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詩集「棘」

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恋にためらい 君を愛して



秋の始まりは長い雨
結露した窓の向こう側には
幽かな日常が流れ
まるで一線を画した映画の世界

過ぎ行くだけの人波
霞む遠い風景
君のいない ここは幻…

恋にためらい 君を愛して
独りよがりの心は叫ぶ
どこまでも一緒にいたい…
声にならない言葉はいつか
思い出という名で描かれる…


冬を思わせるような青
雨の暁 淋しさに染めて
胸に溢れる切なさは
夏を惜しんでか君を想うゆえなのか…

うつろいゆく季節の中
待つことしか出来ず
僕は一人 ここで翳って…

恋にためらい 君を愛して
虚しく時は距離を空けてく
いつまでも想い続ける
僕の愚かさ映す水面は
ただ連面とさざめいていた…


秋に色づく稲穂の先に
静かに留まる赤蜻蛉
われ関せずと飛び去った
あの高くなった青空へ…

恋にためらい 君を愛して
儚い時を流離うだけで
孤独な人生(トキ)を満たせずに
君を求める心はいつか
悠か未来へと届くだろう…



 
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