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知られない戦闘

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第二章

「この基地にも出撃命令が来るぞ」
「わかりました、では」
「君の小隊も出るだろう」
「中隊自体がですね」
「出るかわからない」
「では」
 こう話してだ、そしてだった。二人は出撃の心構えをしていた。するとこのやり取りから一時間もしないうちにだった。
 連絡が来た、それでホフマンとダムの中隊は出撃した。そして前線に向かうと。
 ドイツ軍は戦車と装甲車を先頭に立てて攻め込んできていた、その機械化部隊を見てだった、ダムは部下達に言われた。
「あれが、ですね」
「ドイツ軍の機械化部隊ですね」
「何か凄いですね」
「物凄い数ですね」
「心配するな、こっちにも戦車はある」
 ダムは戦車を見て言う部下達にこう返した。
「だからな」
「怯まずにですか」
「戦車の援護も受けて」
「そのうえで、ですね」
「戦うべきですね」
「イギリス軍やフランス軍はあてにするな」
 同盟軍である彼等はというのだ。
「この国は誰のものだ」
「ベルギー人のものです」
 部下達はダムに一斉に答えた。
「他の誰のものでもありません」
「我々の国家元首はどなただ」
「レオポルド三世陛下です」
 この返事も一斉だった。
「他の誰でもありません」
「そうだな、だからだ」
「ベルギーは我等が守る」
「そして陛下の為に戦う」
そうするのですね」
「それ以外にはない」
 ダムも言う、そしてだった。
 彼等はその場で銃を撃ち手榴弾を放って果敢に戦った、確かに戦車は来ているが。
 幸い空からの攻撃はなかった、しかも。
 彼等の後ろからだ、戦車は来なかったが。
「砲撃が来ていますね」
「砲兵隊が来てくれていますね」
「援護射撃をしてくれてきてます」
「これは有り難いですね」
「全くだ」
 ダムもその砲撃、砲弾が頭上を飛ぶのを見て笑みを浮かべた。
「これはいい」
「敵の戦車隊が攻撃を受けて止まっています」
「装甲車もです」
「では我々は、ですね」
「歩兵隊は」
「歩兵の相手は歩兵だ」
 ダムも言う。
「いいな、ここから一歩も引かずにだ」
「この場を死守する」
「そうすべきですね」
「命令が出ない限り持ち場を離れるな」
 ダムは部下達に命じた。
「わかったな」
「了解です」
「この場を死守します」
 部下達も応える、そして。
 その場に、何とか事前に塹壕を掘っていたのでそこに入って守りにかかった。それは彼の小隊だけでなく。
 中隊、いや師団単位でそうなった。そこで戦線を守ることとなっていた。
 ダムは部下達と共に銃を持ち塹壕の向こうのドイツ軍に果敢に攻撃を仕掛けた、銃を放ち手榴弾を投げた。
 戦車も援軍に来て砲撃は続いた、だが。
 ドイツ軍は諦めない、あくまで攻撃を続けてきた。
 航空機が来た、そこで彼は部下達に言った。 
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