ以上はいけない」

 俺の矢継ぎ早の問いかけを遮るようにして、マツリの軽い口調の言葉が響いた。相変わらずこっちに背を向けたまんまで、その表情は見えない。でも、絶対にいい顔はしてないってことが、直感で伝わってきた。

「確かに、わたしは『死神』って呼ばれる存在。悪霊を狩り、寿命が尽きた人間をあの世へ送るのが仕事。外套は制服みたいなもので、刀はその悪霊狩りの必需品。わたしが今の自分について言えるのは、これだけだよ」

 逆光で黒いシルエットになった死神(マツリ)は淡々と話した。まるで、そう答えようとあらかじめ準備してたような滑らかさ。いや、コイツがNPCである以上、その台詞は全てシステムによって最初から決められていたもの。どれだけコイツが自由人であっても、自分自身で考えて俺たちと話していたことなんて、一度たりともなかったはずだ。だから、今の違和感は正常なもの、そのはずなんだ。
 けど、俺は何故かその現実を素直に受け止めることができないでいた。まるで、マツリという一人の人間が「言いたいことはいっぱいあるけど、最後の別れくらい真面目にしたい」と意地を張ったような、そんな根拠のない感覚が俺の心に居座っていた。

「いろいろ思う事はあると思う。もしかすると、キミたちの頭の中で考えていることは正解かもしれないし、全然検討ハズレかもしれない。そして、その正誤の答えを、多分わたしは持ってる。
 でもね、それに答えるのはわたしのお仕事じゃない。わたしはマツリ。能天気でちょっと間抜けな、普通の死神。他人の疑問を解決するなんて頭の良いことはできないんだ。その役目は、もっと相応しい人が担ってくれるよ」

 そこまで言って、ようやくマツリはこっちを振り向いた。俺たちを見るその紫の目は、心なしか潤んでいるように見える。

「……本当はもうちょっとおしゃべりしてたいんだけど、もう行かなくちゃ。いろいろ唐突で申し訳ないけど、ここでお別れだよ」

 そうはっきりと言われて、俺はようやく我に返った。驚きと戸惑いでみっともなくなっていた面を意識的に引締め、いつものしかめっ面を作る。腕を組み、片頬を吊り上げるようにして、俺は笑った。

「そうかよ。んじゃ、オメーみたいなバカじゃなくて、もっと頭の良い人んトコに行くことにする」
「ん、それがいいよ。どうせ一護くんのことだから、わたしが説明しても『ンなわけあるか』ってキレそうだし」
「ほー、言うじゃねエか、露出狂のクセに」

 そう言って、俺たちは笑った。そのまま俺は一歩下がり、代わりに事態の急展開についていけてないっぽいキリトを押し出す。

「キリトくんも、ばーいばい、だよ。可愛いお顔、大事にしてね」
「え? あ、ああ……って、大きなお世話だ。フェイスパターンを変更できるツールを見つけたら、真っ先に作り変えて強面の兵士になってやるぞ」
「えー、もったいないし、似合わないよう。わたしはそのままがいいなー。わたしの裸見たときの顔とか、すっごくいい感じだったし」
「う、うるさいな! それはもういいだろ!!」
「あははー、ま、脳内にこっそりしっかり保存しといてね。わたしからの置き土産だよん」

 語尾に音符マークでも付いてそうな軽さで、マツリはキリトをからかった。もう、目の潤みは消え失せている。それを見て、いつの間にか張っていた肩の力が抜けたのを感じた。

「……じゃあ、行くね。短い間だったけど、楽しかったよ。またどこかで会おうね!」

 そう言ってマツリは大きく手を振り、光の中へと消えていく。
 その黒いシルエットが消え、開いた空間が完全に閉じきるまで、俺たちはずっとその場に立ち続けていた。



 ◆



「――とまあ、こんな感じだったワケだ」
「……そう」

 マツリを見送った俺たちは迷宮区を脱出し、19層主住区へと帰還していた。マップデータ、およびボス部屋の情報公開はキリトが引き受けてくれたので、俺はそのまま拠点にしている宿屋に直帰。ヒマそうになんかのカタログを読んでいたリーナに、事の顛末をざっくりと説明した。

「まさか、ボス部屋解放なんて重要なクエのフラグ立てに、『特定スキルの所持(そんなもの)』が採用されてるとは思わなかった」
「まあ、フツーに考えて、その装備を持った奴が一人も存在しなきゃ、そこで攻略が頓挫しちまうからな」
「SAOはクエストの生成・調整機能がある。もしそうなったら、クエストの内容に調整が入るはずだから、そこは大丈夫。私が問題だと感じたのは、その公平性」

 自分専用の特大マグカップのお茶を啜りながら、リーナは淡々と考察を述べる。

「無数にあるサブイベントならともかく、ゲーム全体のメインシナリオの中において、そういう『特定のスキルを所持したプレイヤー』が有利になることはあっても明確に必須になることは少ない。条件に合致するプレイヤーが不在だと頓挫しかねないという点もあるけど、最大の問題点はその不公平性にあると思う。
 ゲームのメインシナリオの中では、誰もが主人公になり得る。故に、そのフラグ立てはやろうと思えば誰にでも――そのクエストが対象としているレベル帯の中でっていう但し書きはつくけど――可能になってることがほとんど。持ってるスキルで最初から参加資格を振り分けるようなことは、狭量なプレイヤーからのクレームを避けたいゲーム開発者はやらない。それにこのSAOは、基本的に全プレイヤーに基本的にフェアな構成になってる。特定のソードスキル保持者を優遇するとは考えにくい」
「んじゃあ、今回のクエストはどう説明すんだよ。実際、カタナスキル持ち限定っぽかったぜ?」

 同じデザインの、一回り小さいカップに追加のお茶を注ぎ足しながら俺がそう問うと、リーナはカップを傾ける手を止め、こっちに向かって指を二本立ててみせた。

「私が今考えつくのは、大きくわけて二つ。
 一つ目は、開始条件はカタナスキルではなく別の何かだった可能性。私と一護は何度か東部の最上層に行ってるのに、一度もその女性を目撃していない。一護と最初の情報提供者の間にカタナスキル以外の共通項が存在する。あるいは、私とキリトや情報提供者のバディとの間にある相違点が鍵になっていた。このどちらかの可能性が高い。
 二つ目は、訪れたプレイヤーのメインスキルに応じてメインシナリオが変化している可能性」
「はあ!? プレイヤーによって変化する!? そんなことがあり得んのかよ!」

 思わず立ち上がってしまった俺を見ても、その発言者は落ち着き払ったままだった。

「あくまで可能性の話だし。でも、これでも一応説明はできなくはない。
 カタナスキルが本当に開始条件だったのなら、今回のクエストは『カタナスキルを持ったプレイヤー』用に作られたボス部屋解放シナリオで、他のスキル持ちのプレイヤーには別のシナリオが用意されてた。それで、たまたま一番最初に見つかったのが、その『カタナスキル専用』のクエストだった、と、こんな感じだと思う。複数人いた場合の優先順位の判定とか、疑問は多いけど」
「うーん……よくわかんねえけど、でもまあ、もうクエストは終わっちまったんだ。今ここでアレコレ考えても意味ねーだろ」
「意味なくない。知識的探究の楽しさがあって……って言いたいところだけれど、今回だけは同意。とってもお腹減ったし」
「そーだな、もうすっかり夕方……って、ちょっと待て。お前、まだメシ食ってねえのかよ。先食ってろってメッセージ投げたじゃねえか」

 コイツは何よりも自分の食事を優先する奴だから、メッセージなんてあろうがなかろうが、俺がメシの時間になっても帰らなけりゃ勝手に一人で済ませると思ってた。それが、午後七時(こんなじかん)まで断食を貫くとは……なんか食欲が失せる出来事でもあったのか? コイツの無尽蔵の食欲を抑制するなんて、どんだけ凄まじいインパクトが要るのやら。
 とか勝手に考えていたら、腰掛けていたベッドから降り立ったリーナが、別に大した理由はない、と言った。

「ご飯は一人で食べるより、二人で食べた方が美味しい。私は私の素晴らしく美味しいディナーのために一護を待ってた。ただそれだけ」

 ……なんか、すっごいわかりやすい台詞が返ってきたな、オイ。
 まあ、含んだ意味はともあれ、待たせたことに変わりはねえか。そう思い、腰掛けていたソファーから立ち上がった俺は、リーナの方を向く。

「わりーな、待たせちまって」
「別にいい。私が勝手に待ってただけ」
「ああ、そうかよ」
「うん、そう」

 いつも通りの短い単語の会話。こういうトコは出会ったことから全く変わっちゃいない。でも中身の方は、ちょっとずつ変わってきてるような気はする。食べ物と強さにしか興味のなかったコイツが、別のことにも意識を向け始めた結果、ってヤツなんだろう。実際はどうなのかは本人しか知らねえだろうけど。

「今日はお肉が食べたい気分」
「んじゃあ、また三番街のステーキ屋かよ」
「そう。今回はお肉一キロに、れっつちゃれんじ」
「……お前そんなに肉だけ食ってると、その内に肉に飽きて肉嫌いになるんじゃねえか」
「そんなヘマはしない。大量のお肉を楽しくおいしく飽きずに食べるコツなんて、もう三年前にマスターしてる。抜かりはない」

 当然、とでも言いたげな表情を浮かべるリーナに感心半分呆れ半分の笑みを返しながら、俺たちは夕暮れの街へと飛び込むべく宿屋を後にした。
 
 

 
後書き
感想やご指摘等頂けますと、筆者が欣喜雀躍狂喜乱舞致します。
非ログインユーザー様も大歓迎です。

マツリ退場、そしてボス部屋出現回でした。
次回からボス攻略に向けて、プレイヤーたちが動き始めます。マツリの言う「でっかいオバケ」の正体とは、何なんでしょうか。 
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