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フランの狂気になりました

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第二話

 
前書き
二話です。
よろしくお願いします。 

 
「所で………何者ってどゆこと?」

一応聞いて見るが、十中八九俺の存在だろう。
多分俺はフランの中の別人格として存在しているのだろう。今目の前に本物のフランがいる事がその証拠だ、それと此処はフランの精神世界的な場所なんじゃないか?
だから俺達は今こうやって対面している………。

と、勝手に妄想して見たり…………。
いや、本当に俺は精神生命体的何かになっててフランとフランの身体を共有してんじゃね?と、俺は思っとる。
ん?この場合共有よりも寄生の方が正しいのか?

「そんなの………あなたが一番よく分かってるんじゃない?」

そう言って俺を見つめるフラン。
ちょっ、見んなよ。照れんだろ。

「………何で顔を赤らめて視線を逸らすのかしら?」

こめかみに怒りマークが見えるんじゃないか?それくらいイライラ全開のフランはまた、何処からか棒を出すと、視線で「いい加減にしろよ?」的なオーラを出していた。

「悪い悪い。で、話しの質問の答えだが………まず、前置きから言うと俺は気付いたらこうなってた」

「…………は?」

アホみたいな声を出すフラン。
いや、仕方が無いだろ?マジでそうなんだから。「小学校や中学校に何で入学したの?」なんて聞かれて「義務教育だから」以外に何て言えばいい?例えあったとしても俺は知らん。異論は認めん。

「残念だがこれは本当だ」

「…………そ」

何だ、割とあっさりしてんな。

「で、俺が何者なのかって言うと……元人間、元男、お前今いくつ?」

「なっ!?どういう事?てか何で私の歳聞いてんのよ!?」

「良いから良いから、な?」

「何なのよ…………えっと……百歳位ね」

「未来から来たってのも追加」

「…………………はぁっ!!?未来!?」

「そう、未来」

「!………そんな諭す様に言わなくても……いや、いいわ。はぁ……本当私の狂気が“こんなの”になるなんて………」

む、俺をこんなの呼ばわりかよ。いや、それよりも狂気を自覚してる………?
それに、何だか大人びてるよな。俺のフランのイメージだと、もっと子供っぽいんだけどなぁ………。

「と・こ・ろ・で・さ・ぁ?」

突然フランが猫なで声を出して、目の前の鉄格子を掴んで顔をギリギリまで近づけてきた。

「未来ってどんな感じなの?教えて!!」

…………宣言撤回、やっぱり子供だな。
でも、まぁ………未来から来たなんて俺だって興奮する。
それにまぁ、特に言い渋る様な事でも無いしある程度口止めしとけば大丈夫だろう。

俺は“未来”と言うか俺にしてみれば現代の事を思いつく限り言って聞かせた、何かを話す度にフランの目は無邪気な目をしており、まるで俺の心が浄化されるようだ…………。

なんか突然フランの性格が変わったんだがなんなんだろうね。


――――――――――――――――――――――――――――


「所でさぁ………」

「ん??なんぞ?」

フランが何かを思い出した様に言った。
俺は気の抜けた声をで返事をして、顔をフランに向ける。フランは俺を頬を膨らませながらジト目で見ていて、見るからに不機嫌だった。

「どーした?そんな顔して?」

「私知らない。」

「ん?何を?」

「名前。だって貴方は『他人に名前を尋ねるときはまず自分から』なんて言って、私まだ貴方の名前知らないよ?」

あー………そういやそんな事言ったなー。
あの時は、その場の勢いで言ったけどあの場で常識も糞も無かったかな?
まぁなんにせよ相手が名乗ってんのに俺が名乗らない訳にも行かないしな。

「そうだな、悪かった。俺の名前は佐良 月華だよ」

ついでに学生時代俺は外見以外が女子みたいだってよく言われた。
得意な事は裁縫、料理とかだった。家庭科の成績はいつも良かったな。

「さはら……げっか?」

「ああ。こっち風に言うとゲッカ・サハラってとこか」

「ふーん。取り敢えず改めて宜しく、月華!私の事はフランって呼んでね?」

「あぁ、改めて宜しくな」

そう言って二人で笑い合う。
暫く笑った後、フランが「そうだ!」と言うと、俺に向き直る。

「月華から“未来”の事沢山聞いたし、今度は私の家族の事教えて上げる!」

フランはそう言うと、彼女の家族について語り出した。



──────────────────────



私の家族は、お父さま、お母様さま、それとお姉さま。
それに私を入れた計4人家族。
あ、あとメイドが居るの。めーりんって言ってね、私が産まれた時にはもう家でメイドをやってたのよ?

お父さまはね?凄く怖いの。何でもスカーレット家の当主だから、自分が頑張る!って、少しは休んだ方が良いと思うんだけどね?前に言った時は、大丈夫ってそれしか言ってくれなかった。
そんな頑固なのが私のお父さま。

お母さまは私と同じ羽なの!言っとくけど月華の背中にも今同じ羽はえてるからね?
そうそう、お母さまは髪が長いの。うーん………大体今の月華位ね。
あれ?何だか月華、お母さまに似てる!
今の月華をお母さまに会わせてみたいなー。

で、お姉さまは………ドジっ子……かな?
何時も「私はフランのお姉ちゃんだから!」なんて言って張り切ると大抵失敗するの。可笑しいでしょ?
それで、最後にはお母さまに泣きつくの。一度何も無い廊下で転んでたりもしてた。

あ、めーりんはね?お庭にお花畑を作ってるの。
他にも薬草も一緒に育ててるんだって。お母さまは育てるのが凄く難しいお花や薬草を育ててるって言ってたんだよー?凄いよね!!



──────────────────────



フランはとても子供らしい笑顔で言い切った。
あんな部屋に居たことを今の彼女に聞くのは野暮というものだろう。

「そういや俺とフランのお母さまってそんなに似てるのか?」

聞いてみた。
フランに髪の長さが「今の月華位」と言った辺りで自分を見下ろした。
確かに髪の毛が長くなっていた。大体肘より少し上位かな?てか、何でこんなに伸びてんのに気付かなかったなんて…………。

俺ってまさか鈍感?




──────────────────────






「だぁぁぁぁぁぁ?。やっぱダメぇ?………」

真っ赤な目に悪い部屋。そこで俺は仰向けでベッド転がりだれていた。
俺はフランになったんだ、て事は俺にも程度の能力が使える筈なんだが……………。

ずっと「ギュッとしてドカーン」なんて言い続けても一行に出来る気がしない。
やっぱりまず能力を確認する事から始めた方がいいのだろうか?
もっと勢いで出来る物だと思ってただけに俺の考えの浅はかさが伺える。

天井に右腕を伸ばして、右手を握る。
が、やはり何も起きなかった。
今の俺には、能力を使えないのだろうか?だとすると残念だな。

『─────い。おーい、月華?聞こえるー?』

能力が使えなくてテンション駄々下がりだった所に、フランから呼びかけが来た。
俺がフランとまだ会って無かった時に意識が堕ちる寸前フランの声が聞こえたが、どうやらあれと同じ原理らしい。ま、俺は詳しく知らないがな。

『おう、聞こえる聞こえる』

『うん、大丈夫だね。所で………今の何?』

『……………な、何って?』

『えーと?何だっけ?〈ギュッとしてドカーン〉?え?どうしたの?何かに目覚めちゃった?ねぇ、ねぇ?ねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇ?』

やめろぉぉぉぉぉぉ!!やめてくれぇぇぇぇぇぇぇ!!?俺のライフはとっくに0よ!
今のフランはまだ『ギュッとしてドカーン』を使わないみたいだ。こんなにも俺を煽って来てんだ、間違いない!
俺は壁や天井に向かって何度も「ギュッとしてドカーン」と右手を握りながら言い続けてたんだ、まだ『ギュッとしてドカーン』を使ってないフランからしたら、俺はさぞおかしい奴に見えただろう。

『くっ………くふっ』

うるせえ!笑うな!将来お前も使う(かもしれない)セリフなんだぞ!!
だから笑うな!笑わないで。笑わないで下さいお願いします。

『ふ………ふふっ……。で、な、何なの?その〈ギュッとしてドカーン〉って。ねぇ?何がしたかったの?隠さないで教えてよ??』

うがぁぁぁぁぁ!!?もうやめてぇぇぇぇぇぇぇ!!
今の俺は顔をとんでもなく真っ赤にさせているだろう。それを自覚出来る程顔が熱くなっている。

あ、あ、ああああああああああああああ!!

「ああああああああああああああ!!」

『え?ちょ!?大丈夫!?月華!!?』



──────────────────────



………あれ?
どうしたんだ、俺?確か…………あれ?思い出せない…………?
てか此処、精神世界じゃね?
すると、目の前にフランが居る事に気付いた。だが、フランは体育座りをして、顔を埋めていた。

「………………おーい、フラン?どした?何が有ったんだ?」

呼び掛けると数瞬だけ間を置いて顔を上げた。何故だろう、何処かやつれてる様な………。

「……………………………………月華。何も覚えてないの?」

「へ?あ、ああ。」

何だ突然?まぁ、能力が使えるかフランの身体を借りて試そうとしたのは覚えてんだが………。

「─────────月華」

「お、おう………」

何だか有無を言わさぬ声音で俺の名前を呼ぶフラン。

「いい?何が有ったのかは絶対に詮索しないで。言っとくけどこれは月華の為に言ってるんだからね?いい?」

「イ………Yes Ma'am!」

俺はただ頷くしか出来なかった。
 
 

 
後書き
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