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普通だった少年の憑依&転移転生物語

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【ソードアート・オンライン】編
  106 仲間を探そう! その2


SIDE 《Leafa》

「……大丈夫? 落ち着いた?」

「は、はいっ…。大分──さっきよりは気が楽になってきました」

私と目の前のツインテールの少女は、ティーチ兄ぃに殿(しんがり)を任せて悪漢から逃げおおせた。……そして、どこかで一息つきたいのもあって──ティーチ兄ぃに居場所も教えなければならなかったので、【はじまりの街】にある、〝喫茶店っぽい店〟に適当に入った。

……少女に手探り感覚で今のところの心境を訊いてみれば、まともに返答が返ってきた。……顔色もさっきよりは、大分マシななっているのも素人目な私の目から見ても判る。

「まずは自己紹介からするね? ……私はリーファ。……貴女の名前を教えてもらってもいいかな?」

「リーファさん、と云うんですね? ……私の名前はシリカです。……今日は本当に助けてくれて、ありがとうございました! ……あ、さっきの──リーファさんと一緒に居た茶髪の人は大丈夫でしょうか!? ……私達を逃がすために、あんな…っ」

「大丈夫大丈夫。ティーチ兄ぃ──シリカちゃんの云う〝茶髪の人〟は絶対負けないから」

私達兄弟(妹)3人は、鍛練がてらよく決闘(デュエル)を──もちろん〝初撃決着モード〟で(しのぎ)を削り合ったりするが、私の勝率は(かんば)しくない。……ティーチ兄ぃからは1度も勝ち星を取れていない。

……故に、私はティーチ兄ぃを心配したりしない。……ティーチ兄ぃ〝を〟心配しないだけで、〝あの2人が〟心配になったりする。ティーチ兄ぃ──真人兄ぃはたまに〝やりすぎる〟時があるので、そこら辺が心配である。……どちらにしてもあの2人の自業自得なのかもしれないが…。

閑話休題。

――ピコンッ♪

グッドタイミング、とは正に〝こういう事を〟云うのだろうか、シリカちゃんにティーチ兄ぃについて軽く語ろうとした時、メッセージが届いた時特有の効果音が聞こえた。……右手を振ってメニューを開けば[《Teach》から1件のメッセージあり]と有った。

「……噂をすればなんとやらだね…。ティーチ兄ぃは無事だったみたい」

ティーチ兄ぃからのメッセージを開けば、[任務完了(笑)。そっちはどうだ?]──と簡素ながらも、そんなメッセージだった。……むしろ、こっちの無事すら気を回せるくらいにあ余裕があるらしい。

「[こっちは大丈夫だよ。少なくとも私の索敵スキルには、尾行とかは無かったみたい。あの女の子も無事だよ]──っと…」

「良かった…」

安堵の表情を見せるシリカちゃんを尻目に、ティーチ兄ぃへとメッセージを返信する。……返信したところで現在地を教えて無かった事を思いだしたので、それを詫びる文を添えつつ更にメッセージを付け足しておく。

「……あ、ごめん。ティーチ兄ぃにここの場所教えちゃった。……シリカちゃんは大丈夫…?」

「……ほぇ? 大丈夫──って何がですか?」

重要な事を失念していた。……シリカちゃんはさっきまで、〝明らかな歳上の男性〟から恐い目に遭わされていたのに、そこで〝歳上の男性〟──ティーチ兄ぃを呼んでしまった。……本当に度しがたい失敗だった。

……唯一の救いはシリカちゃんが〝私の仕出かした事〟に大して気にしている様子が無いというところだが…。……それは多分シリカちゃんが〝私の仕出かした事〟に気付いていないからだろう。

「……いや、さっきまで男の人達に囲まれてたよね…?」

「へっ…? ……あっ、大丈夫ですよ。だってリーファさんのお兄さんなんですよね? ……でしたら、きっと良い人ですから!」

(……良かった…)

――ピコンッ♪

シリカちゃんの屈託の無い笑顔に救われていると、ティーチ兄ぃからのメッセージが届いた。……直ぐにそのメッセージを開き、そのメッセージの内容確認する。……[そっち女の子の許可は取れたか?]──と、シリカちゃんを(おもんぱか)る内容だった。

(〝ティーチ兄ぃ(おとこのこ)〟より気を回せない〝(おんなのこ)〟って…)

ティーチ兄ぃのフォロー力の高さを軽く恨みながら、[うん、大丈夫。シリカちゃんも大分落ち着いてるよ]──と、ティーチ兄ぃへとメッセージを返す。……シリカちゃんの名前を勝手に出してしまって、そのまま勝手に自責するのはティーチ兄ぃにメッセージを返信した数秒後のことだった。

SIDE END

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

SIDE 《Teach》

[うん、大丈夫。シリカちゃんも大分落ち着いてるよ]──と、と、そんなメッセージに目を通しながら、リーファから指定された店に入店する。NPCの案内──もとい常套句を右から左に聞きながらリーファと〝少女〟──シリカ嬢を探す。

……隅の方でリーファとシリカ嬢を見つけたので、NPCに一言告げ、手を挙げながら近寄る。

「……さて…。リーファから〝色々と面白可笑しく〟聞いてるかもしれないが、取り敢えずは〝初めまして〟だよな。……俺の名前はティーチ。若輩ながら≪異界竜騎士団≫の団長を努めさせてもらっている」

この店に来る途中、リーファからうっかりメール…[うっかりティーチ兄ぃにシリカちゃんのキャラクターネーム洩らしちゃった! フォローお願い]──と、メッセージが届いたので、少女──シリカ嬢の名前をこぼさない様に挨拶をする。

……ちなみにうっかり屋──リーファは、俺の隣で借りてきた猫の様にしおらしくなっている。……リーファにとって、今回のうっかりは、相当に(こた)えるものだったらしい。

閑話休題。

「はい、初めまして。……あ、私はシリカと申します。……リーファさんも今日は助けていただき、本当にありがとうございました!」

「シリカちゃん──ね。よろしく」

(この()…多分強くなる。……そういやエギルって商人みたいなのになりたいって言ってたっけか…。……今は無理だとしてもその内看板娘みたいなのに出来ないかね…?)

シリカ嬢は屈託の無い笑顔で俺に──俺とリーファに礼を言う。……俺はシリカ嬢のその笑顔に形容はし難いが──シリカ嬢に〝強さ〟を見て、内心で皮算用を立てる。〝あんな事〟が有った今は〝大人の(エギル)〟に会わせるのは難しいが、シリカ嬢はきっと良い看板娘になる気がした。

「……さて、シリカちゃん。ものは相談──というよりは提案なんだが。……シリカちゃん、うちのギルドに入らないか?」

「「ほぇっ?」」

俺の提案があまり意外だったのか、シリカ嬢とリーファが異口同音に間の抜けた声を漏らす。……紆余曲折を経て──はいないが、本音と建前を混ぜた交渉術の結果、シリカ嬢は≪異界竜騎士団≫に入団する事になった。

SIDE END

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

SIDE 《Kirito》

「………」

「………」

(……誰か助けて下さい…)

ユーノの提案で始まったギルドの戦力(メンバー)の拡充。……拡充するのは良い。しかし、俺のペアに問題があった。……俺の隣には〝私、不機嫌です〟──とでも言いたげなオーラを、俺でも幻視出来るくらいに(ほとばし)らせている少女──アスナが居る。

……これ程までチョキを恨んだのは生まれて初めてである。

「……ねぇ、キリト君はさ…」

「ん? 俺?」

「ここに〝キリト君〟は他に居ないでしょう──話を戻すね? ……キリト君はさ、ティーチ君と──お兄さんとはどんな感じ? リーファちゃんを見てる感じだと〝現実(あちら)〟でも兄弟なのよね?」

「いきなりだな、これまた。……で、俺とティーチの関係?」

「うん。……〝自分より出来る兄弟が居る〟──って、どんな感じ?」

隣を歩いていたアスナが、いきなり無駄に畏まった佇まいをしたと思ったら──これまたいきなり、謎な事訊いてきた。……〝自分より出来る兄弟が居る〟──〝俺が真人兄ぃ(ティーチ)に劣っている〟みたいな論調で。

「……あ、ごめんなさい。別に〝キリト君が劣っている〟って云いたいわけじゃないの。……むしろ〝誰かの陰〟に隠れてばっかの私よりは、キリト君は凄いと思うし…」

「……別に良いけどな。……ティーチが──兄貴が俺より凄いのは確かだし」

アスナは、立ち止まった俺の憮然とした表情を見たらしく、取り繕う様に謝る。俺は一応赦しておくが、アスナの言い回しは嬉しいものではなかったので言葉の端に刺々しい語調が出てしまうのは仕方ないとしておく。

……実際、ティーチが──真人兄ぃが優れているのは確かなのである。真人兄ぃが一番優れている思えるところは、〝完璧〟に見せないところで──〝わざと〟瑕疵(かし)がある様に見せているところだと、俺は考えている。

(真人兄ぃは〝頼られたら嬉しいところ〟で頼ってくれるからなぁ…。……〝頼み方〟もめちゃくちゃ上手いし…。……そう考えれば、真人兄ぃって中々の〝人たらし〟だよな。……真人兄ぃがモテる理由が判った気がする)

「キリト君…。もう、キリト君ってば、聞いてるの?」

「あ、ごめん。……で、アスナが俺に訊きたいのは〝ティーチへ劣等感が無いか〟──って事で良いか?」

思考が横道に逸れていたのがアスナにもバレたらしく、アスナの言葉で意識が〝本筋〟へと引き戻される。

「……ええ、身も蓋も無い表現になっちゃったらそんな感じよ」

(……もしかしなくてもユーノか…?)

アスナの語り方を見て、なんとなくそう思った。……だとしたら俺から言える事はあまり無く、自分に(なぞら)えて語るしかない。……そして〝それ〟がアスナが欲している言葉なのだろう。

「……ひとまずはアスナが云っているのはユーノと仮定して進めよう。……アスナが俺に何を言って欲しいか判らないけど、〝アスナはユーノを上に見すぎて〟はいないか?」

「そんな──」

「〝そんな事は無い〟──と、胸を張って言えるか? ……俺にとってティーチは〝かけがえの無い家族〟で、〝いつも見守ってくれている兄〟であって──そして、〝どんな分野でも良いから超えたい相手〟だ」

続ける様に句切る。

……ちなみに〝真人兄ぃに勝っている〟と思えるのはコンピューター関連の技術だけである。

閑話休題。

「……つまり俺が言いたいのは、料理でも歌でも良い──ゆっくりでも良いから〝人に誇れる何か〟を探せば良いんじゃないか? ……幸い、短く見積もっても1年以上はこのゲームに囚われたままなんだしな…」

「……〝人に誇れる何か〟をゆっくりでも良いから探す…」

「あ、ああ。……アスナならきっと見つけられるさ。……こんな偉そうな事を言っちゃったから俺も手伝うよ」

アスナは俺の言葉を噛み締める様に復唱する。……途端、自分の言ったことが何やら恥ずかしくなったので、それから逃げるようにアスナの〝探し物〟を探すのを手伝う事を決めた。

SIDE END



SIDE 《Asuna》

「……つまり俺が言いたいのは、料理でも歌でも良い──ゆっくりでも良いから〝人に誇れる何か〟を探せば良いんじゃないか? ……幸い、短く見積もっても1年以上はこのゲームに囚われたままなんだしな…」

「……〝人に誇れる何か〟をゆっくりでも良いから探す…」

キリト君の言葉は私の心にすとん、と落ちてきたので、その言葉を噛み締める様に呟く。……どうやら私は、ゲームも人生にも焦り過ぎていたらしい。

「あ、ああ。……アスナならきっと見つけられるさ。……こんな偉そうな事を言っちゃったから俺も手伝うよ」

なぜだかは判らないが、キリト君は何かを取り繕う様に、私の〝探し物〟を探すのを手伝うと言ってくれた。

「どうして──どうしてキリト君はそこまでしてくれるの?」

ギルドの仲間だから? ……それだけではないと思う。……かといって、打算やらとも似付かない。……キリト君がなぜそこまでしてくれるのかが判らなかった。

「……それは俺も判らないな。……でも姉妹仲が微妙になったりするのは辛いと思うから…。……まぁ俺からの、〝余計なお節介〟程度に思っておいてくれ」

「……ふぅん…? ……私、決めたよ。〝料理〟をとってみようと思う」

「〝料理スキル〟か。……良いんじゃないか? アイクラッドは娯楽が少ないから、良い息抜きになると思うぞ」

「……よしっ! じゃあ、キリト君は味見役ね。まずは〝醤油っぽいモノ〟から再現しよう! ……腕が鳴るわ…!」

「へっ?」

「〝へっ?〟──じゃなくて、キリト君は手伝ってくれるんだよね?」

他人事の様に語るキリト君を味見役に抜擢する。キリト君の驚いた顔はヤケに新鮮で──こう云っては男の子であるキリト君は怒るかもしれないが、キリト君の驚いている顔はなんだか可愛く思えた。……なんだか、今日から魘されずに眠れそうに思えた。

……結局メンバーの拡充に成功したのはティーチ君とリーファちゃんのペアだけだった

SIDE END 
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