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ソードアート・オンライン 『アブソリュート クイーン編』

作者:KJ!
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第1章-リンクスタート-
  第2話『真実』

ー配信サービスすら終わっているSAOを起動して、本当にアインクラッドが待っているんだろうか…ー

キリトは不安ながらも一足先にアミュスフィアの準備を始める。
SAOのデータ自体は全て消去されてしまっているが、またあの世界に戻るならばと、ナーヴギア独自の情報回線をアミュスフィアに取り込む作業を慌てて行っていた。
当然、アスナの分も準備済みだ。

「これから先は何が起こるかは、分からない。でも何があっても俺たちは一緒だ。」

キリトのその一言に安心したアスナがアミュスフィアを装着する。



2027年11月7日17:00

「「リンクスタート!」」


二人の声が部屋に響き渡ると共に、キリトは自分の意識が遠のいていくのを感じた。


キリトが目を開けると、始まりの街の景色は広がっておらず、ただ真っ白い景色が一面に広がっていた。


「久しいね。キリト君。アスナ君。」


懐かしいその声に振り返ると、そこにはアスナの姿とあの血盟騎士団の団長ヒースクリフの姿があった。


「ヒースクリフ?…これはどういうことだ?」


第一層《はじまりの街》にログインされると思っていたキリトは思わず質問する。


「キリト君、君はナーヴギア情報回線を使ったね。そこはエコーとなった私の存在が眠る場所だ。」


SAOクリア時に茅場昭彦は自身のナーヴギアに強力な磁場を脳にかけることで、自らの意識を情報回線に移していたのだ。


「ちゃんと話せる元SAOプレイヤーを待っていたのだよ。それが君たちでよかった…キリト君、アスナ君。」

「団長。一体何が起こったんですか?」


アスナの質問に待ってましたというばかりのヒースクリフが冷静に話し出す。


「実は、SAO…つまり私が完成させたソードアートオンラインは君たち二人の手でクリアされることとなった。第75層で…。」

ヒースクリフのその言葉に勘のいいキリトは気づいたことを口にする。


「その75層までのデータは消去されたが、そこから先のデータが何らかの暴走を起こした…?」

「さすがはキリト君だ。だが、暴走というよりは成長だね。残った階層の膨大なデータが新しいカーディナルシステムを完成させた。常に学び、プレイヤーを脅かす圧倒的なプログラムだ。」

思いもよらない回答にアスナは、はっと息を呑む。

ーもしも、ただデータが知能をもっただけならば俺たちを巻き込む必要がない。ただ消去すればいいだけだ…。一体何を考えているんだ……。ー

ふとそう考えたキリトはヒースクリフに対し声を荒げる。


「それだけなら、俺たち元SAOプレイヤーを呼び戻す必要がないはずだ。本当の真意を話してもらおうか。」


観念した顔でヒースクリフが思わぬことを口ずさむ。

「メンタルヘルスカウンセリングプログラム試作1号。コードネーム『ユイ』。これは君たちにとってはとても大切なものではないかと思ってね。」

ユイの話がでてきたことで、アスナの目には涙が溢れる。


「ユイちゃんの!ユイちゃんの居場所を知ってるんですか?!」


少し取り乱すアスナをギュッと抱き寄せるキリトを見据え、ヒースクリフが答える。


「試作1号は進化したカーディナルによって創り出されたアインクラッドの中にいる。カーディナルの本当の狙いこそがこの試作1号なのだ。試作1号のコア・データプログラムを取り込むことで本当の意味で完成されたプログラムとなってしまう。高すぎる知能が故に、《ザ・シード》で繋がった全てのバーチャル世界に多大なる影響をもたらすだろう。」

キリトはこの時初めて、茅場昭彦がどれほどまでこの失態に悔しさを感じているかを知った。


「ヒースクリフ…ユイの話が出た段階で、俺たちの答えは最初から決まっている。」

キリトのその答えに目を輝かせ、ヒースクリフが話を続ける。


「キリト君、アスナ君。君たちに正式にお願いをしたい。試作1号をカーディナルから守り、そして今度こそアインクラッドを制覇した上でゲームクリアし、カーディナルを完全に消去して欲しい。」


その言葉に、キリトとアスナは大きく頷く。


「頼んだ…元SAO最強の攻略組夫婦プレイヤー。」


……そうして、二人の意識はまた遠のいていった。


ー絶対にユイを救ってみせる。俺たち二人の手で。ー


キリトはそう、固く決意したのであった。


第3話に続く
 
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