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リリカルアドベンチャーGT~奇跡と優しさの軌跡~

作者:setuna
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Another27 愛情

 
前書き
空の悩み。
超進化への迷い。 

 
アインス「さて、お前達。明日はメールの送り主の救出に向かうが、助けた後、エテモンと激突する可能性が高い」

ヤマト「ああ」

それはヤマト達も分かっていることだ。
ピラミッドに捕らわれているということはピラミッドの中にいるエテモンと鉢合わせする可能性がある。

ブイモン[紋章も手に入れたことだから、もうエテモンなんかには負けない自信があるけど、あいつが数でごり押ししてきたら、みんなを守れるかどうかは分からないんだよなあ。]

ロップモン[みんなの力を合わせないといけないけど。出来れば完全体がもう1体くらい欲しいよね]

太一「完全体って、そんなこと言われても俺達、誰もまだ紋章の進化出来てねえよ」

ロップモンの言葉に太一が呟いた。

アインス「何を言っている。完全体への進化だけなら成し遂げているだろう。お前だ」

太一「え?」

アインス「何を勘違いしているのか知らんが、スカルグレイモンはメタルグレイモン、ライズグレイモンと同じように立派なグレイモンの完全体への進化経路の1つだ。本来ならばな。選ばれし子供であるために、元々ウィルス種のパートナーを持つ者以外のウィルス種への進化は好まれんのかもしれん。明らかに暴走していたから、他の進化経路がいいのだろう。メタルグレイモンかライズグレイモンのどちらか…それに、スカルグレイモンに進化出来るということは、お前のパートナーであるアグモンは、相当強くなれる因子を持つ証だ。本来の個体ならば、そもそもスカルグレイモンに進化すること自体稀だ。デジモンは戦い、経験を積み、転生することで強くなるのだからな。暗黒進化は失敗の印象が強いが、同時に進化したデジモンの潜在能力を全て解放する進化でもある。あのスカルグレイモンは明らかに完全体離れしていたからな…その気になってアグモンを鍛え上げればそこらの完全体より強くなるはずだ」

太一「でも…また進化に失敗したら…」

アインス「失敗したら私達が止めてやる。紋章入手により進化持続時間も飛躍的に伸びたゴールドブイドラモンがいれば大丈夫だ、自信を持て。お前はもう勇気と無謀を履き違えたりはしない」

太一「…ああ、そうだな」

大輔「じゃあ、みんな。明日は早いから寝ましょう」

全員【ああ】

明日に備えて見張り以外が横になった。




































砂漠の夜は昼間の暑さとは裏腹の冷えている。
その時、足音が…。

空「……………アインスさん」

空とピヨモンだ。
焚き火の番をするアインスとロップモンに、交代を告げにきたのだ。
ロップモンが欠伸をしながら寝床へ入ると、空はか細い声でアインスの背中に声をかけた。

空「ごめんなさい…アインスさん」

アインス「ん?」

空「結局、私の紋章のためにメールをくれた人を助けに行くんですよね」

アインス「何だ、そんなことを気にしていたのか」

空「そんなことって…」

アインス「仮に私の紋章が最後だったとしてもお前はそれを気にするのか?」

空「……きっと、考えもしなかった……」

アインス「そうだろう?人のことばかりを考えすぎだ。まあ、それがお前らしいところでもあるが…」

空「私らしい…アインスさん。私の紋章…手に入れる価値があるんでしょうか?」

アインス「?…あるに決まっているだろう?これからの戦いを生き延びるのに紋章は必要だ。私達もお前達をいつでも守れるわけではないしな」

空「でも、愛情の紋章なんて…私、全然似合わない…寧ろ、そういうのはアインスさんの方が…」

アインス「何故そう思う?」

空「…私には愛がないから……」

アインス「どういうことだ?話してみろ。」

空「あれは、私が女子サッカークラブにいた頃……」

空はそのクラブのエースストライカーだった。
大事な試合だった。
怪我を負った足を引きずって空は、母に何度も懇願する。
しかし母は頑なに行かせなかった。
空の母親は華道の家元であり、空は母の言葉に反発することもしばしばあった。
試合の日、空の母親はその試合に行くことを反対した。
それだけじゃなくて、サッカーも止めろと言ったそうだ。

空「…結局その試合は酷い負け方だった。私は、そのクラブに居られなくなったわ…。お母さんは、私を華道の家元の娘としか見てないのよ。私より家元としての立場の方が大切なの…。そういう人なの…!…だから、愛情を知らずに育ったって言われても…しょうがないの」

知らないうちに涙を零す空にアインスは優しく撫でてやる。
かつて自分の娘達にしたように。

アインス「そうか…しかし、武之内。もし私が武之内のお母様の立場なら、同じように止めたと思うぞ?」

空「え?」

アインス「私には妹がいてな、だから武之内のお母様の気持ちはいくらか分かるつもりだ。お前は女の子だ。いくら男の子のようにありたい女の子であっても、いつか女の子は女性になる日がやってくる。いつか好きな人が出来て、恋をして、恋愛して、結婚する日が来る。確かに男の子なら多少傷がつこうがそれでいいのかもしれない。だが、武之内もいつかオシャレや化粧に興味を持つ日がやってくる。もしやってこないとしても、大人になって社会に出たら女性は女性のふるまい方を覚えなくては社会に爪弾きにされる。必要最低限度の振る舞いが求められるのが世間なのだから……。」

フェイト達のように戦士の道を歩んでいる者達ならまだしも、空は戦士ではない。

空「…………」

アインス「そう言えば、お前には妹か姉はいるのか?」

空「いませんけど……」

アインス「なら余計に過敏になるのは仕方ないのかもしれん。親というのは、娘を大事にする傾向がある。それが一人娘なら尚更。お前が怪我をした箇所は?」

空「足首…ですけど。」

アインス「足首か…痕が残らず治って良かったな。足首は隠しようがない場所だ。後遺症が残ったら、ずっと残り続けるところだし、化粧だってタイツだって隠しようがない。おまけに怪我をした状態で試合に出ようとしたら悪化してしまう可能性もある。私は武之内がどれだけお母様から大事にされているのか分かる。」

空「アインスさん…」

アインス「それから武之内。愛情を知らない人は、優しい顔は出来ない。お前はいつもみんなを支えていた。そんなお前が愛情を知らないはずがない。私が保障しよう」

空「…………………」

アインス「元の世界に帰ったらお母様と話してみるといい。多分、武之内と武之内のお母様はすれ違っているだけだ。ちゃんと向かい合ってみるんだ」

空「アインスさん……はい、ありがとう…。何だかアインスさん、お母さんみたい」

アインス「え゙?」

顔を引きつるアインスに、空は笑う。

空「冗談です。見張り交代します」

アインス「あ、ああ…」

危なかったと思うアインスであった。 
 

 
後書き
アインス大活躍 
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