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ドリトル先生の水族館

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第七幕その十一

「先生だからね」
「先生はそうしたところは僕に任せて」
「そしてね」
「学問に励んで」
「そうしたところにね」
「完璧に近付けても完璧にはなれない」
 先生はこうも言いました。
「そして完璧な人はいなくて誰でも得手不得手がある」
「人間ならね」
「というかどんな生きものでもだよね」
「努力は必要だけれど」
「どうしても苦手なことってあるよね」
「万能の生きものなんていないわよね」
「そうだね、それじゃあね」
 ここでまた言った先生でした。
「僕はそうしたことは皆に任せるべきかな」
「うん、そうしてね」
「誰でも一人、一匹、一羽じゃ生きられないから」
「家族じゃない、僕達」
「それならね」
「皆で助け合って生きていこう」
「僕は皆に助けられてばかりだけれどね」
 先生はこのことは少し苦笑いになって言いました。何しろ先生は家事のことにはとても疎い人だからです。
「それでもいいかな」
「いいのいいの」
「先生にはこれでも色々と助けてもらってるから」
「だからね」
「それでいいんだよ」
「ならいいけれどね、じゃあ今日の診察を終えたらね」
 先生は皆の暖かい言葉も受けてからまた言いました。
「お家に帰ってね」
「そうしてね」
「また美味しいもの食べましょう」
「皆でね」
「そうしよう、皆でね」
 実際にと言ってです、そして。
 先生はさらに診察を続けました。そこで。
 ヌートリアさんの診察をしてです、そのヌートリアさんに言われました。
「いや、とにかく食べるものが美味しくて」
「それでだね」
「太らないか心配なんだ、僕」
 笑って先生に言うのでした。
「ダイエットにも気を使ってるよ」
「よく動いて泳いでだね」
「そうなんだ」
 見ればヌートリアさんのコーナーはペンギンさん達のところみたいにプールがあります、他のヌートリアさん達がそこで泳いでいます。
「毎日そうしてるよ」
「それはいいことだね」
 先生もヌートリアさんの言葉に笑顔で応えます。
「よく食べてよく運動する」
「そのことがだね」
「健康の秘訣だよ」
「いや、太るとね」
「健康によくないね」
「いや、それ以上にね」
「それ以上にって?」
「女の子にもてないからね」
 太っていると、というのです。
「だから僕は気をつけてるんだ」
「それでなんだ」
「そうだよ、スマートでこそね」
 それでこそというのです。 
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