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色気がない

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第三章

「あんたは元々顔立ちいいから」
「お化粧をしたら」
「相当によくなるから」
「だからなのね」
「メイクもして。髪型もね」
 友人はこのことについても話した。
「変えるのよ」
「今みたいなのは」
「絶対に駄目よ」
 友人ははっきりと答えた。
「色気も何もないわ」
「髪型もなのね」
「ちゃんと丁寧にシャンプーしてリンスして」
「リンスはしてるわ」
「あとコンディショナー、それもして」
 友人はこれも加えた。
「何といっても丁寧になのよ」
「適当じゃ駄目なのね」
「当たり前よ、入浴は烏の行水じゃなくて」
「私そうだけれど」
「子育てで?」
「いえ、何となく」
 子育てで忙しいから入浴が早いのではなく、とういうのだ。
「面倒だから」
「面倒って思うことがね」
「それ自体がなの」
「アウトよ」
 一言での返事だった。
「それは」
「やっぱり」
「あんた顔立ちだけじゃなくて」
 さらに言う友人だった。
「スタイルもいいから」
「そうなの」
「お腹出てないしお尻の形もいいから」
「胸は?」
「胸は普通だけれどそのスタイルはね」
 友人は美紀のスタイルにこうも言った。
「優木まおみさんみたいだから」
「あのタレントさんね」
「いいわよ、脚のラインも整ってるから」
「優木まおみさんね」
「だからあの人みたいにしたら?」
「優木まおみさんみたいに」
「グラビアみたいにって言ったら言い過ぎだけれど」
 それでもというのだ。
「色気は出せるわよ」
「そうなのね」
「そう、だからね」
「それでなのね」
「色気は出せるわ」
「工夫をすれば」
「絶対に出せるから」
 友人は美紀にさらに言った。
「服装もよ」
「じゃあメイクして髪型変えて」
「服も色気出すの。そういえばあんた下着は」
 友人は自分から言った。
「どんな感じなの?」
「どんな感じって」
「だから。どんな下着を着てるの?色とか」
「色って。適当に」
「適当?」
「バーゲンで安い下着買って」
「まずそれからね」
 友人は美紀の下着について呆れて返した。
「下着が駄目よ」
「駄目なの」
「駄目も駄目で」
 それこそ、という口調だった。
「色気はまず下着からなのよ」
「そうなの」
「そう、だからしっかりとね」
「いい下着を買わないと駄目なの」
「そして着けるの。色は白でも黒でもそそるデザインのものよ」
「そそる?」
「そう、そそるの」
 それこそという口調での言葉だった。
「自分が見てもね」
「具体的には」
「具体的にはね、言うわよ娼婦よ」
 そのものずばりという口調でだ、友人は答えた。 
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