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魔法艦娘Reinforce

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第1話 その者、巡洋艦にして祝福の風

とある世界で一体の融合騎(ユニゾンデバイス)が消えた。その名は“リインフォース”。魔道書型デバイス“夜天の書”の管制人格である。夜天の書自体はただ魔法を記録する為の物なのであったが、歴代の所有者による改変によって呪われた魔道書“闇の書”へと変貌してしまった。だが、今代の主“八神はやて”とその友人達の活躍で闇の書を闇の書たらしめていた“防衛プログラム”の破壊に成功。これにより闇の書は夜天の書へ戻る事が出来た。だが、リインフォースに施された改変は最早修復不可能であり、新たな防衛プログラムを生み出す危険性があった。それ故、彼女は自分を救ってくれた優しい主の為に、自ら消える事を選んだのだ。



だが、彼女の物語は終わらなかった。

「ここは・・・」

彼女が目を覚ますと、周囲は真っ黒な空間だった。

「真っ暗だ・・・そうか、ここは地獄だな。闇の書として、多くの罪を犯してきた私なら当然か。」

そう言いながら周囲の空間を見渡すと、ある物が目に入った。

「これは・・・」

それは、船のように見える巨大な物体だった。

「これは、次元航行艦か?」

リインフォースがそう思ったのは、その船にはスクリューではなく、スラスターが付いており、形状も水上を進む為に設計されたものとは思えなかったからだ。そして、その船に付いた大砲や機銃が、それが軍艦である事を示した。その船体はボロボロで、スラスターは片方が無く、司令塔であるブリッジは完全に大破している。そこに居た乗組員の生存は絶望的だろう。

「そうか。ここは人ではなく“物”が堕ちる場所か・・・そうだな。融合騎である私が死後に人と同じ場所に行く訳が無いか・・・」

そう言いながらリインフォースは軍艦に近付いた。

「お前も、戦場で何人も殺したから、ここへ来たのか?」

そして、リインフォースは軍艦の船体に触れた。その時、彼女の中に記憶と経験が流れ込む。

「これは・・・この船の、いや“私”の、“リーンホース”記憶!?」

そして、リインフォースと軍艦、リーンホースは光に包まれた。




光が消えた後、リインフォースは大海原の上に立っていた。

「ここは、何処だ?と言うか、何故私は海の上に立っているんだ?」

魔法を使えば水の上に立て無い事も無いが、彼女にそれを使った覚えは無い。すると、彼女は自分が騎士甲冑以外の物を身に付けている事に気付いた。
まず、右手には何やら船の船首のように見える物が付いていた。甲板部分はカタパルトになっており、側面の先端部分にはミサイル発射管が、根元部分には連装砲が左右に付いている。腰の左右にも同じ連装砲が付いており、背中には大型のバーニアのような物が付いていた。
“リインフォース”はそれらが何なのかは知らなかった。だが、“リーンホース”は知っていた。

(連装メガ粒子砲にミサイル、そして3連装対空機銃。そしてこの形状は間違いなく大規模改装前の私の船体と艤装だ。格納庫にはVガンダムヘキサが1機、ガンブラスターが1機、ガンイージーが4機セッターが2機か。だが、どうなっている。どうして沈んだ私が人型に・・・それも融合騎と1つになっているんだ?)

リーンホースとリインフォースは困惑した。彼女の中にはそれぞれの記憶があり、どちらも自分の記憶として認識出来たからだ。
そんな時、レーダーに複数の反応があった。西に3つ、北西に4つだ。

(移動している・・・ひとまず、目視出来る距離まで行ってみよう。)

現在彼女が居るのは海のど真ん中。何処へ向かえば陸地に辿り着けるのか分から無い状況だ。このままでは野たれ死に、海の藻屑となってしまう。“リーンホース”はそうなるのは嫌だったため、反応に賭ける事にした。

「機関始動。まずは一番近い西の反応に向かう。」

そして、リーンホースは水上航行で西へと向かった。




西の反応を目視出来る距離まで近付いたリーンホースが見たもの。それは、黒い甲羅に覆われた魚のような3匹の生物だった。

(この世界の原生生物か?)

リインフォースはそれらをそう認識した。同時に、あれと接触しても得られる物は無さそうだと落胆する。リインフォースの経験では、あのような生物に言葉を解するだけの知性がある事は殆ど無いのだ。
なので、もう1つの反応へ向かおうとした。だがその時、魚の群れがリインフォースの方を向いて近付いて来た。

(まさか、狩りの獲物に選ばれてしまったか?)

そう考えてリインフォースは距離を取ろうとする。無駄な戦いはしたく無いと思ったからだ。距離さえとってしまえば噛み付いて来る事は出来ないだろう。そう考えたのだが、魚達は彼女の予想に反する行動に出た。なんと、口のなかから砲を出し“砲撃”して来たのである。

「何だと!?」

“リインフォース”は咄嗟にシールドを展開して防御し、“リーンホース”が戦闘態勢に入った。

「モビルスーツ隊、発進!!」

右腕のカタパルトを水平にし、そこからまずVガンダムヘキサがガトリングガンを装備して発艦発艦する。続いてガンブラスターがビームライフル装備で発艦し、同じくビームライフル装備のガンイージーを2機ずつ乗せたセッター2機が発艦した。
モビルスーツ隊は敵に接近するとビームライフルで攻撃を開始した。だが、ダメージこそ与えているが、あまり決定打にはなっていない様子だ。そんな中、Vガンダムヘキサは魚のうち1匹の目を撃ち抜いて沈黙させた。

「流石だな。私も行くぞ!」

そう言って“リインフォース”は魔法を発動させる。

「穿て!ブラッディダガー!!」

リインフォースは魔力で出来た血のような色のナイフを魚に向けて発射した。だが、ナイフは魚の外殻に刺さる事無く、弾かれてしまう。

「何だと!?」

それを見たリインフォースは驚愕した。あの小さなモビルスーツ達のビームでダメージが与えられるのだから、ブラッディダガーでも充分ダメージが与えられると考えていたのである。
すると、ブラッディダガーを弾いた魚が口を開けて砲撃して来た。リーンホースは1発被弾してしまう。

「くそっ、メガ粒子砲、撃て!!」

リーンホースはメガ粒子砲で反撃を行った。そちらは魚の外殻を紙のように貫いて仕留めた。

(これは効くのか?つまり、奴らの外殻は魔法が通用しない特殊な材質だと言う事か?)

そう考えていると、モビルスーツ隊が最後の1匹を仕留めていた。

「よくやってくれた。暫くは周囲を警戒してくれ。」

そう言ってリーンホースはレーダーを確認した。もう1つあった反応の場所を確認した。今度はそちらと接触するつもりだが、先程の魚達と同類である可能性があるため警戒しておく。
レーダーによると、4つある反応は此方に近付いていた。

「向こうから来るか・・・」

リーンホースはモビルスーツ隊を周囲に待機させ、メガ粒子砲を構える。すると、4つの人影が見えた。黒のセーラー服姿の少女達だ。髪型は茶髪のショートに金髪のツインテール、三つ編みの黒髪に赤みがかった金髪ロングと様々だ。背中には黒髪以外が船の煙突のような物を背負い、黒髪だけは砲撃支援型モビルスーツを思わせるキャノン砲付きのバックパックを装備していた。そして、4人とも手に銃のように連装砲を装備している。(黒髪だけ一回り小さい)
彼女達は周囲を見渡し、私と沈んで行く魚達の姿を確認すると、少女達のうち、黒髪がリーンホースに話しかけた。

「こちらは日本海軍所属の白露型駆逐艦、時雨です。そちらの所属と艦種、それに艦名を教えていただきますか?」

今度は話が通じる相手のようだとリーンホースは感じたが、念の為警戒したまま“聞かれた事”について答えた。

「私はリガミリティア所属、スペースアーク級巡洋艦リーンホースだ。」


続く


 
 

 
後書き
リーンホースの艦種をクラップ級にするかスペースアーク級にするかで悩みましたが、この2つの関係は吹雪型と綾波型 or 暁型みたいなものと考え、スペースアーク級としました。


10/13 誤字があったので訂正 
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