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逆襲のアムロ

作者:norakuro2015
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5話 ジオンの決断 ~ ルナツー侵攻 9.24

 
前書き
ちょっと展開が早いです。あまりにガンダムって登場人物に幅がなくて苦心しますね。 

 
宇宙要塞ソロモン 大会議室 9.24 23:00 



シャアはドズル中将麾下の艦隊と合流し、ソロモンへ帰投していた。
その後戦闘詳報とドズルに報告すると、ドズルは本国へ連絡を入れた。
その場で中継で御前会議が行われ、その後ソロモン方面軍の各隊指揮官を集め会議を招集した。



会議補佐役はドズルの副官のラコック大佐だった。



「我々の情報とこちらのシャア少佐の情報を持ち合わせてみても、連邦はMS量産化を始めることは明白。我々は国力では連邦の5%にも満たない。そのうえ時間をかけて待つことはジリ貧になることが必至です」



シャアとは違うもう一つの特務部隊の部隊長ランバ・ラル大尉が会議冒頭より今置かれているジオンの危機的状況を示唆した。各将官たちは唸った。ドズルがその中深刻そうに口を開いた。



「我々ジオンの、優位性を活かすことは今この時しかないかもしれん。宇宙での勢力圏はほぼ5割がたわが軍で占めている。連邦の宇宙での反攻拠点の主力はルナツーだ。そこを落とせばすべてのサイドがジオンの支持に回るかもしれん」



将官すべてが頷く。その中でコンスコン少将が挙手をして発言した。


「司令。ルナツーにはまだ連邦の艦隊が健在です。ソロモンの全兵力を投入しても勝てないと思う。モビルスーツも遠距離の敵には無力だ。その辺如何に」



「提督。その言、最もだ。生憎、連邦の地上から宇宙への支援は無きに等しい。姉貴の情報部によれば、あのV作戦の成果である量産化は約1か月かかると聞く。それまでにケリをつける」



ドズルは一呼吸おいて、ラコックに話を振ると大型のモニターに作戦内容を表示した。



「3路(ジオンの行軍進路)から包囲しながらルナツーへ進軍します。ソロモン、ア・バオア・クー、グラナダ。ほぼ全軍を用いて。9.30に出立し、10.10には作戦宙域到着。調査済みの艦艇戦力ならばこれで同数になるはずです」



モニターに地球、月、各要塞、各宙域と各サイドが表示され、そこよりマークが出てルナツーへの進軍航路が示されていた。コンスコンが全軍と聞き当然の疑問を呈した。



「全軍とは。防衛はどうするのだ」


その質問にドズルが答えた。



「聞いていなかったか?ほぼ全軍だ。少しは残す。対策済みの案件でもある」


するとラコックが代わりに答弁をした。


「出立前にも各哨戒部隊へ掃討作戦を実施します。ルナツーへの3路の進路クリアと地球からの通路封鎖を徹底的にします。今の我が軍ならではの取れる行動です。モビルースーツは接近戦には強いので、その優位を活かす。9.30に出陣後もその掃討作戦は実行しながら進軍をします。そのため少々進軍速度が遅くなりますが、安全面につきましては保障されます」


フム、とコンスコンは相槌を打つ。ラコックは話を続けた。


「行軍速度の一定もルナツーからの連邦の各個撃破対策にもなります。彼らには巣穴のモグラになっていただきます。仮に出てきてもどの艦隊へ進軍されようとも、対峙した我が艦隊は後退し残りの艦隊が後背を突き仕留めます。彼らが分散の愚を冒せば、我々のモビルスーツの優位性を持ってして我々も分散し殲滅するのみです。勿論、無事ルナツーへ全艦隊が到着すれば我々の接近戦の優位性を持ってルナツーを撃滅できます」


「しかし遠距離からの攻撃には我々が無力だ。艦艇戦力は全軍合してもまだ連邦に劣る。その対策はどうするのです?」

ドズルがその疑問に答えた。


「それは兄貴が目途をつけたそうだ。かの大型空母が就航し、テスト兼ねて今回の一戦に参加するそうだ」


室内の将官たちがどよめいた。確かにその空母の就航が事実ならば並の戦艦の主砲などもろともしなく、その空母を前面に出しルナツーへ接近すればモビルスーツを活かした接近戦に持ち込める。
懸念をすべて取り払いたくコンスコンが詰め寄った。



「そのテスト万が一うまくいなかった場合はいががしますか?」

「その時は・・・我が艦隊が突撃し屠るのみ。この1か月で勝負が決まるのだ。我々は人類史上類も見ないコロニー落としをやってのけた。今更怖気づく必要もない。大義の下で我々は動いているのだ。今後の人類のために。やるかやられるかだ」

会議室に緊張が走った。そしてドズルは頼む皆の命を預けれてくれと将官らを前にして頭を下げた。
将官らはジオンに所属し、コロニー落としを含め既にジオンに属さないものを50億人程被害に遭わせていた。彼らに今更の謝罪をすることなどもはや不可能であった。それならば、その者たちへ恥じない新たな良き世をジオンで創り上げることしか償うしかないと。議場の将官たちは皆同じ考えだった。赤い彗星を除いて。



*  ジオン軍 ソロモン方面軍 ドズル艦隊 麾下 ムサイ(ドレン艦) 9.29


シャアは10余りの遭遇戦、掃討戦をこなしていた。
地球上空のジャブローからの支援やルナツーからの迎撃を撃退し、乗機のリック・ドムも微調整や
改良を重ね、手足のように動かせるようになっていた。

ガンダムとの闘いにより彼は自分への慢心を捨て、ノーマルスーツを着用し任務に就いていた。


「ふう、これでこの宙域の掃討も済んだかな。こちらの宙域への連邦の動きがさっぱりした」

シャアはリック・ドム内でそう呟いた。すると通信でドレンから連絡が入った。

「少佐。そろそろドズル司令と合流するためのポイントへ向かわなければなりません」

「了解した。周囲を警戒しつつ帰投する」

シャアは通信を切ると眼下の地球を眺めリラックスしていた。

「私は非力だな。仇も取れず、その仇を上司としてもつこのジレンマ。まあジオンの土地で暮らしていたからこの手の職種には選びようがないが、果たしてジオンが勝ってどう変わるのかな」

元々、ダイクンの子として幾度も命を狙われては名を変えて生き延びてきたシャアにとっては身の安全とできるならば復讐を求め、ジオン軍へ参加、敵の懐に飛び込んだに過ぎない。それ以外のことに考えがまだ及ぶことができなかった。

シャアも年頃になってから自分の親に興味を抱き調べたことがあった。ジオン・ダイクンはスペースノイドの代表格のようなものだった。地球圏の人々にないがしろにされていたコロニーの人々への評価を求めた。暗殺されたことは置いておき、ジオン・ダイクンの革新は戦争を通じてシャアにこのようにたまに考えさせることがあった。

「歴史的にいっても、今のジオンの流れはやむ得ないだろう。抑圧された群衆は民主政治の中では反発を招くものだ。地球に残った特権階級を皆地球から上げなければ、若しくは宇宙の評価を上げなければどうにもならんな。しかし今は私が考えることではないか」

シャアは政治的な出番ではない今は連邦を叩くということに集中することで考えの一端が解消されると考えていた。

ジオンの思想はスペースノイドの独立に他ならない。例え独裁であろうと。連邦にはこの戦争は良いお灸になると安直に考えるしか他なかった。ドズルにも命を預ける気も毛頭ない。しかし、逆らうことはできない。それほど今のシャアは非力だった。




* ルナツー宙域 ルナツー方面軍艦隊司令部 マゼラン級 旗艦 10.10 0:10 



ルナツー方面軍司令官のワッケインは押し寄せるジオンの陣容に遠距離からの守勢を試みるため、鶴翼の陣容で艦艇を配置していた。オブザーバー参加としてコーウェン将軍も乗艦していた。

「なんたる覚悟と陣容だ」

コーウェンは唸った。艦艇数はジオンより多いが接近戦に持ち込まれるとモビルスーツには勝てない。ルウムのように悲劇が待ち構えている。

「ご安心を将軍。この宙域より敵を撃退し、この戦争に楔を打ち込んで御覧に入れます。各艦艇、射程距離を保ちつつ第1種戦闘態勢!」

一方のジオン軍は3方向より艦隊をルナツーの連邦の艦隊に等距離で詰めていた。
左翼にドズル艦隊、右翼にキシリア艦隊、そして中央にギレン艦隊とその旗艦巨大宇宙空母ドロスが前面に出ていた。

* ギレン艦隊 ドロス 艦橋 

司令官席に鎮座するギレン・ザビがドロスを前面に押し出すように指示をしていた。
通常仕様が側面艦砲を前面に移すように改良済みであった。

「このドロスの対艦火力を連邦艦隊の中央にぶつける。割れた両翼を我が両翼により悉く殲滅するのだ」

非常にゆったりとしながらも宇宙の巨大な要塞がじりじりとワッケインの艦隊に真っすぐ接近していた。

ワッケインはそれを見て、敵両翼の動きも牽制しなければならないため中央部の艦艇のみで目の前の巨大な艦艇に向けて集中砲火を浴びせた。ドロスも同じく主砲を敵中央の艦艇に打ちこんだ。

ドロスの船体が攻撃の衝撃により揺らぎに揺らいだ。ギレンを含む艦橋の船員が必死に揺れに堪えていた。ギレンはその環境で笑った。

「フフフ。いいぞ、連邦よ。このデカい的だけ狙えばよい。このドロス並大抵のことでは沈まんよ。オペレーター状況を知らせい!」

「はっ、後30分で作戦開始宙域に到達します。攻撃開始より10分損害状況10%。航行支障なし」

「10分で10%か。連邦よ。もう少し頑張らないと後がないぞ」

開戦より5分経過で損害がジオンのドロスの小破と連邦の艦艇5隻の大破という状況であった。
ワッケインはこの状況を見て、艦隊を全体的に後方へ下げようとしたがその動きに連動した。

ドズル、キシリアの両翼が大きく迂回の進路を取りワッケイン艦隊の後方へ回り込む動きを見せていた。ワッケインは敗北を意識した。

「将軍。敵の巨大空母にまんまと乗せられ、我々はどうやら決死で挑まねばならなくなったようです」

「そうか、ワッケイン司令がそういうなら私も覚悟を決めよう。目の前の敵を潰すのだな」

「はい。それしか我々に勝機がありません。正面に両翼の火力を用いて短期で殲滅し、その後残敵を掃討します。距離を詰められてはいくら奴らが艦艇少数でもモビルスーツで負けます」

ワッケインは両翼に指示を出し、全力を持ってドロスへ集中砲火をした。ドロスの艦橋が更に激しい衝撃を受けた。ギレンは耐え切れず席より降りて床に這いつくばった。


「オペレーター!状況報告!」

「はいっ!損傷率50%に膨れ上がりました。航行機能も70%に低下!作戦開始時間が15分から25分に変化!」

「よし!引き続きドロスでの特攻を。並び全乗員に退避命令。そして全モビルスーツに15分後出撃命令を」

「はっ」

「私もヤキが回ったものよ。ドロスでこんな作戦などとは。しかし連邦のV作戦の状況からしてこのドロスを捨てても惜しくはない」


そう言ってギレンも脱出ボートへ向かい始めた。
ギレンが脱出艇の乗り込み後方のクワジンへ退いた10分後ドロスは連邦の集中砲火に耐え切れず機関が停止した。ドロスを失ったギレン艦隊はワッケイン艦隊より五分の1にも満たない戦力であった。
ワッケインは好機と見てギレン艦隊へ突撃をかけた。


「よし!前面の敵は寡兵である。全艦全速前進!」

ワッケインは勝機をみた。前面のギレン艦隊を殲滅した後に残りのドズル、キシリアを殲滅する。戦力としては申し分がなかった。しかし、ワッケイン艦隊が機関停止したドロスを横切ろうとしたとき、ドロスが爆発した。その威力が桁違いだった。

「なんと。バカなぁ~・・・」

その閃光はワッケイン艦隊の主力を飲み込みワッケイン、コーウェン将軍共々宇宙の藻屑と消えた。
南極条約に違反の核が搭載されていた。ギレンは兵器として打ち込んだ訳でないドロスの核融合炉の臨界で核並の威力の轟沈を見せたと戦闘詳報に記載し後日世間に説明をしていた。

それでも尚残存艦艇数がジオンを上回っていた。しかし、司令部の喪失が連邦の艦艇のほとんどを遊軍と化した。

効率的な攻撃がギレン艦隊にできることもなく、後方のドズル・キシリア艦隊にモビルスーツ戦を仕掛けられ、戦闘より5時間後ルナツー方面軍の連邦残存艦隊が戦闘継続困難と考え散開退却し敗北した。


 
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