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東方狂乱月

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二話 少女

 
前書き
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空に身を投げ出される。
抵抗出来ずに落下する。
感覚が気持ち悪く吐き気をこらえる。

「詰んだ」
思ったことを口に出して改めて状況を振り返る。
神に転生させてもらった時に会得した能力があるはずだと、狂夜は『重力』の操作を念じた。

狂夜の身体が浮き、ゆっくりと落下していく。
感じたことの無い感覚、無重力

空から世界の1部が見える、森が多い。
狂夜が目を凝らして森を見ると
森に一人の少女と三匹の異形の者がいた。
少女が異形の者に追いかけられてるようだ。

見ていて異様だった。
3mはありそうなカマキリ、鎌がチェーンソーのように唸っている。
黒に若干白の斑点がある同じく巨大なクマ
牙を剥き出し長い胴体をくねらせて追いかけるムカデ
それらが金髪の小柄な少女を追いかけて走っている

狂夜は能力を試すと称し助けることにしたようだ

重力能力を消し、脚に力を込めて空を蹴った。

身体が前方にふっ飛ぶ
その速度はもはや音速超えている。

空中で身を翻し、巨大なクマに蹴りを入れる。
音速で繰り出される蹴りにクマの身体は後方に勢いよく飛ぶ

少女は狂夜を見て唖然と止まっていた。
「速く逃げろ」狂夜は少女に背中を向けながら言った

少女は少し動揺し、「は、はい」と答え、走っりさった。

少女が逃げたのを確認し、視線を化け物達に向けると先程吹き飛んだクマが起き上がっていたのが見えた
「タフだな…」

狂夜は自分でも知りもしない言葉を喉から、発声する。
すると、狂夜の目の前に巨大な炎の球体が現れた。
「いけ」
炎の球体はカマキリを捉え、燃やし尽くすと同時に消滅した。

狂夜を敵と見なしたのかクマが凄い速さで突撃した。
狂夜は手を前に出してまた念じる。
瞬間、クマの身体がいきなり空中から地面へと落とされた。

狂夜は徐々に前に出した手に力を込める。
「10倍…」
地面に沈んでいく

「20倍…」
メキメキと骨の軋む音がなる。

「30倍…」
嫌な音と共に腕や腹から黒い液体が少しづつ溢れた。

狂夜は手を閉じ言った。
「40倍」
クマは黒い液体を体からぐちゃっと漏らし、つぶれて死んだ。

ムカデは既に動いていない、狂夜に恐怖したようだ。
狂夜は焼け死んだカマキリを横目で見て、自分の右腕を改造能力で鳴動し、動く刃物にした。
ムカデは虫特有の高い悲鳴と共に狂夜に背を向けて逃げた。

狂夜は背を向けたムカデの胴体を斬り、殺した。
ムカデは斬られたあとも頭が動き逃げようとしたが、ようやく斬られた事に気がついたようでやがて絶命した。
ふと地面を見ると先程の少女の忘れ物だろうか、物を入れる袋のようなものがあった。

狂夜が届けるか否や困っていると先程走り去った少女が前方からUターンして走り、戻ってきたのを肉眼で確認した

少女は狂夜の前で止まり「お怪我はありませんか!?」と鼓膜が破れるほどの大音響で心配し、
狂夜は「あぁ、大丈夫だよ」と平坦な声で言った

「それなら…よかったです」
少女は安堵したようで視線を自分より格段に背の高い狂夜から自分の身長ほどまで下げるが狂夜の左腕を見て顔を青ざめさせた

「左腕…なくなってる」
少女は自分のせいで怪我させてしまったと思っているのか
「ごめんなさい!!」
とまたも大きな声で叫ぶように謝る

狂夜は自分の腰あたりしかない少女の頭に右手をポンとおき、優しく語りかける
「これは君のせいじゃない。この怪我は今受け負ったモノじゃないよ。」

少女はまだ左腕を見て動揺しているようだがなんとか笑って言った。
「良かった」

狂夜は妹を思い出し、その少女を撫でる。
少女は「わ、わっ、なんですか?」と動揺するがまんざらでもないようだ。

「そう言えば自己紹介がまだでした!私は八雲紫(やくもゆかり)って言います!!」
元気よく大きな声の自己紹介、狂夜は自然と笑みをこぼした。

狂夜は紫の身長まで腰を落とし、目を合わせて自分を語る。
「君はおもしろいね、紫ちゃん。俺は新月狂夜(しんげつきょうや)この世界にはさっき初めて来たばかりだ。」

紫はそれを聞いてニコッとした。
「じゃあ狂夜さん!とりあえずこの世界について様々な文献がある場所へ一緒に行きましょう」

「あ、いや、紫ちゃん俺は…」

「先程の恩返しです!やらせてください!」
狂夜は呆然と言った顔から笑顔になり腰をあげて言った。

「わかった…じゃあ案内お願いな」

「はいっ!!」 
 

 
後書き
今の霊夢達がいる幻想郷の1000年前の話です。 
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