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リリカルアドベンチャーGT~奇跡と優しさの軌跡~

作者:setuna
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Another13 始まりの町

 
前書き
始まりの町に着いた大輔とアインス。 

 
始まりの町の近くの森に着いた大輔とアインスとロップモン、ブイモンは始まりの町に向けて足を動かしていた。

アインス「そういえば今更だが、私は始まりの町に行くのは初めてだ」

大輔「そういやそうだったな。きっと気にいるぜ。何てったって、幼年期のデジモンが沢山いるんだからなあ」

可愛い物が大好きなアインスにとって始まりの町は正に天国だろう。

ブイモン[あ、大輔。着いたぞ]

角の丸い建物はおもちゃの積木のようで、いくつもそびえる木からたわわに吊り下がるのは果実ではなくぬいぐるみや小さな飛行機。

ロップモン[始まりの町だ!!]

アインス「これが始まりの町…!!」

町に足を踏み入れたアインスだが、ふわふわとした地面に足を取られて転びかけた。

アインス「あ、歩きにくいな…」

大輔「まあ、初めはそうだろうな」

前回で始まりの町に慣れている大輔はともかく、初めて始まりの町に来たアインスには少しキツいだろう。
少しして、揺り籠のようなものと可愛らしい模様のデジタマが並んでいる場所へ着いた。
アインスが揺り籠を覗き込む。
ボタモン、プニモン、ユラモン、そしてデジタマが入っていた。

アインス「か、可愛い…」

幼年期デジモン達がパチッと目を覚ますとアインスにわらわらと集まってきた。

大輔「あ、集まってきた」

アインス「あ、ああ…ここは天国か…」

感動に身体を震わせながら、幼年期デジモン達とじゃれあうアインス。

ブイモン[ぶっ!?]

幼年期デジモン達に押しつぶされるブイモン。

ロップモン[み、耳引っ張んないで!!]

幼年期デジモンに耳を引っ張られるロップモン。

大輔「よーし高ーい高ーい。ほれほれ」

父親の経験を生かして幼年期デジモン達を可愛がる大輔。

ブイモン[く、苦しい…]

ロップモン[痛い痛い!!]

押しつぶされたブイモンと耳を引っ張られているロップモンが耐えきれず、逃走。
幼年期デジモン達は面白がってブイモンとロップモンを追い掛ける。

アインス「ああ、可愛い。ここは私にとって天国だ…」

大輔「どうでもいいけどブイモンとロップモンを助ける気ないなお前」

アインス「…ああ」

大輔「言い切った…」































好奇心旺盛で悪戯好きそうなデジモンの、始まりの町のデジモン達の世話をしているエレキモンが大輔とブイモン、アインスとロップモンを見つめる。
尻尾を孔雀のように広げて威嚇しようとしていたエレキモンはぐったりしているブイモンにのし掛かり、耳を引っ張って遊ばれているロップモン、そしてアインスにくっついている幼年期デジモン達の大群にしばし言葉を失った。
侵入者が幼年期を襲うことが多々あるから神経を尖らせていたのだが、寧ろこれは幼年期に侵入者が襲われてる光景ではなかろうか?

エレキモン[…何してんだベビー達、つうか、お前ら誰だ?]

ブイモン[う、うおおおお…天の助けだ…]

ロップモン[痛い痛い痛い!!?助けてーーーっ!!]

アインス「…ふふふ…プニプニ…ん?な、何者だ!!?まさか、私の至福の一時を邪魔するつもりか!!?」

大輔「いや違うから、この始まりの町の管理者のエレキモンだよな?」

エレキモン[ああ、ていうか何してんだお前ら]

大輔「仲間を探してる。そしたらブイモンとロップモンは遊ばれて、アインスは幼年期デジモン達と戯れてるわけだな」

エレキモン[ああ、なるほどな。お前らベビー達に相当遊ばれ、げふんげふん…、気に入られてるみてえだからな、あいつらと一緒で大歓迎だ。しっかし、本当に今日は訪問者が多いなあ]

大輔「訪問者が俺達以外に?」

アインス「ふふふ…」

すりすり、ハグハグ、すりすり。

大輔「いるのか…」

アインス「可愛い…」

ハグハグ、すりすり、ハグハグ。

大輔「………」

アインス「私はずっとここにいたい……」

ナデナデ、ハグハグ、ナデナデ、ハグハグ。

大輔「……いい加減にしろ!!話が進まないんだよ!!というかいい加減幼年期デジモン達とじゃれあうの止めんかい!!」

アインス「そんな!!?大輔、お前にはこの天使型デジモンより天使らしく空前絶後の可愛らしさが分からないというのか!!?」

すりすり、ナデナデ、すりすり、ナデナデ。

大輔「お前が可愛い物が好きなのは分かる。でも限度があるわ!!」

アインス「すまない大輔。今日の私は幼年期デジモン達を全力で愛でる事に決めたんだ。何かを為すにはまず決める、そしてやり通すことだ」

大輔「この小説を見てくれている心優しい読者の皆さんにお願いします…決める前によ~く、考えてから決めて実行に移すように」

アインス「決めてしまえば、後は力ずくで何とかなる。私の前に立ちはだかる者は全て薙ぎ払う」

大輔「言っちまったよこの人…というか物騒な言い方止めい!!」































大輔「よく分かんねえうちに数時間も過ぎちまったよ…」

アインス「はああ…もっと愛でたかった」

大輔「愛でまくってただろうが!!!」

アインスにハリセンを叩き込んだ大輔はすぐさまエレキモンの家に向かい、インターホンを押す。

タケル「はーい」

大輔「お?」

聞き慣れたタケルの声に大輔は驚いた。

タケル「エレキモンはいませんけど、どちら様…」

ひょっこり顔を出したタケルに会釈をした大輔とアインス。

アインス「元気そうで何よりだ高石」

大輔「いや、泣いてんじゃないかと心配したぜ」

タケルとパタモンは大輔達を見た安堵感から泣き出してしまった。

アインス「ふふ、安心したら涙がこみ上げてきたか?」

泣いているタケルを優しくあやしてやる。
タケルはアインスの母親のように暖かい雰囲気に更に泣き出してしまう。






























タケルから話を聞くと、デビモンによって飛ばされたタケルはヤマト達とはぐれてしまった寂しさに耐え切れず泣き出してしまったらしい。
泣いたタケルを見てパタモンはバードラモンのように進化して飛べない自分を嘆いて泣いたらしい。
驚いたタケルは泣き止んで、パタモンと一緒に笑った。
とりあえず、ムゲンマウンテンが見える方向を目印に、ひたすら歩き続けた。
そして辿り着いたのが始まりの町ということである。
エレキモンとのちょっとした誤解から喧嘩になってしまったので、バトルを開始してしまったパタモンにタケルは困り果て、タケルの思いついた綱引きによりパタモンが勝ち、エレキモンと仲良くなることが出来たらしい。

大輔「そうか、大変だったな。」

タケル「うん…子供の喧嘩ならいいよ、すぐに仲直り出来るから。でも…でも、大人の喧嘩は」

大輔「直ぐには仲直り出来ない。下手したら一生だ…」

タケル「っ…」

アインス「高石、元気を出せ」

タケル「ありがとうアインスさん」

アインス「しかし、高石…お前はもう少し勇気を持たねばならない」

タケル「え?」

目を見張るタケルを優しくあやしながらアインスは言葉を紡ぐ。

アインス「お前の事情は大体知っている。だからパタモンとエレキモンの喧嘩を止めたのも。争い。それはとても辛く苦しく、悲しいことだ。けれど、その苦しさとは絶対に天秤に掛けられないものがある。」

タケル「でも…」

ヤマトとタケルの両親が離婚した時の光景が脳裏を過ぎる。

アインス「無理に自分を納得させなくていい。こういうのは時間が必要だからな。」

タケル「…うん」

大輔「じゃあ、俺達は飯作るな」

大輔とアインスが退室。
寝転がっているブイモンとロップモンを見て、そういえばブイモンとロップモンはいつ進化出来るようになったんだろう?

タケル「ねえ、パタモンもやっぱり進化したい?ブイモンやロップモンみたいに」

パタモン[………え?そ、そんなことないよ?タケルは進化して欲しくないんでしょ?だったら僕しないよ。タケルが望まないなら。それに約束したじゃないか、僕はこのままでいいって。ずっとこのままで…]

タケル「うん!!」

アインス「高石、出来たぞ。さあ食べよう」

タケル「はーい!!」

アインスと大輔が作った手料理にタケルは向こうに走った。
寝たふりをしていたブイモンとロップモンはパタモンに歩み寄る。

ロップモン[いいの?パタモン。]

ブイモン[進化出来ないとお前、タケルを守れないぞ]

パタモン[………]

パタモンはブイモンとロップモンから目を逸らした。
仲間達の中で群を抜いて強いブイモンとロップモンを見ていると自分が惨めに思えてきたから。 
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