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メイド

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第五章

「普通に話をしない?お願いだから」
「いいわよ」
 彩奈はメイドから素に戻って夏樹に応えた。
「それじゃあね」
「うん、小学校を卒業してからは」
「地元の中学に入って高校も地元で」
「ああ、あそこ」
「そう、あそこに入ってね」
 そしてというのだ。
「今はメイドやってるの」
「高校を卒業してなんだ」
「勉強嫌いだし。大学行こうとも思わないし」
「それでなんだ」
「就職口探してて。ここのお店の前通って」
 彩奈はこの辺りの事情もだ、夏樹に話した。
「面接受けて採用してもらったの。ちゃんと書類も出したわよ」
「高校卒業してから?」
「三年の終わりからよ、最初はアルバイトで入って卒業してね」
「正社員?」
「まだバイトよ、もうすぐパートになるわ」
「へえ、そうなんだ」
「そう、ここ結構お給料いいのよ」
 彩奈は夏樹が出したコーヒーを飲みつつにこりと笑って夏樹に話した。このことも。
「忙しいけれどね」
「そうだったんだ」
「で、あんたは?」
「僕?」
「今は何してるの?」
「大学生だよ」
 夏樹は自分のことをだ、彩奈に話した。
「今はね」
「あんた頭よかったからね」
「小学生の時のことじゃない」
「ずっと頭よかったから大学に通ってるんじゃないの?」
「そうでもないよ、エスカレーターだし」
 夏樹は少し苦笑いになって彩奈に答えた。
「僕なんか」
「そうかしら、中学もいいとこ進んだし」
「だから別に、それに運動の方はね」
 夏樹はここで話を変えた、彼が話したい彩奈にそうしたいことに。
「からっきしだし」
「それも子供の頃からよね」
「そうだよ、運動はね」
 それこそというのだ。
「花江さんの方がずっとだったじゃない」
「私昔から運動は何でもね」
「得意だよね」
「今でもよ、スイミングスクールにも通ってるわよ」
「そうなんだ」
「中学から水泳部でね。運動は続けてるわよ」
 彩奈は笑ってこうも話した。
「すっきりとするから」
「すっきりね」
「そうそう、奥沢君って」
 彩奈は笑って夏樹のことをここで言った。
「泳げなかったわね」
「小学校低学年の時はね」
「あの時私達ずっと同じクラスでね」
 彩奈は自分から言った、夏樹は問うつもりだったが彼女から言って来た。
「それでだったよね」
「覚えてるよ」
 夏樹は本題、今日彩奈と一緒になった目的をここで言った。
「幼稚園の時から」
「私達同じクラスでね」
「そうだったね」
「私あの時悪くて」
 彩奈はまた自分から言った。 
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