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ロザリオとバンパイア〜Another story〜

作者:じーくw
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第39話 実の娘のような……



 暫く部屋の中、畳の上でごろりと寝転び、旅館の部屋を堪能していた後、ジャックはある事を思い出した。そう、今回あの男達に邪魔されて、中途半端になってしまった事だ。

『さて!また温泉を堪能してきますか!』

 そう、温泉の事である。それなりに広いこの宿の温泉。入った、といえば入ったのだが、堪能したか? と聞かれれば首を縦に振れないだろう。

 ジャックは、手をグーッと上に伸ばし少し背伸びをした。そんな時 燦は何か不思議に思ったのだろうか。

<おんせん??>

 燦はねっころがっていたジャックの顔をのぞきながら、そう書いていた。どうやら、燦は温泉のことを良く知らなかったようだった。親のせいだ。と思えるが、温泉と言うのは、人間の文化だから、と言う事もあるだろう。……温泉の神様、なんてものもいた筈だから一概には言えないけれど。

『ああ、そっか。えと温泉はね…… んー、大きなお風呂かな? お風呂はお風呂でもお湯に含まれる成分が普通のお湯と違って……………それで………、色々と身体に効力が』

 温泉好き、と言うのはかつて人間だったあの頃から続くものだ。だから、詳しく話そうとしたかったのだが。

「????」

 燦に話して訊かせる度に頭の中に「???」が増えているような気がしたので 詳しく話すのをやめた。

『まあ、そうだね。……とりあえず 普通のお風呂よりずっと気持ち良いお風呂かな? 後凄く大きいよ。泳げたりもする。……勿論、他のひとに迷惑が、っていう理由で、そんな事しちゃ駄目だけど』

 簡潔に説明した。燦はそれを訊いて気になったのか。

<そんなに??>

 そう書いていた。どうやら、燦も興味津々、といった様子だ。風呂と言うモノは身体を清める為女の子であれば、興味と言うものは出てくるだろう。不潔は嫌だから。

『うん。なんだろうな……こう……、 疲れがお湯の中に溶けて行くような…… とりあえず入って見たら判るよ。でも ここ確か……混浴だからね。先に入ってくるかい?』
<……こんよく??>

 燦は、混浴についてもよく判らないようだった。一先ず温泉の事は大体わかってくれた様だけど。

(初めてが、ここでよかったな……。お客さんいないし。何より意味を知ってなかったらまずかった…な)

 とりあえず、すぐにその部分は教えることにした。後々、知らなかったら、色んな意味で、燦にとって拙い事になると思うから。歳頃になった時の事を考えると。


『えーっと、混浴って言うのはね。 普通は男の子・女の子って別に用意しているでしょ? トイレとかさ。勿論男の子と女の子もそう。……で、この旅館はお風呂が1つしかないから男の子と女の子、一緒に入るって事だよ』

 ジャックは指を立てながら一通り説明する。すると、だんだん理解出来たのだろうか。


「ッ………//////」

 燦の顔が一気に赤くなっていった。一緒に入る、と思ってしまったのだろうか、或いは、他に男の人がいるかもしれない、と思ってしまったのだろうか。

『ああー だから、別々に入ろうって話してたんだよ! この旅館、季節柄だと思うけど、他の人、いないし、それに、混浴だからって一緒に入らなきゃいけないってこと無いからさっ!』

 ジャックは、慌ててそう説明をしていた。……なんで、俺まで赤くなってんの!と頭の中で盛大につっこみを入れながら。

 燦は、小学生6〜中学1年生だ。昔の自分であれば……、歳頃の高校生。だから ムラっとしても不思議じゃない、と言うか当たり前だけど、今の自分は色々とある。歳もそうだ。

 だけど、燦の様にここまで 初心(うぶ)な感じをされたら仕方ない、と言うモノだ。


<あ あの……>


 暫くして……燦が筆談はなしかけた。

『……ん? なんだい? あ 先に入ってくる? だったら、いいよ待ってる』

 ジャックは、慌てていたのは影を潜め、もう笑顔で話し返した。燦は、まだ顔を赤くさせていた。そして、顔の半分をメモ帳で隠しながら。

<い いえ… その… 嫌じゃなければ…>

 更に顔を赤くして。

<わたしと… その…一緒に入ってもらえませんか??>
『…………え?』

 ジャックは、不覚にも少しフリーズしてしまった。

<だめ… ですか……?>
『いや、駄目ってわけじゃないけど… どうしてかな? って思って。 男だしオレ。……逆に、燦の方が大丈夫なのかい?』

 ジャックは、聞き返すと、顔を赤めながら。

<わたし… あまり外の世界のことを知りません… だから… 1人じゃ不安で。それに……>

 燦は少し顔を俯かせた。多分、最後には〈怖い〉と言う言葉が入るのだろう。まだ、1人では。
 それに、この旅館の場所はまだあの男達がいた場所のすぐ傍だ。

『……わかったよ。燦が嫌じゃないのなら、一緒に入ろっか?』
<はい! よろしくお願いします>

 顔は赤くしていたが満面の笑みで答えた。
 燦については、以前にも触れたが、かなりの好印象を持っているコだった。勿論、当時の自分は健康的な男児だ。そんな燦からの提案、ジャックも思わず顔を赤くさせてしまうのだった。








 そして、温泉にて。

 一通りの入り方を教えて上げた。着替えをする場所は流石に別々だから、中で合流した。

 かかり湯の事やサウナ、温泉の効力を書かれた看板、と色々、それに温泉とはあまり関係ないけれど、湯舟の中では、定番である100まで数えるまで上がらない事。

 燦は髪の毛が非常に痛んでいるようだった。これまでの経緯上、悠長に風呂に入ったりは出来なかったのだろう。

 女の子にとって髪の毛は大切しなきゃいけないことを教え、髪を洗ってあげた。もう、すっかり借りてきた猫のように大人しかった。

 最後は、露天風呂に連れて行き、星空を見上げながら一緒につかった。


『頭はヒヤヒヤ体はポカポカこれってな~んだ?』と、ジャックがクイズを出すと、
<あはははっ! 温泉かな!!>

 っと元気よく筆談(こた)えた。

(まさかココまでメモ帳を持ってくると思わなかったけど、濡れない様にしないとな)



 そして、温泉から上がり湯冷めしないように早く体を拭いて着替えるように教えた。勿論、温泉から上がって、その濡れた身体を拭いたのは燦自身である。

 流石に、そこまでは出来ない。透き通る様に白い燦の柔肌や傷んでいると言うのに、少し洗うだけですぐに艶がましてサラサラになる髪。

 ……唯でさえ…ドキドキしてるのに、更に高威力だから。






 そして、温泉から上がった後。燦に珈琲牛乳を差し出した。湯上りにはこれが美味しいんだと教えて。

『な? ……凄い気持ちよかっただろう?』

 そうジャックが笑いかけると、

<うん! とっても!>

 と、 とびっきりの笑顔で燦は答えてくれた。



 その笑顔は…ジャックにとっても、とても心地よかった。自分には経験の無い感情が芽生えてくる。

 そう、燦は自分自身にとって、《実の娘》そんな感じがしていた。




 
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