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3部分:第三章


第三章

「アメリカで戦います、野茂さんみたいに」
「それかい、そうするんだね」
「それでなのかい」
「そこで野球を」
「そうしますから」
 こう言ってだ。彼はプロ野球も大学も経ずしてだ。そのまま大リーグを目指すのだった。既に彼のことはアメリカでも知られていた。
 そしてだ。三年の夏、優勝した後でだった。
 彼にだ。スカウトが来て日本語で話すのだった。
「我がチームに来てくれるね」
「アメリカにですね」
「最初は3Aだけれど」
 それでもだというのだ。
「アメリカに。来るかい?」
「はい」
 笑顔で頷く彼だった。
「そうさせてもらいます。そして」
「そして?」
「俺、やりますから」
 強い声での言葉だった。
「絶対に大リーグにあがります」
「ほほお、自信は?」
「ないから最初から話を受けません」
 そうだとだ。やはり強い声で言うのだった。
「絶対にやりますから」
「頼もしいな。どうやら君は」
「俺は?」
「このままいくと超えるかもな」
 スカウトは楽しげに笑ってだ。こう彼に話した。
「あの彼をな」
「野茂さんですか」
「そうだ、超えるかもな」
 こう彼に言うのであった。そしてだ。 
 大次郎はアメリカに渡った。彼にとって3Aなぞ何でもなかった。
 すぐに昇格し一年目からメジャーで活躍した高卒でいきなりメジャーということにアメリカだけでなく祖国も騒然となった。これはだ。
「野茂だってな」
「ああ、高卒でいきなりなんてな」
「そんなのなかったのにな」
「凄いな、こりゃ」
「ああ、凄いなんてものじゃないぞ」
「怪物だ」
 この言葉が彼にかけられた。
 
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