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色気がない

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第四章

「娼婦の様な下着よ」
「そうした下着を着けるの」
「二十代のグラビアアイドルみたいな下着よ」
「最近グラビアアイドルも下着になるの」
「AKBだってなってるでしょ」
「そうなの、水着だけじゃなくて」
「アイドルはグラビアもお仕事でね」
 それも必須のだ、ステージやドラマ、バラエティと並ぶ。
「水着にもなればね」
「下着にもなるのね」
「露出は一緒だから、けれどね」
「その下着をなのね」
「思い切って娼婦みたいによ」
 それこそというのだ。
「淫靡なのを着けるのよ」
「透けてるとかティーバックとか?」
「そういうのもいいわよ、とにかくね」
「淫靡なのね」
「娼婦みたいなね。あとアクセサリーもいいわね」
「どんなアクセサリー?」
「ネックレスとかイヤリング、ブレスレットで飾るの」
 自分の身体をというのだ。
「夜にね」
「それで違うの」
「少しだけれど大きいのよ」
 その違いがとだ、友人は美紀に話した。
「首筋とかに何かがあると、あと指輪も絶対に付けるの」
「家事に邪魔だから家では外してるけれど」
「夜もなの」
「ええ、そのまま寝てるけれど」
「それも駄目、結婚指輪はね」
 左手の薬指に嵌めるそれはというのだ。
「人妻である証でしょ」
「人妻だから」
「人妻っていうだけで色気が増すのよ」
「相手は旦那よ」
「ご主人でもよ、自分の奥さん自分のものってわからせて」
 その指輪を見せることによってだ、さりげなくであっても。
「誘うのよ。あと脚もね」
「今度は脚ね」
「ガーターとかハイソックスで飾るの」
「娼婦ね、本当に」
「そうでしょ、要はね」
「淫靡なのね」
「勿論下着は上下同じ色同じ柄よ」
 色は統一して、だった。
「ガーターもね」
「白の下着の時は白のガーターね」
「黒だと黒よ」
「全部統一ね」
「あと普段着も変えると完璧ね」
「家にいるというかご主人の前だと」
 夫と一緒にいる時はというのだ。
「胸元や脚を見せるの、身体のラインもね」
「そうした服を着るのね」
「鎖骨とか背中とか見せてね」
 そうした場所もというのだ。
「ミニスカートとか半ズボンは特にいいわ」
「旦那に私の胸元とかミニスカートを見せるの」
「その脚をね。ここまでしたらね」
「夜もなのね」
「むしろご主人の方が押し倒してくるわよ」
「まさか」
「まさかじゃないわよ。あんた素材はいいから」
 元のそれがというのだ。
「絶対に上手くいくわ」
「だといいけれど」
「メイクして髪型変えて下着も整えてアクセサリーも忘れない」
「そして二人でいる時の服も変えたら」
「もう違うわ」
「夜もなのね」
「ええ、三人目出来るかもね」
 こうまで言う友人だった、美紀はその友人の言葉を実際に受けてだった。76
 全てを勉強してだ、ある夜に。
 家事を済ませて子供達を寝かせてからだ、風呂上がりの大助の前に晩酌のビールを持って出て来たが。
 その美紀の姿を見てだ、大助は驚いて言った。
「おいおい、どうしたんだい」
「どうしたって?」
「メイクして髪型変えて」
 派手めのあだっぽい化粧にだ、髪は下ろして櫛で整えてだ。 
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