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スーパー架神大戦ダンゲロス

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プロローグ

 改札を通った三十代半ば程の男は額の汗を白いジャケットの袖でぬぐい、会うべき人―――正確には魔人だが―――を探し始めた。
 待ち合わせる改札は間違っていないが、辺りに男と同じように待ち合わせをしている大勢の人々を見て待ち合わせ場所を間違えたか、と軽く後悔する。
 相手はとても目立つ容姿をしているから、休憩場所にちょうどいい行きつけの喫茶店から一番近い改札口を選んだが、よく考えればあの低身長をこの人混みの中で見つけるのは一苦労だ。
 らしくないミスをしたな、とため息をつく。
 学生時代、とくに生徒会長として魔人の巣窟のような母校で奮闘していた高校生時代なら、こんなことにも頭が回っただろうな、とふと思う。
 そんな昔を懐かしんでいた時に丁度待ち人が声をかけてきた。

「見つけたぞ。ド正義」

 その声を聞いた男、ド正義卓也は辺りを360度見回したあと、下を向いて声の主を見つけた。

「おお、そこにいたか。邪賢王(じゃけんのう)

 相変わらず変わらないな、と会うたびに言うおきまりの台詞を言って、ド正義は少し笑った。
 ド正義と同い年だとは微塵も思えない、ピンク髪の美少女―――もう少女なんて歳ではないが―――邪賢王ヒロシマがド正義を見上げていた。





 ド正義と邪賢王は行きつけの喫茶店に入り、それぞれ飲み物を注文して雑談を始めていた。
「よくあの人混みで僕がわかったな」
「今どきバカ真面目に背筋を伸ばしておる奴なんかそうそうおらんわい。その歳で白いジャケットなんか着るのもお前以外に知らん」
 と、笑って答える邪賢王。その容姿は高校生時代と何ら変わっていない。豊かなピンクの髪は艶を失わず、白い肌にシミや皺は見られない。既婚者で一児の母だと誰が信じるだろうか。
 ド正義も同年代の中では若く見える方だが、邪賢王のそれは次元が違う。
 『希望崎の伝説のロリ番長』の名に相応しいロリババアっ振りだった。
「お前を見てると懐かしくなるな。あの頃のまま時間が止まってるんじゃないかと思うよ」
「それはお前だけじゃ。こっちは結婚してから段々忙しくなるばかりじゃ」
「ハハハ。すまんすまん」
「まあ懐かしいのは確かじゃがの」

 それから二人はしばらく、昔を懐かしむように学生時代のことを語り合う。

「姦崎にはほんとに悪いことをしたの」
「ああ。見た目が触手だから何回か超高潔速攻裁判で殺しかけたな。まさか純愛主義者だったとは思わなんだ」
「まあでも姦崎のお陰でわしらは出会えたしの。それに姦崎は無事に純愛していい嫁さん貰うたわけだし」

 と、番長グループ一番の苦労人だった触手魔人、姦崎姦(かんざきれいぷ)のことで盛り上がったり。

「転校生はヤバかったな。勝てたのは奇跡だった」
「あれは肝が冷えたわい。どうにか倒したと思ったら転校生の口から口舌院(くぜついん)一族の存在が明らかになってさらなる戦いに巻き込まれるとはな‥‥」
「無事に戦いから帰ったと思ったら今度は両グループ留年の危機。僕の成績表があんなことになったのは初めてで愕然としたのを覚えてるよ」
「三ヶ月も帰れなかったしのう‥‥」

 と、口舌院一族を巡る戦いに巻き込まれた話を感慨深げに語ったり。

「ド正義が女体化した時の衝撃は忘れられんのう」
「忘れろ。あれは完全なる黒歴史だ」
「しかもロリだったのう」
「周りがロリの百合だ! とか叫ぶばかりで僕を元に戻す努力をしなかった時は本気で殺意が沸いたぞ。しかも勝手に名前つけられた」
「ド正義妹子ちゃん」
「やめろ!」

 と、ド正義の黒歴史『妹子ちゃん事件』で盛り上がったり。
 そんな中、邪賢王が新たな話題をふる。
「そういえば、"あいつ"はうまくやっとるかの?」
「あいつ? ‥‥ああ、彼か。理事長の仕事は上手くいってるみたいだよ」
「そうか。わしのところにはあまり連絡がこないんじゃ」
「彼はまだ若いからな。心配なのはわかる。僕だって心配だ」
「希望崎の理事長をやるなんて言い出した時は能力使ってまで止めようとしたしのう。あれがまだ一年前というのが信じられんわい」
「でも彼は立派に自分の職を勤めてる。もしかしたら今までの希望崎で一番平和かもしれない。色々とえげつないところもあるけど成果は出てるしな」
「えげつないというか‥‥あれはもはや鬼畜じゃ」
「‥‥まあ、皆からは慕われてるし」
 弾んでいた会話が一瞬止まった。
 その"えげつなさ"や"鬼畜さ"は、思い出すほどに恐ろしくなるからだ。
 そこら辺の魔人より遥かに恐い。
 ド正義と邪賢王にここまで言わせる希望崎学園の現理事長は、なんと人間だ。
 しかし実力は確かだし、そのえげつなさや鬼畜さが今の希望崎に平穏をもたらしているのは事実。
 自分達も今の希望崎に入りたいくらいだ、とさえ思う。
 そして少しでも彼の力になりたい。もっともこんなことを思ってしまうのも彼の計算のうちなのかも知れないが。
「なあ―――」

 と、ド正義が会話を続けようとした時だった。
 喫茶店内のテレビから大地震でも起こったかのような警戒心を刺激する音がなり始めた。
 一瞬にして店内の緊張感が高まる。
「あ、口舌院じゃ」
 邪賢王が速報を伝えている女性キャスター口舌院言葉を見て呟く。
 先ほど話題に出てきた口舌院一族を巡る騒動の中心にいた人物だ。今では人気の魔人女子アナとして有名になっている。
「口舌院君が速報をするということは‥‥」
「そうじゃな。かなりの大事件と見ていいはずじゃ」
 口舌院言葉の能力『騙しの美学』は自身や仲間に向けられたあらゆる攻撃、能力、嫌がらせなどを相手自身へと返してしまう能力だ。
 口舌院はその強大な能力を活かして人間が取材になど行けないほど危険なところに赴き、職務をこなしている。
 ゆえに、口舌院言葉が速報を伝えるということはイコール多くの人命を脅かす大事件が起きたということだ。
 そして、その大事件は大体魔人がらみの事件だ。
 固唾を飲んでテレビを見つめる二人。
 口舌院言葉は、一瞬だけ悲壮な表情を浮かべた後、口を開いた。

「九月十五日の正午、希望崎学園でハルマゲドンが行われることになりました」

 ハルマゲドン。魔人たちによる、番長グループと生徒会グループの殺し合い。
 九月十五日。明後日だ。 
 

 
後書き
原作知らないと読みづらいと思うので、簡単な用語解説などのページも作る予定。あくまで予定。 
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