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ダンボール戦記ZERO

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第三話 狙われたイプシロン

 
前書き
前回の続きです!
補足! この話はダンボール戦記ウォーズのストーリが始まる数ヶ月前の物語です!
海道 ジンは教員免許を取得したバカリで、ちょっと教師ポク振舞うシーンが有るかも知れませんが、ご了承下さい!
ジ・エンプレス
ゲームをプレイした事の有る方は知っているかも知れませんが、ジ・エンプレスは初期のダンボール戦記のランキングバトルで山野 潤一郎が使用するLBXです。
非常に高性能なので、この物語の主役 海道 ジンの愛機とさせて頂きました!
ちょくちょく更新するので読んで頂けると嬉しいです!
感想とか書いてくれると嬉しい更に嬉しいです!お願いします! 

 
 アキレスZEROの破損は軽微・・・ふぅ、良かった。
 現在、僕 蒼乃 創太は超VIPな大物が乗りそうな車に乗っている。
 状況が読み込めないぞ。まぁ、イプシロン・airが関係してるって事は会話の流れで解った。
 次世代型LBX イプシロンMark2。
 本来の正式名称の様だ。現在登録されている名前はイプシロン・air・・・盗まれた後に結構、改造された形跡も残ってたし名前も改名されちやったのだろう。
 で、僕の前に座ってる青年は海道 ジン。
 あの『秒殺の皇帝』だ。お会いできて光栄です! と普段の僕なら、言っているだろう。
 だが、冷静な僕は言えないし。言わせない。
「あ、あの〜」
 重たい空気の中、僕は先手を取った。
 読めない状況を再確認する為だ。
 一応、同意の上で僕も車に乗ったが、この車が何処に向かっているのかは知らない。ミラーを見ても外は見えない。マジックミラーって奴だと推測するが、緊張するぞ。
「この車は、何処に向かってるんでしょうか?」
「タイニーオービット社の研究室だ」
 ・・・・以上。
 あ、諦めるな。会話を続ける努力をするんだ。
「僕、悪い事をしちゃたんですかね?」
「いや、君は被害者だ。
 まぁ、事情聴取と思ってくれ」
 なんか、怖いんだが。
 でも、この車が向かってる場所を考えるとテンションが上がった。
 あの大手LBXメーカーの1つタイニーオービット社の研究室に向かってると成れば自然とテンションが上がるものだ。何故、そんな所に向かってるのか理由を知りたいが、敢えて僕は聞かず、黙り込んだ。





「そういえば、あのLBXは君が造ったのかい?」
「え、あ、ハイ!」
 危ない危ない、半分寝てた。
「元はアキレスをベースに、どんな地形でも対応する事を前提に造りました」
「君、歳は?」
「? 15歳です」
 そこで海道 ジンは驚いた表情で。
「その若さで、あれ程のLBXを。
 LBXを初めて何年目だい?」
「4ヶ月とちょっと・・・ですかね」
 更に、驚いた表情となった。
 気まずい・・・気まずいよ。
 驚いた表情で、海道 ジンは。
「君は―――――」

「うわぁ!!?」
 高級車の運転手は悲鳴を上げ、ハンドルを切る。
 ドシン、ドシン。
 LBXの足音――――車の上?
「奴等の狙いは、恐らくコレだ」
 そう言うとジンはケースを開け、LBXを取り出した。
 そのLBXは僕を襲った謎のLBXだった。
「多分、イプシロンも狙われている。
 ・・・そう言えば君の名前を聞いてなかったな」
「は、はい。
 僕の名前は―――蒼乃 創太です!」
 爆発が起きた。
 その時の海道 ジンの表情は、驚きを超え、恐怖の表情だった。
 チッとジンは舌打ちを打ち、CCMを取り出した。
「ジ・エンプレス!」
 車内の窓ガラスが割れている。
 ジ・エンプレスは小刻みな動きで、割れた窓ガラスを抜け出し、外に出た。
「ぼ、僕も、」


 僕を襲ったLBX達は車の至る所に待ち構えていた。
 数は不明・・・増える一方だ。
 アキレスZEROを不完全な調整で、長期戦は機体の破損に繋がる。
 秒殺の皇帝 海道 ジンの手を借りれば、この状況は打開できる。そう信じ、僕はアキレスZEROを操作する。
 左腕の操作にラグを感じる。前回の戦闘が響いてるな、でも、負けるか!
「創太君、僕が敵を引き付ける。
 その間に攻撃を頼む」
「ハイ!」
 運転手は気絶していた。
 緊急用のオート運転機能で、高級車は運転されてるが。
「マズイなハッキングされている」
「えっ?」
「目的地の道筋が変わった。
 事態を早急に解決させるぞ」
 自動運転中を狙われた。
 高速道路走行中に。
 最悪だ、武装したLBXに囲まれ、車をジャックされた。
「悲観するな、状況を打開すれば問題ない」
 海道 ジンは冷静だった。
 場数を踏んでるのか。こんな状況に慣れてるのか、どの道・・・凄げぇ!
「車をコントロールを操作しているLBXが、その辺に隠れている筈だ。
 周辺の敵を殲滅しつつ探すんだ!」
 ジ・エンプレスはハンマー構え、周囲のLBXを薙ぎ倒す。
 圧倒的な物量差の中でも、海道 ジンは諦めず悲観せず確実に数を減らしている。
「ぼ、僕も!」
 ZEROランスを構え、攻撃を開始する。
 が、回避された。
 左腕の操作系統の破損で、操作が鈍い。
 唯でさえ、僕の操作技術は低いのに!
 カン! カン!カン!
 アキレスZEROのHPが減少する。
 攻撃は回避され、一方的に攻撃される。完全な足手まといだ、足を引っ張らない様に戦わないと。
 一旦、距離を取って。
 落ちていたライフルを装備する。
 敵のLBXのライフルだけど使えるか?
 ――――使えるみたいだ。画面にロックオンマーカーが表示され、敵LBXをロックする。
「当たれぇ!!」
 カチ。弾丸は放たれた。
 その弾丸は敵LBXの装甲を安安と貫通し、破壊した。
 明らかに兵器―――市販の武器より高性能だ。
「これなら、僕にだって!」
 敵LBXを標準に合わせボタンを押す。
 風向き、風の影響を計算・・・当たると判断するとボタンを押す。
 単発式の狙撃ライフルで、ジ・エンプレスを援護する。
 徐々に慣れてきた。このライフルの威力と風向きなら、出来るか?
 標準を道路表記に合わせ弾丸は放たれた。
 一瞬、見えた『未来』を現実に!
 放たれた弾丸は道路表記に激突、と思われたが、弾丸は弾かれた。
 流石に道路表記を貫通する事はできない。解ってる、問題はその先だ!
 僕は更に標準を弾かれた弾丸が通過するポイントに合わせ押す!放たれた弾丸は弾かれた弾丸と激突――――結果、弾丸は更に予想外な方向に弾かれた。その弾かれた弾丸同士の先は『敵LBX』集団の中央。成功だ!
 弾かれた弾丸達は不規則な動きを繰り返し、敵LBX達を貫通した。
「よし!」
 ガッツポーズを決め、ジンに笑顔を見せる。
 海道 ジンは驚いた表情を見せるが、操作に支障は見せず未確認LBX達を殲滅していった。





「終わりだ!」

『アタックファンクション!『インパクト・カイザー』』
 エネルギーをハンマーに集中。
 集まったエネルギーを一気に開放するハンマーの最強技の1つ。
 残っていたLBX達を全滅させた。
 高威力、広範囲な技だ。ハンマーの攻撃力は武器の中では郡を抜いているが、それ故に重量が掛かる。そんなピーキな武器を海道 ジンは容易に扱い、一度の攻撃も喰らわず戦闘を終了した。
 流石、秒殺の皇帝。
 そんなバトルを間近で見れて僕は感動です!
「大方、片付いたな」
 周囲は謎のLBXの残骸。
 まぁ、高級車はおんぼろ車に早がりな訳ですね、解ります。
 運転手は目を覚まさない。催眠ガスで眠らされたのか、或いはビビリ症なのか。
「目的地の修正・・・変更完了ダモ!」
 よく見ると小型のメタモKの顔がハンドルの中央に。
 成程、自動運転の際はメタモが運転するのか・・・・? 待てよ?
 もしかして予め、この高級車・・・今はボロボロの中古車に見えるが、僕達が乗る事を解っていて敢えて間違ったルートを走らせる様にインプットされてたんじゃ?
 そう考えると嫌な予感が、するぞ。
 もし、過程の話だ。憶測の話だ。
 謎のLBX達の目的が、ジンが態と破壊せず中途半端にダメージを与え、行動不能となったLBXの回収なら。
 もし、イプシロン・airの回収が目的なら。
 もし、その目的の物が回収できないなら・・・どうするだろう。
 奴等の行動を思い出す。
 そして結論が出た。
「ジンさん! 車を止めて下さい!」

 頭に激痛が奔る。
 脳裏に―――僕達の乗っている車が爆発する映像が見えた。
 一瞬―――不確かな推測。でも、直感が訴えている。このままだとヤバイ!
 メタモKの目元の表示が変わった。
 時計の様なタイマーの様な表示―――ジンは悟った。
「時限爆弾か、奴等。
 相当焦っている様だ」
「奴等・・・・?」
「後で、話そうと思ったが状況が状況だ。
 残り時間は―――3分49秒・・・ギリギリか」
 そう言うとジンは運転手を後ろの座席まで運び、ハンドルを無理矢理外す。
「シンプルな構造だ、精密な爆弾なら。
 解除できなかっただろうが、僕は結構アナログ派でね」
 無数のコードを一本一本ナイフで切断する。
 迷いを感じさせない手付きで正確に精密に丁重に爆弾を解体するが、時間を重ねる事に指の動きは遅くなる。
「―――昔、お爺様と見たドラマを思い出す」
「・・・?」
「創太君、君はどちらを選択する?」
 ジンは身体を横に移動させ時限爆弾のコードを見せた。
 残ったコードは『青』と『赤』確かに選択だ、一本間違えれば死に直結する選択だよ。
「残り1分を切った。
 こればかりは運に掛けるしか手段がなくてね。君の意見が聞きたい」
 ―――――――マジかよ。
 一瞬、迷った末。僕は――――

「青で、」

「了解」

 パチン!
 青のコードは切られた。
 ・・・・爆発は起きないって事は、助かった!!



 元高級車は道路を走る。
 ホント、ボロボロだな。目立っちまくってるよ。
 後ろの座席数で、運転手は眠っている。
 調べた結果、催涙ガスで眠らされた様だ。
 で、現在は海道 ジンが運転している。
「ジンさん、歳っていくつですか?」
「今年で、18だ」
 外見より若いな。
 車の免許を持ってるか聞いた所、最近取得したと言っていた。
 現在の運転免許取得可能年齢は16歳。
 まぁ、妥当な歳だ。
 アシスト運転機能の付いた高機能の車なら14歳から可能と・・・と言ってもメタモ搭載型の車は数百万の値だが。
「もうすぐ到着だ、襲撃の心配を考慮すると。
 問題の解決は皆無・・・周辺の警戒は怠れないな」
 考えが、甘かった。
 襲撃者はタイミングを待たない。コチラの都合を無視する襲撃で、獲物を狩るのだ。
 例えば僕の手元のイプシロン・air。
 ジンの手元のケースに納められた謎のLBX。
 イプシロン・airは元は山野 潤一郎博士の開発した試作機だと言っていた。
 元の名前は『イプシロンMark2』
 名前から考えると元の機体を想像させるな。
 初期ガンダムの進化後はガンダムMark2みたいな?
 まぁ、イプシロンMark2は研究所から強奪され、勝手に改修された。
 元のイプシロンMark2の構造は知らないが、相当改造されちゃった様だ。
 不当な改造後を発見した時は疑問と思ったが、事実を知れば案外チープな問題だな。
「そういえば時間は大丈夫か?」
「え、あっハイ!」
 僕の癖だ、考え事をすると。その事に没頭する。
「ええ、大丈夫です!
 ・・・帰っても誰も・・・居ませんから」
「?」
「あっ、いえ!!
なんでも、ないです・・・」

空を見上げ、僕は夕暮れに手を翳した。
ダメだ、気分を害する存在を脳が連呼する。
『家族』
その一言のワードで、僕の心は悲鳴を擧ている。
脆いな僕の心って。考えるな忘れろ、この後を考えるんだ。
タイニーオービット『TO社』の研究所に向かってるんだ。最新の開発中のLBXが見れるかも、触れるかも。そうだ、夢だったTO社の研究所だ! 入れるかな! アドバイスとか聞けるかな!
そうだプラスに考えるんだ。
そう、前向きに考えれば大丈夫だ。
胸元のポッカリと空いた心の隙間を埋める様に、僕は笑顔を浮かべた。 












 
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