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東方喪戦苦~堕罪編~

作者:鬼心
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~新六幕~地獄へ向かう方法

八「まず、地獄までの行き方と、手紙」

「手紙?」

八「これを閻魔様に渡せばいいわ」

「分かった。それで地獄に行く為には?」

八「貴方の肉体と精神をこのお札で別つわ」
そういって、八千代は懐から一枚のお札を取り出した。

「で、別った後はどうするんだ?」

八「貴方が地獄の更に奥深くまで潜っていき、知り合いと接触、協力を取り付けてもらうわ」

「帰ってきたら俺の精神と肉体はどうなるんだ?」

八「帰ってきたら貼ったお札を剥がせば元に戻る、けれど·····」

「けど?」
八千代は躊躇いがちに言った

八「札を使った副作用で、理性の低下、体を内から蝕まれるような痛みが一生涯残るわそれと、あまりに長く居すぎると札が使えなくなって戻ってこれなくなるわ」

「分かった、じゃあ今日は明日に備えて寝よう」
そういって、二人は部屋へ戻り、深い眠りについた。


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そして、朝が来た。
八「·····骸」
やはり八千代は心配そうだった。

「あぁ、その前に少し一服させてくれ」
そういって、懐からタバコを取り出し、咥えて、深く息を吸う。
「ふぅ、さぁいこうか」
タバコの火をけして、八千代の方を見る。

「じゃあ頼む」
そう言って目を閉じる。
八千代がお札を俺の額へ貼る。
その瞬間、体から力が抜けてバタリと倒れる。
筈だった。
「あ、あれ?」
後ろを見ると、倒れている俺の体が見えた。

「第一段階は成功って事か····」
八千代に貰った地図で地獄までの道を歩き始めた。


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「弱ったなぁ····川が有るなんて聞いてないぞ?」
川の手前にかなりの人だかりができていた。
あの人達は紛れもなく死んでいった人達だろう。俺のように仮ではなく
そんな事を考えていると、俺が歩いてきた道から誰かが走ってきた。

「お~い!」
そういって、勢い良く手を振りながら女性が走ってきた。
赤い髪をツインテールにし、半袖にロングスカートのような着物を着て腰巻きをしている

「いや~またせたねぇ、じゃあ行こうかい!」
そういって全員を船へと促す。
そこでの船旅で彼女の上司の愚痴というか人生観というか、説教染みた物を聞かされた。

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辺りは明るく、ジリジリとした熱気を絶え間なく感じる。

「思ってた場所と結構違うなぁ」

辺りの空気は重く、渓谷の谷間を歩いていた。
奥へと進むと、いきなり開けた場所に出て、大きな門が異様な雰囲気を漂わせていた。
木で出来た50mはあろう巨大な扉。それが今、巨大な二人の門番によってゆっくりと開かれる。
扉の向こうにはまるで会議室の様な場所になっており、俺から見て正面に一際大きな机があった。
そこに一人の少女が歩いてきた。
その少女は大きな机の前に立ち、椅子をひいて座った。

「私は四季 映姫!貴方達に刑罰を与える!」
そう言って、前の魂から順に刑罰を言い渡していった。
極楽へ行くことを定められた者もいれば、地獄で責め苦にあう者もいた
そして、等々自分の番が回ってきた。

「あの~、俺の罰の前にちょっといいですか?」

「弁明の余地なしです!処分を言い渡します!」
そういって、俺を睨み付けた。

「いや、そうじゃなくってですね····これを渡せと···」
そう言って俺は、四季様に手紙を渡した。

四「ふむ。良いでしょうではこの奥の扉を進みなさい」
手紙を読み終えて、四季様は淡々と言った。
そして四季様が眷属に目配せすると、四季様の真後ろにある扉が開かれた。

「ありがとうございます」
頭を下げて、四季様の横を通り抜け、扉の向こう側にいこうとすると

四「貴方の事情は存じ上げませんが、本当にいいんですね?そこは地獄の真骨頂と言っても過言ではありませんよ?」

「はい構いません、俺は生まれてからずっと辛いことをしてきましたからね」

四「ふふ、そうですか、確か前にここへ入った方もそんな事言っていましたね。確か貴方と歳は近かったはず····まぁ、5年も前の話ですけどね」

そんな四季様を背に、俺は扉の奥へと進んだ。
扉の向こう側に足を踏み入れた途端、空気が一気に重くなった感覚がした。
まるで亡者達に足を引かれているかのような感覚だった。
それにさっきよりも熱気が強く感じるようになり、それに加えて言い知れぬ恐怖さえも感じた。

「誰か···来る!?」
前の方から誰かが歩いてきた。
必死に目を凝らしても何故か目の前が霞んで良く見えない。

「····ろ?」
次第に声も聞こえるようになってきた

「·······く·····ろ?」

その声は段々と近くなっていき、次第にこの主も見えるようになってきた。

「骸?」
その声に俺は聞き覚えがあった。
それに声の主も段々と鮮明に見えてくるようになった。

「骸か?」
俺はその声と声の主の姿がハッキリした時、涙が止まらなくなった。

「あ、貴方は!ーーーーーーーーーーー」



To be continudー














 
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