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ドリトル先生の水族館

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第十幕その五

「そのことは覚えておいてね」
「うん、それじゃあね」
「虫はそうしたものなんだ」
「身体が三つで足は六本」
「このことが大きな特徴だね」
「そうだよ」
 その通りだとです、また答えた先生でしたあ。
「虫はそこに特徴があるんだ」
「そのことを覚えていて」
「そうしてだね」
「虫と名前のつく生きものは見るべき」
「そうすればわかるのね」
「そうだよ、では皆を観ていこうね」
 深海生物の皆をです、こうお話してでした。
 深海生物の診察をしていきます、その中で。
 皆はあらためてです、こう言いました。
「ううん、やっぱりね」
「お話は聞いてたけれどね」
「皆ね」
「独特の姿だね」
「まあね」
 頭のところに二本の角が生えている蛸が水槽の中から皆に言ってきました。
「僕達はそれぞれ深海で進化したからね」
「そうだよね」
「そう言う君もね」
「角が生えてるしね」
「頭にね」
「僕はツノモチダコっていうんだ」
 蛸さんは自分の名前も名乗りました。
「深い海にいる蛸だよ」
「うん、ただね」
「何かここにいる皆は少し位でね」
「凄い形をしたお魚とかはね」
「まだいないね」
「飼育出来ないからだよ」 
 先生がここで皆にお話しました。
「あまり深いところのお魚はね」
「独特の形をした」
「あの大きなお口を持った鰻とか?」
「フクロウナギだったかな」
「ああしたお魚は」
「水圧も再現出来ないしね」
 深海のそれをです、水槽の中において。
「あと水族館まで連れて来るのも大変だし」
「深海からね」
「そうしたことも大変だから」
「それでなんだ」
「あまり深いところにいるお魚はなんだ」
「連れて来られないんだ」
「深海と一口に言ってもね」
 それでもというのです。
「実は色々なんだ」
「そう、僕達は深海といってもね」 
 ツノモチダコさんもお話します。
「比較的浅い場所にいるんだ」
「だから水族館でもだね」
「いられるんだね」
「君達みたいに」
「そうだよ、アンコウさんのご夫婦にしてもね」
 こう動物の皆にです、ツノモチダコさんは八本の足のうちの一本を人の腕みたいに動かしつつお話するのでした。水槽の中でくつろぎながらも。
「まだ浅いんだよ」
「五百とかね」
「千位だったかしら」
「そこから先はなんだ」
「いないんだ」
「大体千位でもう凄いよ」
 その深さが、というのです。
「だからね」
「君達もなんだね」
「そこから先はなんだ」
「いないんだ」
「そうだよ、千位になると形も凄くなって」
 そして、というのです。 
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