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東方喪戦苦~堕罪編~

作者:鬼心
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~新五幕~偶然の出会い

エイジスの外へ出て、人里へ向かっていた。
人里に近づくと、活気ある人達の声が聞こえてきた。
八百屋、染物屋、食堂、色々な店がごった返す道を通り抜け、少し人気が薄くなった場所にある煙草屋へ向かう。

「あぁ、お兄さん!」

俺が歩いてきたのに気が付いたのか、店の前に置いてある一服する人向けの椅子に座った中年の男性が手を振ってきた。

「また来ました」

中年の男性に近づいて微笑みかける。

「いやぁ、嬉しいねぇ近頃はうちに煙草を買いに来る輩は居なくなっていくからねぇ、っといけねぇ、何時ものだね?」
そういって忙しそうに店に戻って煙草を取りに戻る。
彼はこの煙草屋、「獄煙屋」の店主、この煙草屋にくる客は少なく、昔からの常連客しか来ないのだ。
彼の名前は誰からも聞いた事はないが、常連客からは「ごくさん」と呼ばれている。獄煙屋の頭文字から来た名らしい

ごく「はいよ、お兄さん」

「ありがとうございます、これ」
そういって勘定を払い、煙草を受けとる。

ごく「じゃあね、元気してなよ!」

そういってごくさんは店の中へ戻っていった。
早速、煙草を取りだし、口に咥えてライターで火を付ける。

「ふぅ、生き返るぜ」
そう呟いて、空を見上げる。

「骸さん···?」
妙に聞き覚えのある声が聞こえる。
振り返ると、白く透き通るような長い髪を後ろで結び、黒の瞳に頭に黒のリボンが付いたカチューシャをしている女性がいた。

「···誰ですか?」

一つ心辺りがあったが、その人物とは髪型が異なっていた。

「魂魄 妖夢です、覚えてますか?人違いだったらすいません·····」
上目遣いでその女性は言う
その名前を聞いた途端、はっ、と思い出した。

「よ····妖···夢···ちゃん?」
あの時の事を鮮明に思い出す。
まだ子供だったあの頃を

妖「はい!そうです!やっぱり骸さんでしたかぁ····良かった···」
妖夢は安心して溜め息を吐いた後、口を抑えて小さく笑った

「妖夢ちゃんは····買い物?」
妖夢の持ち物を見てそう判断することは容易かった。

妖「はい、夕食の買い出しにちょっと···」

「·····持とうか····?」
妖夢の持ち物は買い物の袋と言うには無理があった。
大きな風呂敷に今にも破裂しそうな程の量が入っていた。
妖「いえ····大丈夫です···!この位は····ひゃ!?」
バランスを崩した妖夢は風呂敷の重さに耐えられず、逆に風呂敷に持ち上げられてしまった。

妖「うわぁ、誰かー!助けてー!」
足をばたつかせて、風呂敷から脱出を試みるも、飛び出さぬようにしっかりと胸の中心で結んだ風呂敷からは逃れられなかった。

「あらら、言わんこっちゃない」
煙草を地面に落として足で火を消す。

結んであった物を外し、妖夢を救出した後、それでもまだ、持つといって聞かない妖夢を説得した。

「よっと、じゃあ行こうか」

妖「はい·····」
説得は成功したものの、妖夢は風呂敷を持てなかった屈辱と“持ち上げられてしまった”のを見られた恥からか、顔を少し赤らめ、俯いたままだった。

無言のまま、歩を進め、もうそろそろと言う所で俺の口が開いた。

「なぁ、妖夢ちゃん·····」
そういって妖夢を見つめる

妖「はっ、はい!、何でしょう?」

「浄土、って何処か分かる?」

妖「へ?」

「浄土だよ、行かなきゃ行けない用事があるんだ」
妖夢は溜め息をついて、唸りながら考え始める。

妖「う~む、すいません····そのような場所はちょっと····」

「そっかぁ」

妖「でも、幽々子様なら知っているかもしれません!宜しければよっていきませんか!?」

「う~ん、今日はいいや、ありがとうね。今度皆で行くよ」
妖夢はさっきの笑顔が豹変、がっかりした顔になった

妖「そうですか····ではここで大丈夫ですよ、大変お世話になりました」
妖夢ちゃんがお辞儀をした後、俺は風呂敷を手渡した。
その後、妖夢の背中が見えなくなると、俺も振り返り、歩き始めた。

「感情が豊かなんだなぁ····」

そう呟いて、家に帰る。
家はここからはそう遠くはなかった。
森を抜けると、見慣れた我が家があった。

「ただいま」

出「おかえりーっ!骸ー!」
ドアを開けた瞬間、出雲が抱きついてきた。
出雲の頭を撫でてやると、出雲は満足そうに笑い、犬のように尻尾を振った。

八「お帰り、なにがあったの?」
八千代はくいぎみにそう言った。
俺は躊躇いがちに言った。
「···裕海が生きてる」
その言葉に八千代は動揺を隠せない様子だった。
それに被せるかの如く続けた。
「奴は、浄土に居ると自分で言っていた」

八「浄土·····」
八千代には心当たりが有るようだった

「何か知ってるのか?」

八「私は詳しくは知らないんだけど、知人が詳しく知っていると思うわ」

「その知人って?」

八「死の世界で、亡者の罪を裁く閻魔様って知ってる?」

「あぁ、たしかこの幻想郷に居るって····」

八「その罪を裁き、罰を与える場所、地獄の創造者、“獄王”って呼ばれているわ」

「そいつに会いに行く方法は?」
それを聞いた時、八千代に躊躇いの表情が浮かんだ。

「何だよ、教えてくれよ!俺は何があっても大丈夫だよ!」

八「地獄は死後の世界····いくらあなたでも生きたままでは到底入ることは不可能····」

「じゃあどうすれば····!?」

八「でも一つ····方法はあるわ····この方法は危険だけれど、貴方はどうしてもと言うのでしょ?ならよく聞いて、今から説明するから一言一句忘れずに、良いわね?」


ーTo be continudー

































 
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