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異世界系暗殺者

作者:沙羅双樹
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夏の時間(2016/03/30 一部修正)

 
前書き
仕事も忙しいのに結局毎日更新を続けられている辺り、2500~3000字前後が毎日更新に最適な1話辺りの文字数なのかもしれません。(笑)

あと、今話のイッキ君はキャラ崩壊を若干していますが、あまり気にしないでください。きっと、精神面が思春期に戻ってしまってるんです。(笑) 

 



【視点:樹】



E組の体育の授業にA・Tの訓練が加えられてから1週間。日々、気温が高くなっていくせいで、クーラーのないE組校舎は灼熱地獄と化していた。

休み時間中にA・Tを使って校庭を走ることで風を感じ、多少の涼を得ることができるがそれでもこの灼熱地獄では焼け石に水でしかない。

そんな苦行を強いられている俺達に、殺センセーが最高のプレゼントを用意してくれていた。E組校舎裏にある小さな沢で自作プールを作ってくれていたんだ。

本来、E組がプールを利用する際、本校舎まで行かなければいけない。E組校舎から本校舎までの移動時間はA・Tを使えば5~6分。歩いてだと20分は掛かる。

その移動時間が僅か1分にまで短縮されたんだ。暑さにやられていた俺達にとって、これを最高のプレゼントと言わずして、何と言えばいい?

まぁ、そんな訳で俺達E組生徒は殺センセーの指示で、水着に着替えてから移動していたこともあり、殺センセー自作プールに着くと、着ていたジャージの上着を脱ぎ捨ててプールへと飛び込んだ。

………あれ?よくよく考えると、全員準備運動をしていない。これって、普通に考えたら拙い様な………。まぁ、いいか。

それにしても、椚ヶ丘中学の女子の水着は結構特徴的だな。クォーターパンツと一体になった競泳用の様な水着だ。女子用水着がこんな仕様になっている中学はかなり珍しいと思う。あと―――


「改めて思うけど、渚。お前、本当に男だったんだな」
「イッキ君、それを今更言うの!?」
「いや、俺だけじゃなくて他の皆も結構思ってたことだと思うぞ」


抗議してくる渚に対して俺がそう告げると、近くに居た中村と不破が超頷いていた。ってか、岡島はプールサイドで何やってんだ?盗撮にしては堂々とし過ぎだろ。

………有希子も撮ってるならメモリースティックごと寄越せ。金なら最高50万までなら払ってやる。と、そんなことを考えているとホイッスルの音が聞こえてきた。


「木村君!プールサイドを走ってはいけません!!転んだらどうするんですか!!原さんと中村さんも!潜水遊びは程々にしなさい!!溺れたかと思ってしまいます!!
岡島君もカメラを没収!挟間さん!読書ばかりではなく、泳ぎなさい!!菅谷君!ボディアートは一般のプールなら入場禁止になりますよ!!」


………何かリオのカーニバル的なリズムでホイッスルを吹きながら、小姑の如く小煩い説教を始めた。う、うぜぇ……。


「自分の作ったフィールドで王様気分になるのは分かるけど……」
「うん……。感謝の念が薄れるよね」
「ヌルフフフ。自然を生かした景観選びと間取り設計。皆さんにはこのプールに相応しく整然と楽しんで貰わなくては」


いや、殺センセーよ。ドヤ顔でそんなこと言われても、マナーに厳し過ぎたら楽しさも半減だよ。周りの皆の顔を見てみると、ほぼ全員が俺と同じ思いの様な顔をしていた。

まぁ、一部の生徒は普通に笑っていたり、苦笑していたりするんだが……。その代表とも言えるのが倉橋だな。笑顔で殺センセー先生まで近付いている。


「殺センセー、マナーに厳し過ぎー。水かけちゃうよ!!」
「きゃんっ」


倉橋が両手を使って水を掛けると、殺センセーはその姿に似合わない乙女な悲鳴を上げた。正直キモい。


「……えっ?」
「何だ、今の?男が出す悲鳴じゃないだろ。キモッ」


いつの間にか俺の隣に来ていた有希子も呆気にとられた様な声を出し、俺もついつい思っていることをそのまま口にしてしまった。

そして、殺センセーの反応を見たクラス一の問題児であるカルマが、殺センセーの座っている監視台に近付き、思いっきり台を揺らすと―――


「きゃあッ!!カルマ君、揺らさないで下さい。水に落ちてしまいます!!」


これまた男の癖に女子の様なキモい悲鳴を上げ、あからさまに狼狽し始めた。


「……殺センセー。あんた、もしかして………」
「……べ、別に今日は泳ぐ気分じゃないだけだし~。水に直接触れると体が凄くふやけるとか、動けなくなるなんてことありえないし~」
「……その一昔前のJKみたいな喋り方やめろよ。触手生物がやってたらキモいだけだから。あと、泳げないならその手に持ってるビート板は何だよ」
「そうだよ。てっきり泳ぐ気満々かと……」


俺と三村がビート版について質問すると、殺センセーは―――


「これはビート版ではなく、麩菓子です」
「「「「「「「「「「おやつかよ!!」」」」」」」」」」


予想外の返答をして来た。何故にビート板型の麩菓子なんて持って来てんだよ!思わず俺までツッコミいれちゃったよ。

……それにしても水が弱点ってのは、よくよく考えると意外なことでもないな。梅雨の湿気で律曰く33%も顔が肥大化してた訳だし。

俺がそんなことを考えていると、浮き輪でプールを揺蕩(たゆた)っていた茅野がバランスを崩し、浮き輪から落ちた。


「ひー!溺れ死ぬー!!」
「ちょっ!何やってんの、茅野!!」
「背が低い上、浮き袋が皆無だから受けねぇのか!?」
「かt、茅野さん!この麩菓子に捕まって……」


岡島は兎も角、陽斗よ。お前、茅野に対してかなり失礼なこと言ってるぞ。それと殺センセーはテンパり過ぎだ。と、そんな遣り取りがされている内に1人の女子がプールに飛び込み、茅野の所に向かった。あれは―――


「はい。大丈夫だよ、茅野さん。すぐ浅い所まで行くからね」
「ありがとう、片岡さん」


そう。女子クラス委員の片岡――別名:イケメンメグ。略してイケメグだ。昨年度、水泳部クロール学年代表だったって話はE組の皆から聞いたことはあるが、おぼれた人を救助する姿も様になってるな。

殺センセーの弱点を考えると、この夏の暗殺法の1つは水殺。片岡がキーマンになりそうだな。


 
 

 
後書き
今の所、A・Tの道が決まってないのは以下のキャラです。

副担任:烏間惟臣
出席番号5番:奥田愛美
出席番号12番:菅谷創介
出席番号15番:千葉龍之介
出席番号18番:狭間綺羅々
出席番号20番:原寿美鈴
出席番号23番:三村航輝
出席番号24番:村松卓也

それ以外のキャラは大体決まってますね。

出席番号7番:茅野カエデ――――閃律の道(リィーン・ロード)
出席番号14番:竹林孝太郎――――紫電の道(ライジング・ロード)
出席番号16番:寺坂竜馬――――轢藍の道(オーヴァ・ロード)
出席番号19番:速水凛香――――紫電の道(ライジング・ロード)
出席番号26番:吉田大成――――炎の道(フレイム・ロード)

こんな感じです。まだ決まってないメンバーでこの道がいいのではないか?といった意見があれば、コメントで頂けると幸いです。 
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