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魔法少女リリカルなのは 平凡な日常を望む転生者

作者:blueocean
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第12話 時期外れの転校生

「今日は転校生を紹介します………」

不機嫌そうな様子でシャイデがみんなに言った。

「うおおおお!!」

「女の子かな?男の子かな?」

「こんな時期に転校してくるなんて、何か事件性が………」

クラスメイトもそれぞれ思うところがあるみたいだな。
真ん中の女の子以外まともじゃないような………

事件性ってなんだよ。

俺は机にうつ伏せになり、シャイデの言葉を聞きながらクラスメイトを観察していた。
隣のなのはは俺が寝ているのかチェックしているのか、度々俺の方を見ている。

寝ないからカバンから見えてる広辞苑をちゃんとしまってくれ………
いつの間にか分厚くなってるし………




昨日の戦闘の後、シャイデに怪我の治療をしてもらい家に帰った。
もう時計の針は12時を回っていたのだが三人とも起きており、俺を迎えてくれた。

ライはとても眠そうだったが………

本当に心配かけてばかりのような気がする。
だけど今回の依頼人と退治した相手についてはごまかした。

あいつらを巻き込みたくない。

俺は三人に先に寝るように言って、遅めの夕食をもらい風呂に入って寝た………
ちなみに報奨金は普通の仕事の5回分。

治療費込みらしいが大変太っ腹である。

流石スカさんってとこか。



「静かに!それでは入ってきなさい」

シャイデの注意に我に返った俺は入ってくる転校生に目を向ける。
ふんふん、背はずいぶん小さいな。小学生と言われても間違えないかも。

髪は長い銀髪を束ねたポニーテール。

………転生者?
なわけないか。

そして、顔を見る。

人形みたいに綺麗な顔立ちだな。右目の黒い眼帯がなければ人形とも間違えるかも。
………………眼帯?


小さい体にロングの銀髪、黒い眼帯………






チンクじゃね?



「私の名前はフェリア…イーグレイだ。家庭の事情でこちらに転校してきた。皆、よろしく頼む」

フェリア?なんだ人違いか。

「うおおおおおお!!銀髪美人キター!!!」

でかい声出すなよ神崎………
隣のなのはがヤバイほど引いてるぞ。

「神崎!!あの子の点数は?」

「85点だな」

「その心は?」

「あの綺麗な顔立ち、美しい銀髪。それにミスマッチのように見えて、ものすごく似合う眼帯。それだけで確実に90点だ!!」

「?なぜ5点マイナスなんだ?」

「貧乳なところが………あのロリボディで巨乳なら100点だったんだが」

「だが、貧乳もステータスと聞くが………」

「だからこその85点なのだ!!」

「なるほど!!」



ってな感じで神崎と周りの男共はくだらない会話を繰り広げていた。
これで、まだもてるから不思議なんだよな………

まぁこのクラスの女子は本性が分かってきたみたいだけど………

ニコポ、ナデポってこの世界ではあまり強くないスキルなのかな?
今度、じいさんに聞いてみるか………

「静かにしろそこの男共!!それじゃあフェリアさんは………」

と言ってクラスの空いているスペースを確認している。
空いているスペースと言ってもどこにも………

なのはの隣にスペースがあるか。

ちなみに、

           黒板

……… ……… ……… ……… ……… ………
すずか ……… ……… ……… ……… ………
はやて ……… ……… ……… ……… フェイト
……… ……… 神崎  ……… ……… ………
……… ……… ……… ……… ……… アリサ
俺   なのは     ……… ……… ………




神崎の周りは男子ばっかです。
しかも思考が似ている奴が多く、何気に仲がいい。

まぁどうでもいいか。

「なのはさんの隣に行ってね。零治、用具室から机と椅子持ってきて」

「やだ」

何でそんな面倒なことを………

「………零治君?」

「謹んで行かせていただきます!!」

だから右手に持っている広辞苑下ろしてくださいなのは様!!
俺はダッシュで教室を出た。




「済まないな」

「構わねぇよ」

机と椅子を急いで持ってきて、フェリアのスペースに置いた。

「………次はこれで机と椅子を拭いてあげて」

そう言って綺麗な雑巾を渡される。

「………なぜに?」

「ついでに拭いてあげなさい」

………もう反論するのもめんどくさいや。
さっさと終わらせよう。

俺は言われた通り机と椅子を拭いた。




「さて、フェリアさんちょっと前に来て」

シャイデにそう言われ前に行くフェリア。

「さて、今日は特に連絡事項もないし、一時間目まで質問タイムにしたいと思います」

クラスから歓声が上がる。

「じゃあ、スリーサイズは?」

いきなり爆弾発言する男子A。
当然、神崎周辺の男子である。

「いきなり何言ってるのよ!!」

アリサも慌てて注意する。

「スリーサイズか?上から………」

「言わなくていいのよ、フェリアさん!!」

シャイデが慌てて言おうとするフェリアを止めた。

「じゃあ私が。どこから来たのですか?」

すずかが定番の質問を聞く。

「私はオーストリアの田舎に住んでいる」

「兄弟とかいるん?」

今度ははやてが質問する。

「い、いるん?」

「いる?って意味よ」

やっぱり関西弁知らないか………

「なるほど。自分を含め7人姉妹だな」

「多っ!!」

はやてのツッコミも分かる。かなりの大家族だな………

「じゃあ、両親は何をやっているのー?」

俺の隣から大きな声でなのはが聞く。
そんなにでかい声出さなくとも聞こえるっての。

「父は科学者をしている。母は父の助手だ」

「そうなんだ」

科学者?
だから田舎暮らしなのか?

「好きな食べ物は?」

フェイトが定番その2を聞いた。

「主食にしているのは栄養ブロックと言う簡易に栄養を取れるものだ」

その答えに唖然となるクラス。

「なんと質素な!結構苦労してるんだな………」

「そうだね。今度、私の家に招待しようかな」

桃子さんの料理は美味しいからな………
唖然とした空気をシャイデが和ませ、再び質問タイムが続いた。

「では、好きなタイプは?」

おっ、男子B(神崎周辺の男ではない)が踏み込んだ質問をしてきたな。

「好きなタイプとは?」

「居ないの?優しい人とか、たくましい人とか、頭の良い人とか、運動が出来る人とかないの?」

「?運動とかできると良いのか?」

何かズレてるなぁ。

「ならば俺とかどう思います?」

にっこり笑顔を浮かべながら神崎が聞いた。
本当にどうしようも無い奴だな………

「?同じ銀髪の男ぐらいか。ただその笑顔は気持ち悪い。ニヤニヤする男は嫌われるぞ」

真顔で言うフェリアに激しく頷く原作組一同。
………あいつらは仲良くやれそうだな。

「やっぱり、人前で言うのは恥ずかしいか………」

「シャイデ先生、彼を早く病院に連れていった方がよろしいのでは?」

「私も何度も言っているんだけど………」

シャイデも餌食になってたのか………
あいつ、女性なら必ず手を出してないか?

キーンコーンカーンコーン

チャイムが鳴り、授業五分前を知らせる。

「それじゃ、これまで。あとは各自休み時間にね」

こうして、質問タイムはお開きになった。





「しかし、凄い人気だな………」

今は昼休み。

「そやねぇ。やっぱり転校生は注目の的なんよ。それにかなりの美少女やし」

よだれが垂れているのは気のせいですよね?はやてさん。

「はやてちゃん、よだれ、よだれ」

「おおっと」

なのはの注意にはやてがよだれを拭う。
やっぱりよだれ垂れてたのかよ………

俺は今自分の席にいる。
なのはは自分の席、はやては俺の前の席に座っている。
現在、クラスの大半と、他クラスの奴から質問攻めにあっていた。

それをバニングスがうまくまとめている。
………あいつああいうことをさせると天下一品だからな。

「でも、本当にすごい人気だね」

「………揉みたいとか思っただろ?」

「いややな、私そんなに変態じゃないやろ」

そう言って俺となのはを見る。

「………何で目を合わせてくれへんの?」

そりゃ日頃のおこないと話を聞くとな………

「はやてちゃんは少し自重したほうがいいと思うの………」

「俺は構わないけど人前で揉むのは止めたほうがいいぞ」

「あ〜ん、二人がいじめるぅ〜」

そう言って教室に入ってきたフェイトとすずかの方に走っていき、飛びつく。

「きゃ!?どうしたのはやて」

「いきなり飛びつくとびっくりするよ」

「すずかちゃん、フェイトちゃん。あの二人がね………」

そう言って俺たちを指さしながら、後ろにゆっくり回り、

「チェストォォォォ!!」

二人の胸を揉んだ。

「「キャアアアアアアア!!」」

「ギャフ!!」

二人にビンタを貰い吹っ飛ぶはやて

「自重しろって………」

そう言って俺はため息を吐いた。
それに合わせたようになのはも同時にため息を吐いたのだった………




「零治ちょっといい?」

「何だ?」

「ちょっと話があるんだけど………」

そう言ってシャイデに教室から連れ出される。



「それで話って?」

みんなの定番、体育館裏!


ではなく、

屋上に来ました。

「それで話って?」

「フェリアについてだけど………」

そう言って、言葉を濁す。

「ん?フェリアがどうしたんだ?」

「まさか、気づいてないの?彼女戦闘機人よ」

…………………………ハァ!?

「その顔は本当に気づいてなかったのね………」

「いや、だって普通に眼帯している女の子だろ!」

「まぁ、気づかないのは無理ないかな。私のデバイスって元が整備や調整用でしょ。私のデバイスが気づいたんだけど、僅かに体から機械音が聞こえるらしい」

なるほど………

「で、何が目的なんだ?」

「………なんでも調べものがこの街にあるらしいわ」

何を調べているんだ?

「それと誰が彼女を?」

「ジェイル・スカリエッティ」

またあのマッドサイエンティストか………

「本当に面倒事ばかりだな………」

「同意見よ………」

二人でため息を吐く。

「それでね、まだあるのよ………」

「何だよ………」

「拠点が欲しいらしいんだけど………」

「で?」

「あの子、世間知らずのところあるじゃない」

確かに、栄養ブロックとか簡単に言うし、スリーサイズも簡単に言いそうになるし、お嬢ちゃんおじさんといいことしようぜ!って誘われたら簡単について行きそうだからな。

「それでね、零治の家にホームステイをさせようと思っているんだけど………」

はあああああああああ!?

「ちょっ!!無理だって!!俺の家には星たちだって居るんだぞ!!」

「分かってるけど、私の家って私ほとんどいないし、一人にさせちゃうと結局同じになるでしょ」

「けれどよ………」

やばいだろ!?星達たちもジェイルから見ても研究対象になりそうだし………

「大丈夫よ。星たちには私から説明する。それに彼女たちは今は人間でしょ?興味持つはずないと思うわ」

「だけど!!」

「大丈夫どう調べても彼女たちは普通の人間だし」

だけどよ………

「むしろ私はあなたの方が心配。ジェイル・スカリエッティの目的はあなたじゃないかと私は思うの」

「!?なんでだ?」

「あなたの能力とデバイス。かなり珍しいし、もしかすると………」

「俺が研究対象か………」

ありえる………装甲を展開して戦う魔導師なんていないからな。

「で、どうする?」

「………分かった。こちらで預かるよ」

「いいの?」

「他で好きにされるより近くで監視出来た方が良い」

勝手に何かされるより全然マシだ。

「そう、分かったわ。なら彼女たちには私から言っとくわ」

「そうしてくれると助かる」

俺から言ったら何されるか分からんからな………

「それとフェリアは教室で待ってもらっているから迎えに行ってきて。その間に私が連絡しとくわ」

「了解」

本当にいろいろ面倒を持ってくる科学者だな。
なんにせよ目的を調べるのが先決だな。


そう思って、零治は教室に向かった……… 
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