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異世界に呼ばれたら、魔法が使えるようになりました。

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山を降りる事に

 そんなこんなで、新たな仲間であるエイダが追加されたわけだが。

「そういえば一緒に来るってことは、家に戻らないということになりますが、エイダはいいのかな」
「今は一人で旅行中だから問題無いわ」
「旅行で魔導書探しを?」
「ええ、そうよ」

 そんな答えを聞きながら僕は、女の子が一人旅……大丈夫かなと思いつつ歩いて行く。
 やがて出口までやってきて、そこでリリアが手を振っていた。

「やっほー、どうだった? わー、それは凄い。純度もいいし……ちょっと細工してそのまま“魔法結晶石”にしちゃえば? 貴重な“無色”だし」
「“無色”?」

 リリアにそう言われて僕はその“魔法結晶石”を見る。
 それは紫色の輝きを持っている。
 まるでレイアの瞳みたいに。

 そう思いつつ僕は、

「この石、“紫色”に見えるんですが」
「“紫”? 紫色……レイアやエイダはどう?」

 そこで目を瞬かせたリリアがレイアやエイダに聞く。
 なんでそんなことを聞くのかと僕は思う。
 どこからどう見てもこれは綺麗な紫色に見える。

 僕がそう思っているとエイダとレイアが、

「私には色がないように見える」
「私にもそうね」

 そんなふうに答えられてしまう。
 何で? だってこんなにはっきりした紫色に見えると僕が思っているとレイアが、

「もしかしたなら、異世界人にはそう見えるのかもしれません」
「そうなんだ? そんなことってあるのかな?」
「確か昔の文献で、異世界人の方は我々とは違うものが見えていたようだという記述があったきがします。それは魔力の大きさと魔力の感度によるものらしいのですが……」
「そうなんだ。食べ物も普通に食べて大丈夫だし異世界と言ってもそれほど大きな違いがないのかなと思ったけれど、そういう訳じゃなかったんだ」

 異世界に呼び出されたとはいえ、確かに魔法がすぐ使えるわけでもないあたりなどは、この世界の人と同じだが、やはり違いはあるらしい。
 でもこの無色が紫色に見えるのにはどんな意味があるんだろう?

「これが紫、紫……白色ならもう少しイメージは湧くけれど無職には見えないかな」

 リリアがそれを見ながらつぶやいているとそこでレイアをみて、

「レイアの瞳って何色に見えるかしら」
「紫色です」
「そっか、それは普通ね。魔力的なものがあるのかな」

 ぶつぶつとリリアがつぶやいている。
 そこで今度はエイダが近寄ってきて、

「異世界人?」
「そうです」

 そう答えるとじーっと僕を上から下まで見てから、頭や手や肩を触ってみて、

「どこからどう見ても同じ人間ね。もっと凄いかんじかと思ったけれど、それであれだけの魔力が……」

 なるほどとエイダが頷いている。
 それはそれで何となくこそばゆい感じが僕はしたのだけれど、そこでリリアが、

「とりあえずこんな所で立ち話も何だから、宿屋かカフェでも行きましょう。動いたらお腹が空いちゃったわ」
「確かにそうですね、甘いモノがほしいです」

 レイアもそんなことを言い出したので僕たちは、こうして山を降りたのだった。
 

 
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